まほろばblog

Archive for the ‘音楽’ Category

「ラーガとターラ」 無限の創造

火曜日, 6月 19th, 2018

16日のW宮下対談。

ジミー宮下さんと宮下とのスリリングでエキサイティングな話は、常識をぶっ飛ばし、実に痛快であった。

ジミーさんのサントゥールと若池敏弘さんのタブラによる地下洞「無限心」の奉納演奏。

そして、対談後の即興演奏、「アワの唄」も、快談の波に乗って皆の心の奥に届いた。

特にラーガ(諧調)とターラ(拍)の遣り取り、組み合わせによる無限の展開に、心は踊った。

ターラの取り方を拍手で、皆にレクチャー。

するとデモンストレーションの曲に、自分も没入する不思議。

俄かに、妙に、楽しくなる。

例えば、七拍子に、十拍子が加わる。

すると循環するうちに、ズレがドンドン生じる。

そのズレが、ズレを呼び、無限で想像外の出会いと離反に、興奮と感興を呼び起こすのだ。

それが、印度音楽の神髄なのだろうか。

時候により、朝晩により、旋法ラーガが変化する。

その数、300以上。

そのラーガとターラが織り成す、無限無数ともいえる組み合わせと創造と再生。

0と無限と言う概念を発見したインド。

その音楽も、古今に変わらず、受け継がれて行く。

正に、千変万化に変化する自然と人生。

それを、生き寫すかのような印度音楽。

ジミーさんや若池さんが、憑りつかれた理由が、今にして分かったような気がする。

 

 

#2 大貫妙子さんの食観

木曜日, 10月 12th, 2017

第一回「大貫妙子札幌ライフ」に続いての2回目。

今回は、食についての愉快なお話。

まほろばオリジナルみそ「へうげ味噌」や

天然だし「イイお嫁さんの素」についての

オモシロ、オカシイ由来話の数々。

そして、2015年に発売されたアルバムTINTについて。

素敵な仲間たちのお話。

最後に明かされる三角山放送局の杉澤社長から、

何と和寒町で小学6年生からの大ファンであったこと。

こんな身近に隠れオタク(失礼!)がいらしたとは、ビックリ!!

全国に根強くも息の長いファンがいらして、大貫さんは幸せですね。

大貫妙子札幌ライフ2回目 (クリックして下さい)

 

「へうげ味噌」

SONY DSC

「私は誰でしょう?」

「ハイ、私は『イイお嫁さんの素』でした!!」

 

「イイお嫁さんの素」の命名と、コマーシャル用写真までOKして下さって、幸せなスタートを飾ることが出来ました。

何から何まで、ありがとうございました。

 

 

彼女は一回一回にイノチを削りながら歌う。

「このままだと死んでしまう」と、ふと漏らされた。

その心境に、彼女の生きざまを見た思いがする。

イノチと差し替えに、見えざる答えを求める。

お通の鶴が毛をむしって恩返しするように、

ストイックに自己を彫琢し、頑なまでも何処までも追い込む。

いい加減に出来ない・・・・だから、浮き沈みの激しい芸能界で、

40年もやって来られたのだと、思う。

すごい、こと。

そして、食べものにすごく氣を使っていらっしゃる。

この声は、食べものの化身。

その食べものをいい加減にして、その声を、お客様に聞かせるなんて失礼!

清浄な物、いのちある物を食してこそ、その歌は、その声は、本物になる。

ここまで、徹底している歌手が他にいるだろうか。

その誠実さに、ただただ、敬服するのみです。

そのイノチの結晶の数々……

 

 

第2回目「大貫妙子さっぽろライフ」から

1、「横顔」Boucles d’oreilles ブックル ドレイユ

2、「愛しきあなたへ」TINT 大貫妙子&小松亮太

3、「春の手紙」Anthology アンソロジー

4、「dreamlandドリームランド

 

最後に、お父様健一郎氏のお話が……。

画面でご対面!!

#1 大貫妙子さんの音楽観

木曜日, 10月 12th, 2017

トークセッション「いのちの時間」が急遽中止になり申し訳ございませんでした。

そこで、2015年5月に、札幌西区の「三角山放送局」で行われた

「大貫妙子札幌ライフ」を、公開させて頂きます。

大貫さんと三角山の杉澤社長と私の鼎談風の会話を、気楽にお聞きください。

大貫妙子札幌ライフ1回目(クリックして下さい)

● 大貫さんとの出会い、そしてまほろばとの出会いから、

大貫さんの音楽への思い入れや映画のこと、旅のこと、

そしてハイエナの話まで、飛び出して来て、

和やかで楽しいひと時でした。

● なお、途中の音楽は著作権上、挿入できませんでした。

曲名とアルバム名を列記しましたので、CDかネットで、

お話に合わせて、お楽しみください。

 

 

1、「風花」 ensembleアンサンブル

2、「ベジタブル」 copineコパン

3、東芝日曜劇場 「いつまでも」

4、「色彩都市」 Clichéクリシェ

5、「風の旅人」 ATTRACTIONアトラクシオン

大貫さんとの対話

土曜日, 10月 7th, 2017

2015年5月に、三角山放送局で収録、放送されました、「大貫妙子SAPPOROライフ」を、大貫さん、三角山さんの許可をいただきお届けします。

尚、楽曲につきましては著作権の関係でカットさせて頂いております。何卒了承くださいませ。

大貫妙子札幌ライフ1回目

大貫妙子札幌ライフ2回目

 

クララ・ハスキル

水曜日, 9月 27th, 2017

 

ハッとする美しさ。

ギリシア彫刻のビーナスを思い起こさせる端正さ。

そのモデルは、かくやあらん、と。

あの名ピアニスト、Clara Haskilクララ・ハスキルの若き日の姿態である。

 

 

 

それが、幾星霜経って、老練のハスキルが完成される。

そうは言っても、65歳での登天。

一ファンとしても、人の一途な生き方の末を思う。

不幸な前半生を超えて、次第に名声を得て行った。

出生が、ユダヤ系であったためか、

何か神秘的で霊感に満ちた音感に魅了される。

メニューヒンに通じる何かが、

レコードを通しても聴こえて来る。

 

 

 

作曲家「バッハ」の伝記映画製作へ

水曜日, 9月 20th, 2017

小さい頃から、作曲家の伝記映画が、何かしら好きだった。

ベートーベン、モーツアルト、シューベルト、シューマン、コロンボ……

心ときめきながら、画面に食い入っていた。

ところが、今度、あのバッハが映画化されるという。

これは興味津々、世界中で見たい方も多かろうと思う。

そうして、あのように神が書いたかのような曲が、どうして紡がれるのか。

それが伝わるような演出があるのかしら?

作曲家バッハの伝記映画 G・ドパルデュー、M・フォン・シドーら共演

2016年11月20日 19:30

  • ジェラール・ドパルデュー& マックス・フォン・シドー「ハンナ・アーレント」

ジェラール・ドパルデュー&
マックス・フォン・シドー

[映画.com ニュース] 音楽の父とも呼ばれる18世紀ドイツの大作曲家、ヨハン・セバスチャン・バッハの伝記映画が製作されることがわかった。

米ハリウッド・レポーターによれば、新作「バッハ(Bach)」は現時点では主役のバッハ役はキャスティングされていないが、仏俳優ジェラール・ドパルデュー、スウェーデン出身のマックス・フォン・シドー、独俳優アクセル・ミルベルク(「ハンナ・アーレント」)、独女優マリアンネ・ゼーゲブレヒト(「バグダッド・カフェ」)の出演が決定しているという。

ジェフリー・フリードマンが脚本とプロデュース、エリック・スタイルズが監督を務める。監督と脚本は比較的無名の存在だが、撮影監督にはビットリオ・ストラーロ(「地獄の黙示録」「ラストエンペラー」)、音楽にガブリエル・ヤーレ(「イングリッシュ・ペイシェント」)、編集にタリク・アンウォー(「英国王のスピーチ」)と、錚々たるメンバーが揃った。

バッハの伝記映画といえばジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレの「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」(1968)があるが、モーツァルトの「アマデウス」に匹敵するようなメジャーな作品はこれまで製作されていない。



 

『古琴』演奏、社長室で

水曜日, 3月 22nd, 2017

古琴 DVD 映像

 

昨冬、文部科学省指導「中学生の音楽鑑賞」1年生用の

DVD制作の為、監修者がまほろばに来店されました。

その世界の音楽「日本とアジアの音楽篇」紹介の為、

国内の第一人者、札幌在住の古琴研究家・

山寺美紀子さんの演奏を社長室で録画しました。

 

古琴 DVD

 

中国の古琴「七弦琴」は、世界最古と言われるほど歴史が古く、

孔子や諸葛孔明など歴史上の人物が愛してやまなかった知性の楽器でもありました。

 

続倭詩 表紙

 

その詳しいことは、新刊『続倭詩』二章の

「吾(われ)は汝(な)を引き、汝(なれ)は吾(あ)を選(よ)る」

をお読みください。

古琴のいわれから、山寺さんとの出会い、

そして多くの方々との繋がりを描きました。
続倭詩 古琴 1

 

続倭詩 古琴 2

 

著作権の問題で、山寺さんの演奏を流すことは出来ませんが、

YouTubeで、我が心の師「管平湖」先生の演奏が聴かれます。

あの『赤壁/レッドクリフ』の映画で、諸葛亮と周瑜が演奏した

「廣陵散」と「流水」を聴くことが出来ます。

最近は、欧米でも愛好者が増え、東洋文化を解する人々が増えて来ました。

この名曲「流水」を、山寺さんは演奏しておりますが、

その代わりに、現代女流演奏家による動画をご覧ください。

「母を思う歌」道新に!

金曜日, 3月 18th, 2016

母心CD後藤さん記事

北海道新聞・論説委員(社説などを書かれる方)の森川純氏が、

後藤吉助氏を取材して、

16日(水)夕刊の一面「今日の話題」に『母を思う歌』と題して掲載された。

後藤翁、おめでとうございます!!!

良かったですね!!

大変、うれしく思います!

後藤さん紹介 

  「母を思う歌」

卒寿を迎える道東育ちの男性が作詞作曲したCDが先月、全国発売された。

高齢で挑戦する姿と、歌に込められた母への思いが共感を呼んでいる。

11曲を収録した「母ごころ」を作ったのは、

東京在住で韓国ノリの輸入を手がける89歳の後藤吉助さん。

幼少期に背中で聞いた子守歌の記憶や教わった人生訓、

母を慕う心を表現した。

2年前に本人が歌ったCDを出したところ、

感動した札幌の経営者仲間らが広めようと支援。

インターナショナルミュージック(横浜)が発売元となって

女性歌手を登用し、本格的に売り出された。

吉助さんは7人兄弟の次男として福島県で生まれた。

昭和恐慌で牛乳配達など両親の仕事が切迫し

1935年(昭和10年)、今の釧路市阿寒町の舌辛村に移住した。

母ミツさんの在りし日の姿は鮮明だ。

イモや大豆を植えた畑で幼子を背負って働き、

子供たちに善悪を厳しく教えた。

近くの炭鉱から逃亡した朝鮮人労働者を自宅でかくまい、

食事と風呂を提供したことがある。

その姿から慈悲の心を学んだという。

古里を長く離れていた吉助さんは73年、

やせ細って床に伏せるミツさんと最後の対面をした。

「おまえにあげる」と巾着袋から取り出しのは、

小さく折った1枚の千円札。

数日後、ミツさんは81歳で死去した。

「子を思い、分け隔てなく人を助けた母でした」。

吉助さんの使命は、母の心の伝承だという。

虐待をはじめ親子の事件が絶えない今、

「母ごころ」は大切なことを教えてくれる。

(森川 純)

母心 CD

 

¥1.389+税 (まほろば両店舗扱い中)

 

 

「So What ? 」それがどうした?!

土曜日, 1月 30th, 2016

YouTube Preview Image

 FBにマイルス・デービスの名言集があった。

私の講演にも、しばしば登場する。

若き時、武満の一音に創造性の意欲が搔き立たれたように、

マイルスの音にも、新しい生き方の彼方が開かれる思いだ。

それが、節々に語られる言葉に潜んでいる。

超一流のアーティストには、超一流の言葉が溢れ出る。

脆弱な文学には遺せない、言葉のスゴミがそこにある!!!

miles-davis2[1]

  • Miles Davis
    マイルス・デイヴィス

    ジャズトランペット奏者。「ジャズの帝王」「モダン・ジャズの帝王」などと称される。

    国: 米国イリノイ州
    生: 1926年5月26日
    没: 1991年9月28日(享年65歳)

  • miles-davis[1]

 

  • 先に演奏するぞ、曲名はあとで教える。
    Ill play it first and tell you what it is later.
  • 失敗を恐れるな。失敗なんてないんだ。
    Do not fear mistakes. There are none.
  • そこにあるものではなく、ないものをプレイするんだ。知っていることではなく、知らないことをやる。変化しなければいけない。それは呪いのようなものだ。
    Dont play whats there, play whats not there. Dont play what you know, play what you dont know. I have to change, Its like a curse.
  • オレにとって、音楽も人生もスタイルがすべてだ。
    For me, music and life are all about style.
  • すべて学び、そして忘れろ。
    Learn all that stuff and then forget it.
  • 伝説というのは、過去の業績にしがみついている老人のことだろ。オレは今でも現役だ。
    A legend is an old man with a cane known for what he used to do. Im still doing it.
  • 自分自身の何かを創造している時は、限界なんてない。
    When youre creating your own shit, man, even the sky aint the limit.
  • オレの未来は、毎朝起きた時にはじまる。
    My future starts when I wake up every morning.
  • どんな種類であれ、いい音楽はいい。
    Good music is good no matter what kind of music it is.
  • 音楽における自由というのは、自分の好みや気持ちに合わせて、規則を破れるように規則を知っている能力だ。
  • 必要なのは才能じゃない。練習、練習、練習、それだけだ。
  • オレは、楽な生き方には興味はない。

 

milesdavis[1]

 

  • オレみたいに何か新しいことをやろうとする人間は、無視されるリスクをいつも背負っているんだ。
  • ジャンルというヤツは嫌いだ。そんなもの、音楽には関係ないだろう。
  • 明日に向かって何もしないなんて、オレには耐えられない。
  • 人生は変化であり、挑戦だ。
  • オレは現状に甘んじる人間は好きじゃない。常に前進し、変化を求める人間が好きだ。
  • オレは、地球上で最高のサウンドは人間の声だと思っている。だからシンガーが歌うようにトランペットを吹いている。
  • 音楽は、それだけで何かを語るものだ。
  • 相手の音楽を理解するっていうのは、その人間を理解するってことじゃないか。肌の色なんて関係ない。
  • 音楽は競争じゃない。協調だ。一緒に演奏して、互いに作り上げていくものなんだ。
  • 他人が何か言ってきても、重要なことでなければ、「勝手にしやがれ」と言うことにした。それからというもの、オレの人生はスムーズに転がりはじめたんだ。
  • 毎日一歩ずつ前進するように、がんばり続けるだけだ。そうだ一歩ずつだ。
  • 人間だったら自分の気持ちに正直に生きるべきだ。好きなら好きと言えばいい。

   気に食わないのなら、そう言えばいいんだ。オレは妥協も我慢もしない。

 

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  • まずは教えてやることだ。今度は、それが自分に返ってくる。
  • すべての芸術的表現における創造性や才能には、年齢なんてないんだ。年季はなんの助けにもならない。
  • 自分は自分のやり方でやらないと。誰のコピーもしちゃいけない。
  • 終わってしまう前に、終われ。
  • 音楽は何より雄弁に物語っている。言葉や説明はいらない。そんなもので補足しなけりゃいけない音楽なんてオレには意味がない。
  • その時に起こりつつあることに対して、オープンじゃないといけない。
  • 時代は変わったんだよ。やりたいようにやっていい。
  • すべてが目標に向かっての勉強なんだと自分に言い聞かせていた。
  • グループを作る場合は、いろいろな人間を混ぜないと駄目だ。持ち味ってもんが違うからな。
  • 何かがおかしくなりはじめた時に指摘してくれる人間を人生で一人でも見つけられれば、とても幸運だ。
  • 自分の手の内を一通り出してしまったら、今度は違うことをやれ。
  • あいつみたいになる。あいつよりうまくなってやる。なんてそんなことに囚われてはいけない。

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  • 規則どおりにやってうまくいかなければ、規則を破ることだって平気でやった。
  • 試練はいつだってオレを10倍強力にするからな。チャレンジするのは大好きだ。
  • 誰だって、いつもと違うことをやらなければならない状況に置かれたら、特別な考え方をしなきゃならない。

   もっと想像力を働かせ、創造的にも革新的にもなって、冒険をしなきゃならない。

  • 偉大なバンドを作り上げるためには、全員の犠牲が必要で、それなしじゃ何も起こらない。
  • ふり返るな。謝るな。説明するな。同じことを繰り返すな。
  • いちばん大切なのは、自分だけのサウンドだ。それがない限り、どんなメロディを演奏しても意味がない。
  • 同じところなんかにずっといたくない。

   クリエイティブなことができないなら、死んだ方がましだ。生きてる意味がないじゃないか。

  • 立派なジャズを演奏するには、実際の生活や経験を通じてはじめて身につく、人生に対する理解とか感情といったものが必要なんだ。
  • 自分が重要と思わない限り、他人がどう思おうとオレには関係ない。
  • それがどうした?
    So what?

                       – END –

A Quartet In The Studio

「一指に霊性が宿れり」

日曜日, 1月 24th, 2016
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とある夕方、スタッフに呼ばれてレジに行くと、そこに貴婦人が立たれていた。

何でも、京都の友人が、ここの水が素晴らしいから汲みに行きなさいと、薦められたとか。

聞くと、本店に近い山の手在住の佐々木規伃さん、長唄などの大鼓のお師匠様でいらした。

その冴えた音味は、上の創作「薫風のしらべ」(堅田喜千城)に十二分に響き渡っている。

あの著名な人間国宝「堅田喜三久」師に久しく師事されて、

十代から始められて既に六十有余年にもなられるとか。

下の動画、堅田師の太鼓と語りの飄逸さは、又となく格別で趣がある。

 

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私も、少なからず邦楽には興味があり、話は盛り上がり、時の経つのを忘れるほどだった。

その中でも、ことのほか興味がそそられたのが、次のお話であった。

ある日、お坊様にお会いしたそうな。

そこで、日頃悩んでいることを打ち明けたと言う。

「どうしたら、自分の音をつかめるのでしょうか」

「すべてのものに、音がある。一切が、鳴っている」

そこでハタと気付き、狭い自己が破られ、豁然と悟ったという。

歓びが全身を巡り、笑いが内から出でて、それが3日ほど止まなかったという。

この境地を、音曲仲間の一人に伝えようと懇切に話すが、

チンプンカンプンで、全く理解しがたく徒労であった。

鼓に、あたかも穴が開いていて、そこに指が触れるだけの感覚で音が鳴り出した。

「名人は、みな脱力よ」と事も無げにおっしゃる。

それは道元禅師の「心身脱落、脱落心身」の境涯、

只管打座(しかんだざ)、ひたすら座り続けると、自ずから心身が抜け落ちる。

仏道のみならず、芸道でも然り、道は一つなのだ。

 

sasakisann

 

私は、以前に、

「一つの音を聞き続けて悟らなければ、ワシの首を獲ってもイイぞ!」

と、説く高名な禅僧の書物の一行を読んだことがあった。

尺八の究極は「即音成仏」。

一音を吹いて仏に成る、というからスサマジイ。

空海も「梵音声字」を説いて真言宗を開いた。

「ナーダ・ブラウマ」という印度哲学の言葉がある。

つまり「宇宙は、音である」と。

 

ある時、この佐々木女史、関西の整体師に就いて、体のことを習った際、

「頭の松果体と足の湧泉を意識的に繋ぐと心身が即整う」と教えられた。

それが、即理解出来て、体から何らかの不調が立ち処に消えたと言う。

ついでに、0-リングテストを教示されたが、これも瞬時にコツを掴んだ。

ほぼ一生の間、指先に全神経・全精神を集中して太鼓を打ち続けて来られた。

そして、「その指に霊性が宿った」のだ。

『一芸に通ずる者、万芸に通ずる』。

正に、かくの如し。

かく在野にも、人知れず真人が隠れていたとは!!!

おひな祭りの解