先日、道新の森川記者が来店された。
彼は、北見支局で、畑の哲人・伊藤さんなどを取材して、
玉葱の本を出したほど、何でもとことん追求するライターでもある。
その彼が、10年来の友人、函館・美深(両方跨いでる)在住の島さんのチーズを持参された。
現在、道内はナチュラル・チーズブーム、作り手が雲霞の如く輩出して、
何処も彼処も似たりよったりで、触手を伸ばす気には、全くなれなかった。
特徴は?と聞くと、乳の新鮮な匂いがする、という。
何とも頼りないのである。共働学舎のもので、棚は占められ、もう増やす余裕はないのだ。
こちらは、全く見込み無いつもりで、チーズを試食。
ところがである。驚き!
いかにも、素人くさいのであるが、それが素直で、えも言われず、美味しい!!
本当にミルクの味がストレートにして、フレッシュ、なんとも北海道!!というに相応しいのだ。
これは、いけるぞ!と、妙な感心をしてしまった。
事務所では、お・い・し・い!の大絶賛。
さらに、島さんからメール。
それには、泣けた。
開拓先祖の魂をここに実現、実らせたいと言う、彼のいじらしい雄叫びが、綴られてあった。
これを、読まれて、今週、7,8,9日の感謝デーのお披露目には、是非試食されて下さい。
おもっきり、15%offのお試し価格です。
島田編集長の記事も合わせて読まれて下さい。(7日発行・まほろばたより)
(ちなみに、土曜日に、島さん本店に寄られて、試食会を開きます。)
宮下さま
先ほどはお忙しいところお話いただきありがとうございました。
ご配慮いただき感謝いたします。
○宣伝文句
~きた牛舎のチーズの原料乳は、夜明け前に行う乳の搬入を行うため、催眠効果の高
いメラトニンを多く含んだ牛乳「ナイトミルク」が50~100%含まれています。牧場
敷地内の搾乳室のバルククーラーから、ポンプなどを使わず輸送缶に詰めて乳にダ
メージを与えないよう手運びで殺菌機に移して製造作業に入ります。製造工程はほと
んどは人力を駆使して酪農場製ならではの素材の味が良く出た飽きのこないチーズ作
りに励んでいます。~
○起業に至る経緯
私の実家、美深町は上川北部、盆地の最北端にあり、気温の年較差日本一の土地柄で
す。この地に開拓のくわをおろして以来100年余、厳しい自然環境の中で、郷土を
築いてきた先人らは、ここに「乳と蜜あふれる大地」を創造したいと取り組んできま
した。
若くして未亡人になった曾祖母が徳島から北海道に渡り、ピウカ原野で明治30年代に
祖母を産んでおります。ヒエやソバ、イモしか採れなかった荒れ地の農業は、昭和ひ
とケタ生まれの父が成人する昭和20年代以降にようやく、寒さに強いホルスタイン
乳牛の導入、酪農によって将来展望が拓けてきました。
分家した父はバクロウ(家畜商)を生業として経済的に自立し、私らを育ててくれま
した。
しかし、残念ながら経済的に自立できなかった農家は、農協や国の甘言にのって流れ
に身任せ、減反政策による農家の二極化、機械化・大型化による借金漬けなど社会環
境によって疲弊した農家が離農し、過疎化が進んでおりました。昭和50年代の話で
す。
それから30年、平成16年、父が亡くなったとき、久々に見る故郷は過疎化に輪をか
けて高齢化が進んでおり、年金生活まであと10年という兄が最も若い世代の農家で
あるという事実。またその兄の酪農場でも、息子が後を継がない現実がありました。
このままでは、「乳と蜜あふれる理想郷」どころか、氷点下40度の冬をムシロと雑木
の掘っ立て小屋で過ごしながら北の地にしがみついてきた先人の苦労が報われない。
わが故郷が、人けの無い荒れ地に還って先人の生きた証が露と消えてしまう、そんな
寂寥感で胸がいっぱいになりました。
2009年、カミサンに相談せずに編集業をやめ、各地を歩き始めました。
瀬棚の近藤さんには「50歳になるやつを弟子にとっても責任が負えん」と、師事を断
られました。新得の宮島さんの工房では、2ヶ月間、お金を払って洗い物をさせてい
ただきました。「小屋飼いの牛の乳では本物のチーズは出来ない」とおっしゃる放牧
酪農家の奥さん、「チーズにはチーズづくりに適した乳質の牛を導入すべきだ」と
おっしゃる工房長、こだわりはさまざまでした。
私は自分を育んでくれた故郷にこだわり、故郷を理想郷にしてくれるパートナーとし
て寒さに適合してきたホルスタイン牛に寄り添っていくことで、崩壊しつつある故郷
にふたたび未来が拓けてくると信じることにしました。
おおげさですが、
チーズを作るために工房を開くというよりも、連綿と続いてきた先人の魂を引き継い
で、ふるさとの元気の源になるために工房を開くことにしたわけです。(おかげさま
で、兄の牧場に若者が1人、当工房に中年1人、若者1人が職を得ております)
2010年に工房を建て、2011年から販売開始してそろそろ2年になります。製造開始か
ら3年で収支がとれるまでにしたいと計画で進めており、資金の限界もあります。
そろそろ、良い販売拠点を得て、世に問わなければいけません。
蛮勇をふるって、何とか男子の志を買っていただければありがたいです。
この世に生まれてきて50年が経ちました。未だ、「女は子を遺すが、男は何を遺すの
か」と女族への対抗意識が消えない未熟者ですが、よろしくお願いします。
㈱北ぎゅう舎 島英明
======== (株) きた牛舎 =========
チーズ製造は、きた牛舎・しまミルク加工所/
〒098-2204 北海道中川郡美深町川西50
Tel& Fax01656-8-7633/mobile 090-6216-2178
ホームページは/
http://www.kitagyusya.com
ちーず新聞・ブログは/
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