Archive for 9月 20th, 2011
『TPPが日本を壊す』
火曜日, 9月 20th, 2011廣宮孝信・著 青木文鷹・監修 扶桑社
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは、土井英司です。
毎日新聞が、こんな記事を発表していました。
<農業などあらゆる分野の関税撤廃を原則とする環太平洋パートナ
ーシップ協定(TPP)の交渉に、日本が参加するかどうかの判断
を、日本政府が迫られている。米国が参加する貿易自由化協定であ
るため、政府与党内には「成長戦略に欠かせない」との主張がある
一方、農業などへの影響を懸念する声は強い。TPP交渉参加9カ
国が大筋合意を目指す11月末は目前だが、野田政権は難しい判断
を迫られそうだ。【野原大輔、和田憲二】>
本日の一冊は、現在政治の焦点となっているTPPについてわかり
やすくそのメリット/デメリットをまとめた一冊。
日本政府はこのTPPを進める考えのようですが、加盟すると、日
本の産業に大きな影響が予想され、業界によって明暗がはっきりと
分かれそうです。
たとえば、商社にとっては商圏が拡大する上、業務上の手続きが簡
素化するため、メリットだらけ。小売も日本に居住する外国人が増
えることによってお客が増えますが、地方自治体にとっては、政府
調達開放に必要な新規コスト(資料の翻訳=税金から賄われる)が
発生します。
この辺は、業界によって言うことが違ってきそうなので、情報発信
者の利害関係に十分注意を払う必要がありそうです。
本書によると、TPPは農業だけの問題ではなく、公共事業や地方
の中小企業に、甚大な影響を及ぼす可能性があります。
しかも、大きなリスクをはらんでいる割に、マーケットが広がるか
どうかわからないということで、本書では、「もし日本にとって農
業を守りつつ市場を広げたいのであれば、ペルー、コロンビアの2
か国とFTA/EPAを結べばこと足りる」との見解を示しています。
もちろん、悲観派の書いた本であり、ここで示された見方がすべて
とは言えませんが、巻末には実際の条文の和訳も付いており、TP
Pが何か、おおまかに把握するには、手頃な一冊だと思います。
ぜひ読んでみてください。
————————————————————
帝国データバンクによる全国1万社を対象としたアンケートでは
「TPP参加が日本にとって必要」とする国内企業は65%にものぼる
反対側の旗印は何といっても「農業保護」でしょう。高い関税で守
られている農産物の関税がゼロになってしまえば、農家にとっては
まさに死活問題
TPPがFTA/EPAと決定的に違うのは、FTAはお互いの国
情に合わせて譲れない分野を例外とし、残りの分野で関税撤廃など
の連携を広げるのに対し、TPPはその例外を一切認めない
経済産業省はTPPに参加しなければ、2020年の時点でGDPが10
兆5000億円減少するとし、内閣府も参加によってGDPが2兆~3
兆円のプラスになるというデータを発表しています
農業・漁業者とその関連団体が反対するのは、コメの778%をはじめ
牛肉は38.5%など輸入農水産物には関税がかかられ、もしその関税
が撤廃されてしまえば、安い外国の農水産物が国内市場を席巻し一
次産業が大きな痛手を負うからです。北海道の試算によると、地域
経済の損失は2兆1254億円に及び、道内全体で17万3000人の雇用が
失われるとしています
農林水産省もTPP参加で約4兆5000億円の生産減となり、食料自
給率は40%から13%に低下し、関連産業も合わせた影響額はGDP
が8兆4000億円減少、350万人の雇用が失われるという試算を出して
います
TPP参加によって日本的なローカルルールが規定に抵触するとい
うことは、終身雇用や社会保障が否定されるということと同義
入札価格の基準ラインが下げられることで、市区町村レベルの公共
事業でも大型案件はすべて国際競争入札の対象になる
基本的にはTPPによって貿易障壁のない「商圏」が広がります。
それだけでなく、商社にとっては手続きの平準化、特に「原産地表
示」と「貿易手続き」の面でその負担が軽減されるでしょう
日本経済においては景気変動における労働需要の変化に対し、建築
業が事実上の安全弁として機能してきた歴史があります。またデフ
レが続いている現在でも、この「雇用維持機能」や「景気浮揚機能」
としての公共事業は地方ではより重要な役目を果たしています。し
かしTPP加盟後は海外企業が落札してしまい、今まで景気対策や
雇用対策として機能していた公共事業がその機能を失ってしまうか
もしれません
アメリカは自動車や工業分野などお互いの得意分野が重複している
ため、日本とは「利害対立国」です。これらの利害対立国を除くと
日本がFTA/EPAを結んでいない国は事実上ペルー、コロンビ
アのたった2か国だけになってしまうのです。もし日本にとって農
業を守りつつ市場を広げたいのであれば、ペルー、コロンビアの2
か国とFTA/EPAを結べばこと足りる。
「売れる営業マンになるための七か条」
火曜日, 9月 20th, 2011まほろばでは「営業」という課がなく、いわゆる外商をしたことがない。
言ってみれば、店内で営業をしている。
加賀田さんの言う、物事を口移しに真似るというのは、
創造の第一歩であり、何事でも上手に真似ることが上達のコツでもある。
(加賀田式セールス学校講師)
『致知』2011年10月号
特集「人物を創る」より
────────────────────────────────────
私は三十九歳でこの社員教育の仕事を思い立ったんですが、
始めるに際してパンフレットなどを作りました。
その時に改めて考えてみたんです。
なんで私はたまたま売れてきたのか、
なんで私の課はいつも一番であったのか。
そこで思い立ったのが次の七か条でした。
●その第一が、営業のセオリーを教える、です。
ゴルフにはゴルフの、野球には野球の、
その他技術の伴う行為においては
必ずセオリーというものがありますよね。
その営業のセオリーを順序立ててまず教えます。
●第二は、お客様と実際にお会いしてから、
契約を終えるまでの一言一句のトーク、これを暗記させる。
ほとんどの営業マンはどんなにやる気があっても、
感じがよくても、いざお客様の前に行ったら、
頭が真っ白になって口ごもったり、
話を聞いてもらえませんかとか、
こんな商品に興味はございませんかとかだけを聞く
御用聞きになってしまう。
だから、実際の戦闘術であるトークを一言一句暗記させます。
●そして第三に、暗記させたトークを
何遍も何十遍も練習させます。
抑揚をつけ、感情を込めて、全身全霊を込めて話す。
そうすればアプローチからクロージングまで、
立て板に水を流すように、もうスラスラスラーッと話ができます。
●そして第四、最後の仕上げは現場に同行します。
どのようにやるか?
私が「ごめんくださーい」と飛び込んで、
目の前で売ってみせるんです。
すると部下は、あぁ、いままで
自分が勉強してきたことと一緒だ。
喋っている内容も話し方もまったく一緒だと納得する。
そうしたら営業マンの、プロの、
あるいは永遠のスーパースターの一丁あがりです。
●第五は、会社と上司を信頼させる。
私が何で十七社かわってきたかといえば、
そのほとんどの原因は上司不信、会社不信でした。
●第六は、絶えず夢を与える。
女性は現実的ですが、男は夢のためなら何でもする。
夢のない人にはとりあえず夢を決めさせます。
夢を持たせて、燃え立たせる。
●そして最後は、喜びと恐怖を与える。
どんなにやる気があっても、夢があっても、
きょうはなんとなく朝から気持ちが弾まない。
頭じゃ分かっているけれども、
体が動かんということがある。
そこで私は部下に張り合いを持たせるんです。
張り合いとは何か。
その日頑張ることの喜び。
頑張らないことのデメリット(恐怖)を与える。
以上、七項目。振り返ってみると、
どうもこれが功を奏したんじゃないかなと思います。