まほろばblog

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「脳内の内部留保を厚くせよ」

月曜日, 9月 26th, 2011

       
       
            生田 正治 (商船三井最高顧問)
        
            『致知』2011年10月号
             連載「二十代をどう生きるか」より

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 私自身のことを振り返ってみて、
 二十代でまず大切だと思うのは、
 自分の頭で考える力を養う、ということが一つ。
 
 次に、様々なことに幅広く興味や関心を持つこと。
 
 私の周りを見てみても、社会的に成功を収めているのは
 好奇心のかたまりのような人がほとんどである。
 そういう気持ちを常に持っていることが、
 人をよく知ることにも繋がっていくのだろう。
 
 
 また人を知ると同時に、自国の歴史を知っておくことは
 外国人と交流をする上での必須条件である。
 
 私が社会人になってから愛読したのが、
 司馬遼太郎の一連の歴史小説だった。
 
 中でも『坂の上の雲』に描かれている
 氏の歴史観や国家観には深い感銘を受けた。
 
 氏はこの作品の中で革命によって
 短期間に近代国家をつくり、
 列強を打ち破る様を描きつつ、
 その主導者がどういった末路を辿ったかを表し、
 次代への警鐘を鳴らしている。
 
 
 また同じく氏の『世に棲む日日』には、
 “革命は三代で成立する“との記述がある。
 
 初代は吉田松陰のように思想家として現れ、
 二代は高杉晋作のような乱世の雄(戦略家)、
 そして最後に現れるのが伊藤博文や山県有朋といった
 実務家だというのである。
 
 氏のこの洞察は、ビジネスの世界にもそのまま当てはまる。
 
 但(ただ)し、現代は昔とスピードが違うので、
 経営者は一人でこのうち二役以上を兼ね、
 思想(ビジョン)を明示し、戦略を打ち立てる。
 
 それと並行する形で有能な実務家を配下につけ、
 改革を行っていくという具合である。
 
 総じて言えば仕事や読書、遊びを通じて若い頃から
 「脳内の内部留保」をできるだけ広く深め、
 また出会った方々との関係も大切にし、
 どんな物事にも対応できるよう力を蓄えておくことが
 二十代を生きる上で肝要ではないかと思う。
 
 日本国を根本的に変えていくのは
 いまの政治家や経済界の幹部層ではなく若い人の力である。
 俄かに物事は成せずとも「継続は力なり」と信じ
 何事にも粘り強く取り組んでいってほしいと願っている。