「企業業績と経営者の全人格はイコールだ」
水曜日, 11月 2nd, 2011「企業業績と経営者の全人格はイコールだ」
伊藤 謙介 (京セラ相談役)
『致知』2011年11月号
特集「人生は心一つの置きどころ」より
http://www.chichi.co.jp/monthly/201111_pickup.html#pick2
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全従業員の意識の集約したものが会社というものであり、
それを少しでも高い次元のものとするためには、
まずその会社を率いるリーダーの人間性を
高めなければなりません。
リーダー=フィロソフィという意識を
持たなければならないと思います。
そのことに関連して、社長時代に
強く印象に残っていることがあります。
バブル崩壊による不況の時に、
なかなか思うように業績が伸びずに、
稲盛に相談に行ったことがありました。
そうしたら稲盛に、
「企業業績と経営者の全人格はイコールだ。
会社の業績はあなたの全人格の
それ以上でもそれ以下でもない」
と諭されました。
厳しい言葉でしたが、改めて己を振り返ってみると、
なるほどなぁと納得できました。
本当に社員を魅了するような魅力が自分にあったか、
自分を尊敬してついてきてくれる社員がどれだけいたか。
自分はまだまだだったなぁと。
それが業績に影響していたのかもしれません。
ただ、自分の器量をいかに大きくするかという課題に、
これだという解はありません。
やはり日々真剣に生きる以外にない。
自分の生き方そのものが立派でなければ
社員はついてきてくれません。
指針となったのはやはり京セラフィロソフィでしたが、
中でも特に心掛けてきたのが、
努力、忍耐、執念、そして闘争心に関わる教えでした。
そんなものはいらない、企業経営というものは
もっと論理的なものだという人もいますが、
実際に創業時を体験し、様々な試練の中で
経営に邁進してきた私の実感として、
やはり経営はそうした心の持ち方に
留意せずには成り立たないと思います。
※成長のベースとなった京セラフィロソフィ。
そのエッセンスともいえる
「稲盛経営12ヵ条」をご紹介します。
(※『致知』11月号にも全文を掲載しています)
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● [稲盛経営12ヵ条]
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1.事業の目的、意義を明確にする
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公明正大で大義名分のある高い目的を立てる。
2.具体的な目標を立てる
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立てた目標は常に社員と共有する。
3.強烈な願望を心に抱く
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潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと。
4.誰にも負けない努力をする
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地味な仕事を一歩一歩堅実に、弛まぬ努力を続ける。
5.売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える
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入るを量って、出ずるを制する。利益を追うのではない。
利益は後からついてくる。
6.値決めは経営
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値決めはトップの仕事。お客様も喜び、
自分も儲かるポイントは一点である。
7.経営は強い意志で決まる
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経営には岩をもうがつ強い意志が必要。
8.燃える闘魂
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経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要。
9.勇気をもって事に当たる
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卑怯な振る舞いがあってはならない。
10.常に創造的な仕事をする
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今日よりは明日、明日よりは明後日と、
常に改良改善を絶え間なく続ける。
創意工夫を重ねる。
11.思いやりの心で誠実に
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商いには相手がある。
相手を含めて、ハッピーであること。皆が喜ぶこと。
12.常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で
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