まほろばblog

Archive for 11月 8th, 2011

有機生姜の菅原さん

火曜日, 11月 8th, 2011

先日ひょこり、由仁町の菅原徳八さんが来店された。

有志で立ち上げた「農事組合法人ユニファーム」の蔬菜部の一員でもある。

しかも「北海道オーガニック推進協議会【ホスク】」の認証団体に属している。

菅原さんは、道内では珍しい生姜の生産者でもある。

まほろば農園と同じような蔬菜をハウス11棟で作っている。

そのほか、籾殻薫炭を作ったり、鶏を飼ったりしている。

地温が12℃以上になる5月末に株を植え、10月20日頃収穫する。

その間、5ヶ月、元々東南アジアが原産なので、北国での栽培は難しい。

国内では高知辺りが主産地で、畢竟それ以南が適正地ということになる。

しかも貯蔵を14℃常温に保たねばならないので、その施設がないため、

11月一杯で、売り切ることになる。

通年、菅原さんの生姜に、お目にかかることが出来ないのだ。

保存も大変なので持たない、まほろばの店頭にも今の間しか出ない。

そんな難しい根物に挑戦する菅原さんは、何かまほろば農園と似ている所があって微笑ましい。

儲からないと知ってあえて挑戦するその心意気が嬉しい。

見るとビックリするほど、飛び切り上等な生姜で、味もまた良い。

是非、今のこの時、一期一会で使ってみてはいかがですか。

キーンさんと日本文化

火曜日, 11月 8th, 2011

先日の文化の日、D・キーンさんの対談があった。

キーンさんといえば、川端康成や三島由紀夫の活躍の頃、しばしば文壇に登場していた。

「源氏物語」などの『もののあはれ』を解する稀有な親日家で、あのラフカデオ・ハーン以来の方ではないか。

日本籍も取得して、日本人として生を終えようとするその潔さに感心しながら、今の現代日本人は、

氏の万分の一も日本を解していないかもしれない。

余りの無知加減さに、私などは赤面するばかりだ。

外国へ行っても、向うで尊重されるのは、自国の文化を熟知して披瀝出来る内在力で、決して外国語ではないという。

そんなキーンさんが、あの余りにも有名な芭蕉の名句を見事に解説してくれた。

永遠と瞬間、彼岸と此岸・・・・・何か、無限心庵の解説のようになるが、

宇宙や自然の成り立ちを、五七五の中に凝縮させる俳句のスゴさ。

しかも、観念でなく情緒の彩りで、根底から歌い上げる日本語の深さ!

私達は、もっともっと祖先の遺産を学び、受け継がねばなりませんね。

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キーン : 俳句の面白さも、書かれていないものにあります。

たとえぱ、.とても有名な俳句ですが、

『古池や蛙飛び込む水の音』

つい見過ごしてしまいますが、ここに多くの含みがあります。

たとえば、古池という言葉は、芭蕉の前にあったかどうか疑問です。

おそらく「古池」とは芭蕉の造語でしょう。

考えてみれぱ、池はどんな池でも古いものです。

どうして、限られた17字に「古」という字を入れたのか。

ここでは古池」が永遠に流れる時を意味し、

「蛙飛び込む」が瞬間を意味します。

つまり「永遠」と「瞬間」という両極端の世界が、

対時した刹那が表現されているのです。

幾何学的に見て「古池」が横、「蛙」が縦

その瞬間恒生ずる水の音…。

素晴らしい。

あの俳句は、見事なものです。

全部言ってしまつたら、それ以上想像できない。

しかし、十分な目印を見付けられたら、

それまで感じられなかった喜びを感じることができます。

中山 : 語り尽くさないことで、自分が参加していける喜びがある。

世阿弥の風姿花伝にある『秘すれば花』という美学にも通じます。

 「信用は使ってはならない」

火曜日, 11月 8th, 2011

       
       
 黒田 しょう之助 (コクヨ会長)
        
    『致知』1999年11月号
  特集「本物は続く、続けると本物になる」より
            

         ※肩書きは掲載当時です。

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人の信を得るということ、
つまり信用を築き上げるということは
一朝一夕にできないことは皆さんよくご存じです。

創業して間もない企業や中小企業は、
何とかして信用のある企業といわれるようになりたいと、
トップから一般社員まで大変な努力を続けておられると思います。

こうして真剣な努力を続けていると
その成果が上がってきて、
信用のある会社だといわれるようになります。

間題はその後です。

ある程度信用ができてくると、それを使い始める。

会社や社員の姿勢がだんだん高くなってくるわけです。

つまり「君、それくらいのことは何とかできんのか」
ということで、無理を言うことが起こってくる。
こちらが無理を言わなくても、先方から
「支払いはそんなに早くしてもらわなくても」
と言ってくれるようになる。

納期が多少無理でも、
徹夜してでも間に合わせてくれるようになる。

しかしそれに甘えて信用を使い出すと、
長い年月をかけ、血のにじむような努力によって
蓄積してきた信用が取り崩されてしまう。

先代はこのことを戒めて、次のように言いました。

「信用は世間からもらった切符や。
  十枚あっても、一枚使えば九枚になり、
 また一枚使えば八枚、といった具合に減ってしまう。
 
 気を許すと、あっという間に信用がなくなってしまう。
 特に、“上が行えば下これを習う”で、
 上に立つ者ほど注意しなければいけない」 と。
 
 
金は使ったら減るのはわかるが、
信用というのは目に見えないだけに
減ることがわからない。

先代はさらに

「信用は使ってはならない、
 使わなければどんどん増えていく」

とも言っていました。

(記者:使えば減るというのは当たり前ですが、
    つい忘れてしまいがちなことですね)

そうなんです。当たり前のことなのにできない。
事業をやるからにはどなたも最初はわかっていると思います。
要はそれを続けるかどうかです。

創業者の時代は見事にできていたものが、
年を経てくると信用よりも銭金の方が大事、
あるいは建物が立派な方が大事、という具合に
価値そのものが変わってくる。

幸せなことに私どもは大事なことが変わらなかった。

なにも人様の前へ出て話すようなことではないんです。
もう本当に三度三度のおまんま食べるぐらいの
当たり前のことばっかりなんですが、
当たり前のことがなかなか続かないんですね。

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