眞鍋 政義 (全日本女子バレー監督)
『致知』2011年9月号
連載「生気湧出」より
http://www.chichi.co.jp/monthly/201109_pickup.html#pick6
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【記者:特に重点的に取り組まれていることはありますか?】
昨年(2010年)からですけれども、日本独自の戦術、
戦略というものを考えながら練習しています。
ご存じのように、バレーボールには
2メートル24センチというネットがあるんです。
試合では、日本人にはとても打てない鋭角のスパイクを、
ものすごいジャンプをして高い打点からドカーンと叩きつける
外国人選手がいるでしょう。
誰だって
「とても日本人は外国人選手にかなわないな」
と思ってしまいますね。
マスコミも含めてバレーボールは
オフェンスの強さで決すると思う方も多いですしね。
でも、考えてみてください。
いくらスパイクがうまく決まっても入るのは一点です。
だったら日本人の強みを生かしたやり方で
一点を取ることはできないかと。
実際、試合に勝つ要因は数え切れないほどたくさんあり、
スパイクはその一つにすぎないんです。
身長やパワーはすぐに改善できるものではないし、
それなら日本が得意とする技術で世界一になろうと決めて、
そのための到達目標を設定しています。
バレーボールはチームでボールを繋ぎ合うスポーツですが、
そこには集団の和という目に見えない力が求められます。
それに身長やパワーだけでなく、サーブ、レシーブ、アタックなどでは
手先やプレーの器用さも必要です。
相手の読みを外す、相手の攻撃を読んで守備をするといった
緻密な作戦も大事になってきますね。
考えてみたら、和、器用さ、緻密さといったものは
昔から日本人の特性とされてきたことばかりでしょう。
これらを私は
「精密力」
と言っているのですが、つまりバレーボールって、
とても日本人向けのスポーツなんですね。
ですから私たちはサーブレシーブをセッターに正確に返す、
相手のスパイカーが打ってくるコースを
データを読んでブロックする、といった小さなことにこだわり、
確実にこなすことに力を注いでいるんです。
その小さな変化の積み重ねが大きな爆発力を生んで
32年ぶりのメダルに繋がったのだと思います。
特に今年は
「サーブレシーブ」「サーブ」
「ディグ(スパイクレシーブ)」「失点の少なさ」
の4つのジャンルで世界一になるのを目標に掲げています。
そういうことを踏まえて、最後はやはりチームワーク。
チームの総合力で世界と試合をして勝つ!
と皆で誓い合っているんです。
■眞鍋監督の写真入り記事はこちら(編集部ブログへ飛びます)
⇒ http://ameblo.jp/otegami-fan/day-20111116.html