まほろばblog

Archive for 2月, 2012

「自ら習い、盗まなければ身につかない」

土曜日, 2月 4th, 2012

 
  一龍斎 貞水 (講談師、人間国宝)

      『致知』2009年4月号
          特集「いまをどう生きるのか」より

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最近の若い人はよく、
「教えてくれないからできない」なんて言うけれども、
そういう人間は教えたってダメですよ。

カメラだって、シャッターを押せば
写真を写すことはできる。
けれども、カメラ、写真の神髄は、教えようがない。
つまり、教えてくれないんじゃなくて、
自分が何を受け止め、感じるかでしょう。

だから伝統芸というのは上の人が後に続く人に、
ついてこいというものではない。
後に続く者が先人の芸、技を盗み、
自分の中に取り込んで練り上げてゆく。
それが伝統を守ることに繋がってゆくのだと思います。

僕はたまに

「貞水さんはあまり後輩にものを教えませんね」

って言われるけど、僕らは教えるんじゃなくて
伝える役なんです。
伝えるということは、それを受け取ろう、
自分の身に先人の技を刻み込もうとするから
伝わっていくもの。

教えてくれなきゃできないって言ってる人間には、
教えたってできませんよ。

実は我々も若い頃、自分の技の拙いのは
先輩が教えないからだって
愚痴っていたことがありました。
そうしたら師匠に言われましたよ。

「おまえたちは、日頃いかにも弟子だという顔をして
 俺の身の回りの世話をしているくせに、
 俺が高座に上がっている時、
 それを聴こう、盗もうって気がちっともない。
 ホッとして遊んでる。
 
 俺が高座に上がっている時は、
 どんなに体がきつかろうと、
 お金を払って見に来てくださっている
 お客様のために命懸けでしゃべってるんだ。
 
 その一番肝心な時に、聴いて自分から習おう、
 盗もうって気がないからうまくならないんだ」

2月の感謝祭!

金曜日, 2月 3rd, 2012

今日から、2月の感謝デー。

2・8は一年で最も暇な月ですが、何か爆発しそうな勢いのあるスタートの朝。

みんな、張り切ってお客様をお迎えします。

 

 3日の節分も重なって、「恵方巻」販売や「うさと展」なども同時開催、

「食」ライフさんの直売もありで、店内は、ごった返しています。

外は例年にない大寒で、これほどの寒さは経験ないほどです。

それでもめげずに、頑張っています。

光が強く射して来ましたので、今の内におこし下さいね。

『松下幸之助 成功の秘伝75』から

金曜日, 2月 3rd, 2012

『松下幸之助 成功の秘伝75』(渡部昇一・著)より
 

 幼い頃から松下幸之助を
 尊敬の念をもって見つめ続けてきたという著者は
 かつて松下氏の依頼を受けて伝記を執筆し、
 氏の晩年には月に一度、
 直接話を聞いてその教えに触れたといいます。

 本書は松下氏と親交のあった著者が、
 自身の体験に基づく深みのある解釈を
 織り交ぜながら、氏の歩んだ生涯をたどり、
 氏が体得し実践してきた成功の秘伝を
 75のテーマに厳選したものです。

    *     *

   松下さんは数多くの苦労をしてきたが、
   苦労話を偉そうに話していない。
   「いまから見れば大変なようだが、
    当時としてはそんなでもなかった」
   という見方ができるのは、
   自分を客観視できる“大人”の証拠である。
                 ―― 第一章 大をなす者の条件 より

   若さの特権とは、時として
   最も危険な要素を無視して
   決断を下すところにある。
   若さと蛮勇がない人は、
   一業を興す人にはなれないのである。
                 ―― 第二章 少青年期をいかに過ごすか より

   本物の商売人には
   お客さんを喜ばせたいという
   本能が備わっている。
   徹底的に相手側を喜ばせたいという気持ちが
   なければ、商売は絶対にうまくいかない。
                 ―― 第三章 商売の心得 より 

   どんな貴重なものでも量を多くすれば、
   ただに等しい価値をもって
   提供することができる。
   そうすれば貧乏から生ずるあらゆる悩みは
   除かれていく――これが松下さんの得た悟りであった。
                 ―― 第四章 経営とは何かより

  
   独立した商売人としての松下さんの最初の成功は、
   頑張りつつ柔軟に転換したというところに理由があった。
   事業家は頑張らなくてはいけない。
   しかし、固執してはいけないのである。
                 ―― 第五章 経営者の資質 より

    *     *

 人生の指針となるものから、
 事業経営に関する幅広いテーマについて、
 具体的なエピソードを紹介しながら、
 松下氏の生き方、考え方に迫っていきます。

 その中でも、氏が自転車で
 品物を運んでいた際に自動車に跳ね飛ばされ、
 走ってきた電車に危うく轢かれそうになる
 という大事故に遭ったときの話は印象的です。

 氏は命の危険にさらされながらも、
 大した怪我を負わなかったことから、
 かえって自分は強い運の持ち主であると
 信じるようになったといいます。

 また、松下氏が両親から受けた影響や
 丁稚小僧時代の実体験の数々は、
 その後の大経営者・松下幸之助の
 人生観、仕事観のベースを明らかにしており、
 一読の価値ありです。

 どのようにして「経営の神様」、
 松下幸之助は生まれたのか。
 
 本書には「成功するための秘伝」が
 多岐にわたって紹介され、
 人生や仕事に活かすヒントに溢れています。
 自信をもっておすすめする一冊です。

名碗を観る

木曜日, 2月 2nd, 2012

当代きっての目利きと言われている林屋晴三氏の近著「名碗を観る」を読んでみた。

陶芸家にとっての最終的難関は茶碗にあると言う。

確かに、一碗を一城と取り替えるという逸話があるように、

大名をして命をかけるほど魅惑せしめる何かが潜んでいるのだろう。

「一壺中に天外を観る」とは真実の話しなのだ。

半世紀以上、古今東西の茶碗を見続けて来た林屋氏にとって、

その心眼は、あらゆるものに通じる活眼となっていた。

長い文中、最後の対談で、チラリと本音を明かされた。

それは、私が常に抱いていた事でもあった。

前後は割愛させてもらったが、要は情緒と感覚の違いではないかと思う。

現代の何事でもいえることだが、ことに芸術においても、

目先の感覚や感性ばかり取り沙汰されて、依って来るところの心が見えなくなった、

とでも言えるのだろうか。

そんな意味でも、胸の閊えが取れた一瞬でもあった。

表現が先にあるのではなく、自ずと後に現れるものなのだ。

現代に求める茶碗とはどういうものですか?

長次郎でもなく、オブジェの前衛でもなく、今を生きる感覚を

持つものが存在するはずだということですか?

林屋…そうではなくてね。

若い人が最近やたらに茶碗を造っていますが、なにか表面的です。

前衛的な造形性を求めた浅い自己主張なんです。

碗をオブジェとして造っているのなら構わないけれど、茶碗として造っている

なら、一碗の茶を飲ませることへの愛情がほしいと思うんです。

茶碗というものは、人に一碗の茶を飲んでいただく

という思いの中から出ないとだめなので、心の豊かさから生まれたものでないと。

表現者としての白己主張を打ち出そうとする茶碗では、

濃茶を練ってみても、どうしてもおいしい茶が点たない。

茶碗においしい茶を点てさせるものがないのでは困るのです。

茶巾で拭いても、ざらざらして中側をまわらない。

自分の表現だけがあって、茶碗として成立するものを捨てていると思わざるを得ない。

みんな今に生きているんですが、理想の茶碗とは何ぞや

という点では何人もそこへ行つていない。

だから僕がやるより仕方ないと思うんだ。・・・・・・

まほろばバレンタインケーキ

木曜日, 2月 2nd, 2012

名パテシエの大和さんの再登場で、バレンタイン・ケーキが販売されます。

試食しましたが、正に絶品!!

やはり本物の原料と腕が、ものをいいますね。

きっと、彼のハートを射止めることでしょう!!!

限定品ですので、早目のご予約を。

3月には、お雛さまケーキも出す予定です。

まほろばのみなさまへ

木曜日, 2月 2nd, 2012

一昨日は、恵方巻で橋本くん、チョコで大和さん、

お香立てで堀内さんと、かつてのソフテの仲間が、何の予告もなく来てしまった。

そうすると、今度は、湘南の「cafe girino」の 玉生君からおたよりがあり、みなビックリ!!

こんな事って、あるんですね。

シンクロの不思議な働きには、本当に驚きました。

玉生君のメッセージをお読みください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お元気ですか。

新しい年が始まり、はや2月。

2012年の売り出しも二回目を迎えるわけですね。

いつも様々な商品と、楽しいお便りをありがとうございます。
我々ジリーノも、心新たに、そして真摯に日々取り組んでいくのみです。
今年は、さらにいろいろな企画がもちあがっています。
葉山の神社で開催される朝市に出店したり、三回目となるアーユルベーダの講習会、

ギャニオンさんのメイプルの会、落語と落語にまつわるお話を、

江の島にちなんで名付けた「弁天寄席」なるかたちで一席。
なんだか、面白くなりそうです。
それから、堀内さんには器を注文しようかと思っています。
春には北海道へ移住する友達もいたりで、北海道・札幌とのご縁はずうっと続きそうです。
これからも、よろしくお願いいたします。

連日の寒波・大雪、どうぞみなさまお体大切になさってください。
cafe girino 玉生
追伸・ はっしーの恵方巻!

懐かしいですね。食べたいなぁ!

「現場力の高め方」

木曜日, 2月 2nd, 2012

      
       
  遠藤 功 (早稲田大学ビジネススクール教授、
        ローランド・ベルガー会長)

     『致知』2012年2月号
       特集「一途一心」より
         

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現場力を高めるにはどうすればいいのか――。
経営者にとって痛切な願いであり、永遠の課題であるに違いない。

しかし、それは社長が現場に出ていって
「おまえたち、もっとしっかりしろ」と檄を飛ばすことではない。
現場力というボトムアップの動きは、
実はトップダウンからしか生まれない。

重要なのは、経営者が現場に対してことあるごとに

「君たちが会社のエンジンなんだぞ」

と働きかけ、モチベーションを高めること。

現場の仕事をよく見て、

「この前のあの改善、よかったな」

と褒めること。

そして貢献した人物を正しく評価して登用していくことである。
経営者がこの努力を怠っては現場力の向上はあり得ない。

そもそも現場には慣性の法則が流れている。
現状のまま、決められたことを繰り返していることが
現場にとって一番楽である。
しかし、それでは現場は進化しない。

私がコンサルタントとして企業に入り、
まず着手することは、自分たちがいかに惰性に流され、
言われたことしかやっていないのかを気づかせ、
目を覚まさせることである。

それには「あなたたち、ダメですよ」と叱っても意味がない。
よいお手本、よい事例を実際に見せることが最も効果的である。

そこで私の顧問先で現場力の優れた他企業に連れていき、
見学をし、社員の話を聞いてもらう。

例えば、トヨタ自動車の生産現場に連れていき、
働いている人の話を聞かせると、
やはり皆「すごい」と驚く。

トヨタでは、年間約六十万件の改善提案が出て、
その九十%は実行されている。

当然品質もよくなり、コストダウンもできる。

見学に訪れた一人の社員が、トヨタの社員に

「どうしてこれだけの改善ができるのですか?」

と質問したことがある。

うちの会社はできないのに、なぜできるのか、
という素朴な疑問である。

それに対し、トヨタの社員は

「なぜできないのですか?」

と逆に質問していた。

これが現場力の決定的な違いだ。

トヨタでは自分たちの業務を改善するのが
当たり前だという企業風土が根づいている。
一方、現場力の弱い企業には改善するという風土がない。

この事例からも分かるように、
現場力は一朝一夕に高まるものではなく、
時間をかけてつくっていく組織能力である。

一年やそこらの取り組みで、簡単に手に入るものではなく、
五年、十年かけて根づかせていくもの。
倦まず弛まず現場力の重要性を説き続け、
その仕組みをつくり、根づかせるのが経営者の仕事といえる。

「無限ハート・お香立て皿」販売

水曜日, 2月 1st, 2012

https://www.mahoroba-jp.net/newblog/?p=1917#comment-167

昨夜、堀内洋子さんが、出来立ての作品を持って来られた。

「無限ハート・インセント・プレート(お香立て皿)」。

あの織部焼き、濃緑の釉薬など、さまざまな意匠は変化に富んで美しくも愉しい。

4mm、2mmと大小の線香の太さに応じられるよう、また灰が中心に落ちるよう工夫されている。

女性作家の感性だろうか、店でも女の人が「かわいいー」と歓声を上げている。

初心者にしては、中々のもの。

まほろばからデビューしたのもまた嬉しい。

これから、少しづつ数を増やしてゆく予定です。

中皿 ¥2.500   小皿 ¥2.100

わこチャン報告

水曜日, 2月 1st, 2012
2012.01.30 Monday
ボブ・サムも2/11!
 
 
大切な友人でもあり、通訳をさせて頂いたこともあるアラスカ、
クリンギット族の語り部ボブ・サム氏。

先日久しぶりに電話で話した時は、電話口に出るなり語り部の時のようなゆ~っくりした低い声で

「オ~ハ~ヨ~ゴ~ザ~イマ~ス」と相変わらずの茶目っ気ぶり(^^)

ボブ・サム今来日の初回イベントは2/11☆
昨年に続き、今年も奈良さんと日本を巡るようです。

偶然にも私の朗読会も、私にとって大切な人たちのイベントも2/11。

宮田雪監督追悼会@神戸、アルカトラズ島のサンライズセレモニー、そして更にボブまで!

ボブのサポートブログよりご紹介します。関東の方おすすめです☆

ともしびの巡礼2012 ボブ・サム&奈良裕之 in 東京

その昔、人が旅をするとき、荒野を安全に渡るためには自然に頼るしかありませんでした。

道しるべとしての太陽、月、星、それと自然についての智慧が、人間にとって最も大切なものでした。
自然と調和して生きることは、次世代の未来が安心であることを約束することでした。
旅の安全のために、シャーマンたちは祈り、歌い、感謝の気持ちを示して厄難を除けます。
目的地に近づくと、地平線上にはしばしばともしびが見られました。ともしびは旅人にとって、
その土地に食べ物と寝る場所があり、その地が安全があることの象徴でした。
今日では私たちの魂が、私たちが誰で、どこから来たのかを思い出させてくれるともしびの役割を果たしてくれます。
この先私たちが自然と調和して生きていけるように、私たちは音霊と神話をともに分かち合い、
これからも食べ物と寝る場所を求めて、安全を求めて、旅を続けていくのです。
ボブ・サム

■日時
2012年2月11日(土) 17:30開場 18:00開演

■場所
マスミ東京 スペースMURO
東京都豊島区巣鴨4-5-2
本社TEL 03-3918-5401
ショールーム直通 03-3915-4100
http://www.masumi-j.com/

■会費
5000円(定員50名・要予約)

■お申し込み・お問い合わせ
ワタリガラスの会
080-3501-5150
ravenfoundation@hotmail.co.jp

この<ともしび巡礼>昨夏はまほろばにも来ましたよ。地下の『無限心庵』が会場でした。

ボブが物語を語り、奈良さんが音を紡ぐ。2人の深いコラボが別世界へと誘いました。

まほろばの地下『無限心庵』を「最も素晴らしい場」と語ったボブ。
昨年の震災を日本で経験したボブは、東日本の被災者や被災地したのみならず、
母なる地球の汚染(海や大気、動植物)などにも心を痛めており、
語りの後クリンギット語で祈りを捧げていました。

実は、事前にボブから知らされていた日程は、

ちょうど私が札幌を留守にする期間だったのでボブとの再会を諦めていたのです。
ところが札幌に戻りまほろばを訪れた日が、
何と急きょ決まったまほろばでのボブと奈良さんの公演日!
「いや~さすがだね(^^)」と社長はじめ事務所の方に言われながら、
その日の予定を変更して参加する事に。

ボブ一行が到着し再会を喜んでいたら、ボブサイドから通訳を依頼して下さり

、これまた急きょ私が通訳担当に(^^)!

直前の依頼だったので、ほぼぶっつけ本番でした(^◇^;)

 ボブの通訳は以前にも経験があるので、大急ぎでザッと内容を確認!

でも、ボブのシンプルな魂の語りはスルリと私の中を通り抜けていくのです。

彼の思いを感じ、言葉をとらえ、来場されたかたの心と魂に向けて差し出す。

そんな作業なんです。
ボブの通訳。

大好きなんです。

心から。


(写真:先住民族サミット2010 WINアイヌ・愛知県立大共催 にて)

話がそれたついでにもう1つお話します。
実は、私が朗読を始めたのはボブの通訳をしたのがきっかけです。

ボブは物語を語るとき、先ず通訳担当者に日本語に翻訳された物語を読んでもらいます。
その後、ボブ本人が英語で語りだすのです。

数年前、友人の結城幸司さんが尊敬する語り部ボブを北海道に招きました。

その時、「通訳わこにやってほしいんだよね」と言ってくれたんです。

うれしかった

いろんな意味で本当にうれしかった

ボブとは初対面でしたが、2週間ほど同行して通訳や案内をしました。

クリンギット族のこと、物語のこと、ボブのこと、アイヌに対する思いや先住民族としてのいろいろ、
魂の話など、ボブは色々シェアしてくれました。
しっかりしたバックグラウンドがあってこそ、良い通訳が叶う事を彼は知っているのでしょう。

物語の翻訳をボブに先立ち朗読するにあたり、「棒読みは避けたいな」と強く思いました。

だって、彼の素晴らしい語り口、時に身振り手振りも入るあの臨場感あふれる魂の語りを何とかそのまま手渡したい!

その思いから、ボブに「私なりに感情をこめて読んでも良い?」と問うと

「わこの好きにやったら良いよ」との答え。

本番、ボブの語りを心に描きながら、日本語の翻訳文を読みました。

事前に書き込んだ句読点などを追いながら。ボブの語りの世界を追いました。

私の中にも響きわたる声が心地よく、朗読が好きになりました。

初回の後、ボブの世界観をなるべく伝えられたかな?と思っていた私に、

ボブは「君も語り部だね(^^)」と笑顔で言ってくれました。
そして、彼がかつて学んだという発声方法を教えてもくれました。

いつか、また何か心が震えるような物を朗読したい!そう思ったのです。

それから1~2年でしょうか。
あったのです。
心がぐいっと鷲掴みにされた本が。

それが今朗読している『生命の始まりから浄化の日まで~ホピ物語~』です。

冒頭にも書きましたが、私の今年初の朗読会と同日に、

私を朗読に導いてくれたボブ・サムの今年初語りの会があるなんて!

他にも深い繋がりのあるイベントが2/11にあります。

それについては、1/18のブログ2/11 神戸 札幌 アルカトラス島をご覧ください(^^)

「“現場”はコストではなく、バリューである」

水曜日, 2月 1st, 2012

      
       
 遠藤 功 (早稲田大学ビジネススクール教授、
        ローランド・ベルガー会長)

   『致知』2012年2月号
              特集「一途一心」より
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私たちの周りにはたくさんの「現場」がある。
飲食店やコンビニ、スーパーなどの店舗、ホテルや病院など、
日常何気なく接しているところが、
企業の側からすると紛れもなく「現場」なのである。

この現場に内在する現場力こそが企業の実力であり、
現場力が強い企業ほど景気に関係なく成長・発展を遂げている。

ここで私が言っている現場力とは
「私たちは現場で一所懸命真面目に働いています」
というレベルの話ではない。

その定義は、欧米と比較するとより明確になるだろう。
欧米のマネジメントでは、現場は上から指示されたことさえやれば
それ以上は求められないし、下手をすると、
それ以上やるのはよくないこととされる。

日本企業は違う。

天然資源に恵まれない日本がここまで経済成長を遂げたのも、
現場の一人ひとりが自らの担当する仕事を
「もっとよくしよう」と自発的に知恵を出し、
改善・改良をしてきたからである。

それは製造業でもサービス業でもすべて同じであり、
現場の人材の質こそが日本の競争力のベースであった。

ところが最近、様相が変わってきた。
バブル崩壊以後、「失われた二十年」といわれるが、
何を失ったかといえば、現場力を失ったに他ならない。

なぜ現場力が失われたのか。

それは一言でいえば、現場を
「コスト」として考えるようになってしまったのである。

現場を単純にコストと捉えれば、
正社員ではなく非正規社員を増やすほうが安上がりだし、
外に出せる業務はアウトソーシングしたほうがいい。

そういう流れの中に、アメリカ的な管理思想も入り、
コンプライアンスを含め、企業の管理強化がなされた。

「現場が自発的に動いて、企業責任を問われるような
 失敗をされたら困る」

というわけだ。

そうして正社員が減った代わりにパート、アルバイトを雇い、
「マニュアルどおりにやってくれればいい」と考える。
九〇年代以降、こういう企業が増えたのである。

もともと日本は現場をコストセンターではなく
「バリューセンター」と位置づけてきた。

企業の価値を生み出すのは役員や本社ではなく、現場である。
であるならば、少しくらいコストが高くても、
それを上回る価値を生み出せばいいのだ。

その昔、日本は「資本主義」ではなく「人本主義」といわれた。
企業活動の中心には常に人があり、
人の能力を最大限に活かすことが日本経営の大きな特徴であった。

だからこそ懸命に社員教育を行ったし、終身雇用を約束した。
それに応えるように、現場の社員は会社にコミットし、
「自分の会社」として必死に働いたのである。

いつ首を切られるか分からないという状況で、
使命感や責任感をもって会社にコミットする人が生まれるだろうか。

人材はコストではなく、バリューである。
この原点に戻ることが、現場力を高めるための第一歩である。