まほろばblog

Archive for 3月 10th, 2012

真夜中の火の番兵

土曜日, 3月 10th, 2012

ここ数年、業務用やリハビッシュ用などで、エリクサーのセラミックを焼く頻度が増えた。

焼成が始まると、夜中に2,3回起きて、炉の具合を見て、火を入れたり、止めたりする。

早朝、市場にも行かねばならぬので、その1週間は、体がしんどく、朦朧としている。

特に、還暦を過ぎての焼成は身に応えて、回復するのに長引く。

去年辺りから、上の息子が見真似で手伝うようになり、徹夜で火の番をする。

夜中、家内が何度も起されて0-1テストをするので、彼女も大変だ。

そこで、私は急に楽になって、高根のイビキである。

ラクチン、ラクチン、とばかり、最近は怠けている。

これ以上に、大変なのが、昨年暮れに伺った石孫本店さん。

炭で暖をとる昔ながらの室で、その温度具合を見ては、麹板を上に下にと取り替える。

それをやるのは、社員を帰らせた後の、裕子社長とお嬢さんの二人の仕事だ。

これは何週間も続くので、相当しんどいはずだ。

その記録帳を見せて頂いた時、焼成小屋の温度や時間管理と同じなんだな、と妙に親近感を持った。

今は、みなコンピューター管理で、自ら起きて麹を管理する所なんかは少ない。

でも石孫さんは、頑として蔵を近代化にしない。

手仕事、手作りを貫く。

まほろばの生産者は、みなこんな哲学を持って生き抜いて来た。

五体の感性を大事にして、これからも小さく少なく生きて行こうと思う。

「自己改革の6つのキーワード」

土曜日, 3月 10th, 2012

      
       
  大谷將夫(タカラ物流システム社

    『致知』2012年4月号
      特集「順逆をこえる」より
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 多くの経営者が近年の経営学を勉強されて
 効率化を図られているのは非常にいいことだと思います。
 私はこれを合理主義の経営と名づけて、今日まで取り組んできました。

  ところが職場で働く人間を大事にしたり、
  モチベーションを上げていって
  実力以上の力を出してもらうという人間に立脚した経営、
  これを人間主義の経営と言っていますが、
  これがいまの経営者は非常に弱いように思うんですね。

 合理主義を追求して、例えば10部門中9部門までが
 赤字だった長崎運送の場合、1部門を残して
 あとは全部切り捨てればよかったかといえば、
 そんなことないですよ。
 
 本当は再建できる要素があるかもしれないのに、
 赤字だから切り捨てろというのではあまりに短絡的です。

 ですから私の経営の基本にあるのは、
 一つが合理主義に則った業務改革・業務改善、
 そしてもう一つは人間主義に基づいた意識改革。

 どれだけ合理的・効率的に考えていいことばかり言っても、
 元気の出ない人がそれを実行しても効果は上がりませんよね。

 私は社長として就任する前の日曜日に
 全社員320名を集めて、
 経営方針発表会を開きました。
 
 そうしたらいままで社長の顔すら見たことがない
 という社員が半分近くいたんですよ。
 そんな会社では、社長がいくら発破をかけても伝わりませんよね。

 私はその場で全員に訴えかけました。
 きょうから会社が変わっていくから、
 皆さんも意識を変えてくれよと。

「明るく、

 元気に、

 前向きに、

 いまやる、

 頭をつかってやる、

 必ずやる」

 これは私が掲げた自己改革の6つのキーワード。

 もちろんただやろうじゃないかと
 精神論を唱えるだけではなく、
 具体的な再建計画も全員にお伝えしました。
 
 会社が危機的状況に置かれていることすら
 知らない社員もいましたから、
 ここで全員の意識を一つにまとめて一丸となって頑張ろうと。

 すると、社員の目の色が変わりましたね。
 懇親会では舞台から降りて
 社員一人ひとりと握手して回りました。

 興奮する社員もいれば涙ぐむ社員までいて、
 それはもう大変な盛り上がりでした。

 320人もいれば本当にいろんな社員がいます。
 でもね、そういう人たち全部をまとめて
 一つの方向へ引っ張っていくのが
 社長の一番重要な役割だと私は思っているんですよ。
 
 社員もまた会社でそれぞれ役割を担っているわけですから、
 私はオーケストラでいう指揮者みたいなものだと思います。

 その日から私は一気に勝負をかけました。
 なんせ十年間だらだらしていた会社だから、
 様子を見ながらなんて言っていたら
 またすぐ元の意識に戻っちゃう。
 
 最初の3か月が土台づくりの勝負だと思って、
 もう朝から晩まで
 
 
 「これじゃあかん」
 
 「君の考えはどうなんや」
 
 
 と叫び通しでしたね。

 それまでぬるま湯みたいなところで、
 見せかけだけの仕事をしている人が多かったから、
 実際320人の社員がいても
 戦力的には7掛けくらいで見ていましたよ。
 つまり224人。

 でもね、もし彼らがやる気になって
 普通の人の1,2倍働くようになったら
 384人分の戦力になるでしょ。
 
 そうしたら同じ人員のはずが、
 モチベーションが上がっただけで
 新規に160人採用したのと同じことになる。

 だからいかに社員を元気にさせることが
 重要かってことですね。
 
 一人を単に一人と勘定しているようでは、
 本当の会社の実力というものは見えてきません。