まほろばblog

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生きるために私は食べない

日曜日, 7月 22nd, 2012

   森美智代 (森鍼灸医院院長)

       『致知』2012年8月号
          連載「致知随想」より

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「生きることは食べること」

という言葉を聞いたことがあります。
人間は食べ物から栄養を摂り、エネルギーを得ている。
だから人は食べないと生きていけないと。

しかし、私は17年前から食べることをやめました。
いまは1日1杯の自家製青汁を飲むだけの生活です。
それでも私は生きています。
いや、だからこそいまも生きていられるのです。

体に異変を感じたのは、短大を卒業して
大阪府の養護教諭になってから半年くらい経った頃でした。

「なんか最近よく転ぶなぁ」と思っていましたが、
そのうち地面が急に上がったり下がったり感じるようになり、
数歩歩けば転ぶ状態に。仕事は続けられなくなりました。

大阪の名だたる病院をいくつも訪ね、検査を重ねた結果、
「小脳脊髄変性症」であることが分かりました。
10万人に5~10人の割合で発病するこの病は、
現在もはっきりとした治療法が見つからない難病です。

病名さえ突き止めれば治る方法があるだろうと思っていた私は、
小脳が溶けてなくなること、そしてこれまで
この病を完治した人がいないことを聞いて
絶望的な気持ちになりました。

その時、私はある人のことを思い出しました。

断食と生菜食を中心にした治療法によって
数々の難病患者を蘇らせてきた甲田光雄先生の存在です。

私は高校生の時、叔母に誘われ先生の健康合宿に
参加した経験がありました。
人は食べなければ死ぬと思っていた私は、
断食と少食によって難病が治るという甲田先生のお話に
目から鱗が落ちる思いがしました。

「よし、あの先生のところに行ってみよう」

甲田医院を訪ね、大学病院での診察結果を伝えると、
先生は私のお腹を診ています。

「私は小脳の病気なんだけど」と不思議に思っていると、
「宿便がいっぱいたまっていますね」と。
そして「断食と少食でよくなります」と言ってくれました。

治らないという西洋医学のお医者さんより、
よくなると言ってくれる甲田先生についていこう。
そして、私が小脳脊髄変性症の完治者第一号になろう。
そういう希望が生まれました。

甲田療法は食事療法と毛管運動や背腹運動などの
体操を組み合わせて行います。
私の場合、ひどい時は這ってしか
トイレにも行けない状態でしたので、
体操は調子のいい時だけで、メインは食事療法です。

朝食を抜き、食べる量を減らして少食にしながら、
こまめに断食を実践していきました。

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