「プロフェッショナルの条件」
木曜日, 2月 7th, 2013天野 篤 (順天堂大学医学部教授)
『致知』2013年3月号
特集「生き方」より
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プロフェッショナルとは、
より高みを目指す人だと思います。
プロスポーツにしても、とにかく記録を目指す。
前の記録よりも、よい記録を。
そして高いところに登った時に見える景色を
自分の中で謳歌できる人。
その景色を見た時、その空気を感じた時に、
前とは違う自分を感じている。
そしてまた次の新しい空気を感じてみたいと感じる。
それが本当のプロだと思うんです。
私は患者さんとのコンタクトもそうですが、
いまもまさに自分の手術を極めるために、
無駄と思うものは徹底的に削ぎ落とすようにしている。
そのことが最終的には、自分が世の中に対してできる
精いっぱいの貢献になるだろうと思うんです。
そんなふうに至った過程を申し上げると、
小学校の頃はそれなりに勉強ができたんですよ。
でも中学校へ通い出すと、
異性とか運動とかに興味を持ったり、
いろんなものに出合うじゃないですか。
そんな成長過程の中で勉強というものが下位に沈んでいって、
それをコツコツやることができなかった。
ところがちょうど一年前に『致知』の中で
「一途一心」という言葉に出合い、
そこに「コツコツは一途一心と同義である」と書いてあって、
これだと思った。
やればできると思っていた勉強が、
やってもできなくなった。
同じ努力をしていても抜かれてしまう。
それでも卑屈にならず、ひたすらに、ひたむきに
一つのことに打ち込んでいると、
あぁこれならできるというものが見つかるんですよ。
そして「やればできるじゃないか」という気持ちを
再び呼び起こしてくれるのだと思うんです。