「松本薫選手が金メダルを取れた理由」
金曜日, 3月 8th, 2013 稲田 明 氏(帝京豊郷台柔道館館長)
『致知』2013年4月号
特集「渾身満力」より
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【稲田】吉田沙保里さんもそうだと思いますが、
松本薫の場合も金メダルを取るための
練習をやってきた。
2位、3位じゃダメだ、
自分はそれだけの練習をやってきたんだ、
なんで負けられるか
という気持ちで戦ったと思うんですよ。
それが結果に繋がったんでしょうね。
柔道には体重別の階級制がありますが、
あの子の場合はパワーもスピードも必要
だということで、一日にあらゆる階級の
選手を相手にするんです。
また他の選手がぶっ続けでこなす
30分のメニューを、松本はさらに
2セット多くやる。要するに3倍ですね。
何がなんでも金を取りたい、
取るためにどうすればいいのか、
それを自分で考えてできる選手なんです。
【吉田】そういう選手は伸びますね。
【稲田】実は彼女の帝京大時代にもこんなことが
ありました。
ひと月に数回だけ指導に来る
偉い先生がおられたんですが、
その方が道場の隅で話をしている選手に
「おい、何を話しとるんだ! 練習やらんか」
と大きい声で言われたんです。
すると真面目に練習していた
松本がやってきて、
「先生、柔道は言われてやるものじゃないですよ。
自分の意志でやるものです」
と言ったんです。
【吉田】ほぉ。
【稲田】もう私、びっくりしましてね(笑)。
自分なんかは話もできないような先生ですよ。
本人は一所懸命やっとるもんですから
耳障りだったんでしょう。
彼女はそれくらいの強い意識で
練習に臨んでいる。
それがあの目に表れています。
【吉田】やっぱり自分の目標を自分でつくって
挑むことが大事ですね。
私も沙保里にはレスリングに対する情熱が
なくなったら、もうやめなと
言ってあるんですよ。
人の邪魔になる、人に迷惑を掛けてまで
やる必要はないと。
アテネ、北京、ロンドンで金を取ったのは
あくまで過去の問題で、
いま現在メダルを取ろうと皆が頑張っている中で、
嫌だと思いながら練習をするくらいなら
やめたほうがいい。
やる以上は世界の頂点を目指し、
四つ目の金を取る覚悟で頑張んなって。
Posted by mahoroba,
in 人生論
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