まほろばblog

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「冒険とは、死を覚悟して、そして生きて帰ること」

日曜日, 5月 26th, 2013
 三浦 雄一郎(冒険家)

              『致知』2004年3月号
               特集「壁を越える」より

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【記者:昨年(2003年)2月にお二人は、
    雄一郎さんのご長男の雄大さんを含めて
    親子孫の三代でアルプスのモンブラン大氷河を滑走され、
    さらに五月には雄一郎さんが世界最高齢で
    エベレスト登頂に成功されました。

    いずれも人類が、これまで越えることのできなかった壁を
    越えた大快挙ですが、現在のご心境はいかがですか?】

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エベレスト登頂ということは、
いくつかある自分の人生の最大の目標の一つでした。

結果として世界最年長記録になり、
モンブランは親子同時滑走ということになりました。
しかしどちらも死ぬ可能性はありますし、
それを承知で行っているわけです。

人間がある限界を越える世界に入っていくというのは、
死を承知の上でなければしないほうがいいし、
死をしっかり見極めて、かつそれを
どう乗り越えていくか ということになると思います。

冒険家の植村直己さんが

「冒険とは生きて帰ることである」


と言った言葉は有名ですが、
実は一行言葉が抜けていて、

「冒険とは、死を覚悟して、
  そして生きて帰ることである」

と言ったんですね。

自分の生命の限界を越えても、
そこに行く意志と能力を持って行かなければいけない
という言葉です。

僕は若い頃から、四十歳まで生きればいいと
いうようなむちゃくちゃなことをやってきて、
そのたびごとに生きて帰れないかもしれないということを、
ずっと繰り返し続けてきましたから、
その辺の覚悟はできていると思うんですが、
七十になって、人間が事を為すに当たって、
単純に言えば命懸けということを
実践できるかどうかということを試してみたかったんですね。

父、敬三がモンブラン滑走を終えてからポツリと
「今生の別れのつもりで滑った」と
漏らした言葉には感動しました。

エベレストに出発する一か月前でした。
前からその覚悟は知っていましたけどね。
万が一俺は死んでもしょうがないと。

そういう極限の世界まで入っていけるということが
すごいと思いますし、そういう覚悟があって
初めて事が成就するんだと思いました。