江戸っ子は今の3倍の飲酒量!
火曜日, 6月 11th, 2013
ひどくうすかった日本酒
さて、江戸時代の酒の総消費量がどう考えても多すぎる。まるで「酒の上に浮かんでいるよう」な按配(あんばい)だとか。醸造学の権威、東京農業大学教授の小泉武夫氏はご生家が酒蔵でして、江戸時代の資料どおりに酒づくりを再現してみた結果、あるところまでは、水で薄めても味が変わらない事を発見しました。
この頃は石造税といいまして、造った酒の量によって税をかける。それなら水分を少なくアルコール度の高い酒をつくり、あとで薄める方が得。すると樽廻船、問屋、小売と順番に薄まってゆく。このあたりはアウンの呼吸だったとか。消費者の手元に届く頃、アルコール濃度は四分の一にまで落ち、4ないし5%ほど。これ以上薄めるとさすがに分かったといいます。
日本酒の飲み比べの記録が残っていますが、とても信じられない量。しかし、これほどの薄さなら・・・いけるかも、といった按配なのでした。
「むらさめ」という酒は、持つと人を斬りたくて我慢ができなくなる妖刀の「ムラサメ」からで「切れ味がいいから」との説は嘘で、村に着く頃、醒めちゃう酒のこと。「むらさめの名のごとく、新川で多く居酒いたし候(そうらえ)ども、余、村へたどり着くまでに酔い心地ははや醒めたり」との記述があります。戦後はこういうのを「金魚酒」とよんだとか。中で金魚が泳げる酒、ということでしょう。