「伸びる選手の条件」
火曜日, 9月 10th, 2013 吉田 栄勝(吉田沙保里選手の父/
一志ジュニアレスリング教室代表)
『致知』2013年4月号
特集「渾身満力(こんしんまんりき)」より
以前うちの教室に、一万人に一人ともいえる逸材がいましてね。
本当に、格闘技をやるために生まれてきたような子で、
出る大会出る大会、全部優勝していきました。
そして小学生の時、柔道に転向し、
それも日本一になって
もう一度レスリングに戻ってきたんですよ。
ところが彼は、俺は日本一だという偉そうな顔をしていて、
態度が悪いものでね。
あれがもうちょっと素直だったら、
五輪も出られるんだろうなと思うんですが。
そういう選手は他にもいて、教えたことはすぐ覚えるし、
教えなくても相手がやっているのを上手に真似る。
ただその子が本当に強くなるかというと、
やっぱり最後は素直でなきゃダメですね、人間。
「はい」という返事や
「すみません」「ありがとう」という言葉を
ちゃんと知っている人間でないと。
俺は強いんだ、なんて偉そうにしている人間は
もう人が相手にしない。
小さい頃からそういうことをしっかり叩き込んでおかないと、
大きくなってから必ず損をします。
私は(娘の)沙保里によくこんな話をしてきました。
「もしおまえが途中で負けてしまったら、
おまえに負けた子がまた泣いてしまうぞ。
だからおまえに負けた子の分まで勝たなきゃいけない」と。
一方、女房は二〇〇八年に連勝記録が百十九で途切れた時、
「いままでおまえが勝たせてもらったその裏で、
他の子は皆泣いていたんだよ。
一度負けたくらいでクヨクヨするな」
と言いました。
連勝の記録ももちろん大事ですが、
やっぱり人間、負ける悔しさというのを覚えていってこそ、
本当の成長へと繋がるのだと思います。
Posted by mahoroba,
in 人生論
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