「ピンチの時こそ閃きは近い」
月曜日, 11月 4th, 2013上田 正仁(東京大学大学院理学系研究科教授)
※『致知』2013年11月号
特集「道を深める」より
大きな発見や画期的な研究成果を挙げる人は、
どちらかというと
成果に鈍感なタイプが多いように思えます。
トーマス・エジソンはまさにそうでした。
彼は子供の頃「1+1=1」と主張しました。
1つの粘土と1つの粘土をくっつけると1つ
だというわけです。
エジソンは幼少期から何にでも疑問を持ち、
納得いくまで教師に質問を続けた話は有名ですが、
それではなかなか先に進むことはできません。
それでも、成果を焦らず、
失敗を恐れず取り組んだからこそ、
大きな成功を手にしたのでしょう。
安易な成果を求めず、
自分の可能性を極限まで追求したいという
高い志を持って試行錯誤を続ける「諦めない人間力」は
学問やビジネスの世界だけでなく
人間のすべての営みに通じる創造力の源泉です。
いま社会は原発問題や財政・金融危機など
マニュアル力だけでは立ちゆかない
状況に追い詰められています。
ここで問われるのが、
まさに「自ら考え、創造する力」にほかなりません。
どうしても打ち破れない壁にぶつかった時に、
勇気を持って本来あるべき原点に立ち戻ることで、
新しい閃きが生まれる可能性が高まるのです。
ピンチの時こそ閃きは近い――。
これもまた学問やビジネスに
共通する人生の極意なのです。
* * *
「自ら考え、創造する力」は
どのようにして養い、高めていくのか。
その他、ノーベル賞を受賞した
小柴昌俊博士や益川敏英博士など、
成功者に共通するものとは。