まほろばblog

Archive for 1月 5th, 2014

「点々あい連ねて線をなす」

日曜日, 1月 5th, 2014

伊與田覺(論語普及会学監)

※『致知』2014年2月号
連載「巻頭の言葉」より

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私が若い時分に懇意にしていただき、
感化を受けた恩人の一人に、
蓮沼門三という方がいらっしゃいました。

蓮沼先生は、
日本の社会教育団体の草分けともいえる
「修養団」の創設者として
つとに知られた方ですが、

食事を共にする機会がある時などにしばしば、
「物事を完成するには、こういうことが大切なんだよ」と
説き聞かせてくださった訓戒が、
いまでも大変印象に残っています。

点々あい連ねて線をなす。
線々あい並べて面をなす。
面々あい重ねて体をなす

点と点を連ねて一本の線をつくる。
その線を並べていくと面になる。
その面を重ねていくと一つの体になる。

自らの目標に到達しようと思えば、
このような生き方を貫いていくことが重要なのです。

『中庸』という古典には、
この訓戒に通ずる教えが
次のような言葉で表現されています。

「至誠は息む無し。
息まざれば則ち久し。
久しければ則ち徴あり」

至誠(誠実)というものは、本気である。
茶気(遊び心)ではない。
内から湧き出て止まる時がない。

休まずずっと続けていると、
それまで見えなかったものが見えるようになる。
「徴」とは印、兆しのことです。

誠実に、久しく物を続けることは、
物事を完成する上で不可欠な姿勢なのです。

* * *

その他、
経営の神様と謳われた松下幸之助翁が
語った「大事を成すための秘訣」とは。

「人生は一に努力、二に努力、三に努力、全部努力」

日曜日, 1月 5th, 2014

福島孝徳(デューク大学教授)

※『致知』2014年2月号
特集「一意専心」より

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※対談のお相手は、福島氏の盟友であり、
世界最先端の医療機器を導入し、
福島・宮城・青森・東京・神奈川を基盤に
16もの病院を経営する
南東北グループ総長・渡邉一夫氏です。

福島 私は若い時からとにかく、
日本一、世界一になりたかった。

そのためには普通のことをやっていたらダメなんで、
「人の二倍働く」「人の三倍努力する」
という方針でやってきました。
普通の人が寝ている間、休んでいる間に差をつけると。

そういう姿勢で若い頃から腕を磨いてきたんですけど、
いま71歳になってみると、人生は短い。
私に残された時間はもう少ない。
だから、一刻も無駄にできないんです。

渡邉 いまは年間どのくらい手術をされているんですか?

福島 600回ですね。
一番の盛りは三井記念病院にいた43歳の時で、
900回はやっていました。

私は人間の年齢には暦の上の年齢と、
生理学的な年齢の二つがあると思っているんです。

私が本当に感心するのは、
経団連の会長をされていた土光敏夫さん。
80を過ぎても矍鑠(かくしゃく)としていましたよね。
素晴らしい人でした。

で、いま世界でも、
例えばモスクワの国立ブルデンコ脳神経センター
というところは脳外科だけで2000床もあるんですが、
ここの総帥がコノバロフという人で
83歳のいまも毎日手術をしている。

渡邉 ああ、そうでしたか。それは凄い。

福島 それからローマ大学のカントーレという教授、
彼もいま83ですけど、手術をしています。

私自身、手術に関しては
いまだにマスターチャンピオンですよ。
目と手は全然若い人に負けない。
だからあと10年は大丈夫じゃないかなと思っています。

これにはやっぱり天性の才能が
少なからずあると思うんですけど、
それ以上に膨大な数をやっています。

だから、私はいつも言うんですけどね、
人生は一に努力、二に努力、三に努力、全部努力なんですよ。
他の人が信じられないような努力をして、経験を積む。

それから本当はいいコーチがいなきゃいけない。
オリンピック選手を見ていても、
皆が類い稀な技量を備えている中で
どこに差が生まれるか。
コーチですよ。

渡邉 なるほど。でも、福島先生にコーチはいないでしょう?

福島 いや、私は若い頃、ちょっと暇があれば、
世界中の名医を訪ねて回りましたから。

いまでもそうです。毎日勉強しています。
あの天才ミケランジェロが残した
有名な言葉が「ラーニングアゲイン」。
ルネサンス期に世界一の絵と彫刻を生み出していても、
いまだに日に日に勉強しています、と言った。

だから日に日に勉強して、日に日に努力して、
渡邉先生も同じだと思うんだけど、毎日仕事しています。
休んでいられないですよ。

私は土日と祭日も一切休まない。
夏休み、冬休み、一切取らない。
毎日働くのが趣味なんです。

* * *

福島氏はいかにして世界一のドクターとなったのか。
その不遇の修業時代とは。
大切にしている信条とは。

正月にはいづくにも・・・・・・・

日曜日, 1月 5th, 2014

正月にはいづくにも
つまらぬ遊事をするものに候間、
夫れよりは何か心得になるほんなりとも
読んでもらひ候へ

(お正月にはどこでも
つまらない遊びをするものである。
そんなことより何かためになる本でも
読んでもらいなさい)

――吉田松陰(幕末の志士)

※『吉田松陰一日一言』
1月3日の言葉より
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本日お届けした吉田松陰の言葉は、
2歳年下の妹に宛てた手紙に
書かれていたものです。

特典書籍の1つである『吉田松陰一日一言』には、
明治維新の精神的指導者である
吉田松陰の遺した名言、箴言が366も
収録されています。
ここでは1つだけご紹介しましょう。

■2月19日

天道も君学も一の誠の字の外なし。
一に曰く実なり。
二に曰く一なり。
三に曰く久なり。
故に実と一とを作輟なく
幾久しく行ふこと、是れ久なり。

(世間一般の道も、君子たるの学問も、
たった一つ、誠の字のほかにはない。
一にいう、実際に役に立つことを行うことである。
二にいう、それだけを専一に行うことである。
三にいう、ずっと行うことである。
だから、実学を専一に、やったりやめたりすることなく
ずっと行うこと、これが久である)

想像する人間は絶えず危機の中に・・・・

日曜日, 1月 5th, 2014

新しい年を迎えるには、
新し心構えがなくてはならぬ。
決してただ漫然と迎えてはならぬ。

そしてその心構えには
年相応のものがなくてはならぬ。
50代には50代の心構え、
70代には70代の心構えが大切である。

還暦になったんだから、
古稀になったんだからという妥協は
自己を深淵に落ち込ませるだけである。

――坂村真民(仏教詩人)

※『坂村真民一日一言』
1月2日の言葉より

 

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「念ずれば花ひらく」や
「二度とない人生だから」の詩をはじめ、
数々の作品を世に送り出した97歳で亡くなられる直前まで
詩の創作に打ち込んでいたという坂村氏。

その人生の真理を紡ぐ言葉は
いまなお多くの人々を惹きつけてやみません。

「老人は早起きだというけど、
そんなの嘘ですよ。
私も本当は遅くまで寝ていたい。
しかし、私が遅くまで寝ていて、
どうして人々の心に光を灯す詩が書けますか。

想像する人間は絶えず危機の中に
身を置いていなければいけない」