「点々あい連ねて線をなす」
日曜日, 1月 5th, 2014伊與田覺(論語普及会学監)
※『致知』2014年2月号
連載「巻頭の言葉」より
私が若い時分に懇意にしていただき、
感化を受けた恩人の一人に、
蓮沼門三という方がいらっしゃいました。
蓮沼先生は、
日本の社会教育団体の草分けともいえる
「修養団」の創設者として
つとに知られた方ですが、
食事を共にする機会がある時などにしばしば、
「物事を完成するには、こういうことが大切なんだよ」と
説き聞かせてくださった訓戒が、
いまでも大変印象に残っています。
「点々あい連ねて線をなす。
線々あい並べて面をなす。
面々あい重ねて体をなす」
点と点を連ねて一本の線をつくる。
その線を並べていくと面になる。
その面を重ねていくと一つの体になる。
自らの目標に到達しようと思えば、
このような生き方を貫いていくことが重要なのです。
『中庸』という古典には、
この訓戒に通ずる教えが
次のような言葉で表現されています。
「至誠は息む無し。
息まざれば則ち久し。
久しければ則ち徴あり」
至誠(誠実)というものは、本気である。
茶気(遊び心)ではない。
内から湧き出て止まる時がない。
休まずずっと続けていると、
それまで見えなかったものが見えるようになる。
「徴」とは印、兆しのことです。
誠実に、久しく物を続けることは、
物事を完成する上で不可欠な姿勢なのです。
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その他、
経営の神様と謳われた松下幸之助翁が
語った「大事を成すための秘訣」とは。