今期、売り出し最終日の日曜日。
「手打ちそば」一食を、特別価格で半額の¥500でご提供させて戴きました。
やはり、石臼挽き「挽きぐるみ」と「手打ち」のそば。
これには、皆さん絶句していました。
三人美女
好みはそれぞれですが、更科や田舎、そして機械練りそばの違いが、
改めて浮き彫りにされた感じです。
ホールフードの美味しさは、そばで端的に現れますね。
大苑の岩田さん
私も、そば好みで、いろいろ食べ歩いて来ましたが、
岩田さんのは、家庭で食べれるレベルを遥かに超えていますね。
ちなみに、2食で¥980、冷凍庫に置いています。
また、何と1年物のかえしが入っています。
石臼挽きのそば粉は、それこそ創業以来まほろばで販売していました。
この「挽きぐるみ」は、石臼で挽かれたもので、蕎麦の実の各層を取り分けない全粒粉です。
岩田さんのこの「手打ちそば」は、殻を取った「抜き」を挽いた
一、二、三、四番粉と種皮の甘皮を混ぜて深みを出しています。
以下、そばの実についての説明です。
玄ソバ(殻のついたままのソバの実)は、
外側から中心に向かって殻(果皮)、甘皮(種皮)、胚乳、胚芽(子葉部)という順で構成。
たとえば、そばの風味や麺のつながりに関係するたんぱく質は、
甘皮には約45%、胚芽にも35%近く含まれていますが、
炭水化物が主体の胚乳は4%程度しかありません。
また、そばの色に影響する灰分(ミネラル)は、
甘皮には約7%、胚芽には5%ほど含まれていますが、
胚乳では1%にも満たないのです。
「抜き」と呼ばれているのは、玄ソバから殻を取り除いたソバの実のことで、
その作業工程で割れてしまったソバの実は「割れ」といいます。
そば製粉では、この抜きと割れを段階的に挽きながら篩(ふる)い分け、
何種類かのそば粉にしていきます。
その時、殻を除いた各部の、どの部分がどれくらい含まれるかで、
そば粉の色や風味、そして栄養成分が決まることになります。
そば製粉の原理は単純で、抜き、あるいは割れの柔らかい部分から
順に挽砕(ばんさい、挽きくだくこと)して粉にしていきます。
現在の製粉工場では、段階的な挽砕と綱目の異なる篩の組み合わせによって、
成分組成の異なるそば粉を取り分けるロール製粉が主流で、取り分ける順に、
一番粉(内層粉)、二番粉(中層粉)、三番粉(表層粉)と呼んでいます。
一番粉は、抜き(割れ)を軽く粗挽きした段階で篩によって選別された粉で、
粉状質で柔らかい胚乳の中心部が主体の粉です。
栄養成分は炭水化物(ほとんどが「でんぷん」)が77.5%を占め、
たんぱく質は6.1%、灰分は0.8%しか含みません。
色が白く、いかにもそばといった風味はありませんが、
特有のほのかな甘みのあるそばになります。
一番粉とさらしな粉が混同されることも多いのですが、
厳密な意味でのさらしな粉は製粉方法が違い、さらに高純度のでんぷん粉です。
一番粉を取ってからさらに挽砕を続けると、一番粉にならなかった胚乳や胚芽が砕けてきます。
これを取り出した粉が二番粉で、そばらしい香りと風味に優れ、色は淡い緑黄色を帯びています。
たんぱく質は10.3%、炭水化物は71.9%、灰分は1.6%です。
三番粉は、二番粉を取り分けた残りの部分から挽き出される粉で、
甘皮の一部も一緒に挽き出されてくるため濃い色をしています。
たんぱく質は15.1%、灰分は2.4%といずれも最も高いですが、
その分、炭水化物は65.9%と少なくなっています。
そば本来の香りはいちばん強く、栄養価も高いが、繊維質が多く、味や食感は劣ります。
通常、そば製粉はこの三番粉までですが、
さらに四番粉(末粉(すそこ、或いはさなご)まで取る場合もあります。
四番粉は甘皮や胚芽が主体の粉で、主として乾麺や生麺用として利用されています。
こうやって見ると、本当のそばの味や旨みは、「挽きぐるみ」でこそ、
蛋白質やミネラルも含まれて、ほとんどの成分である炭水化物と調和されて、
さらに香りや旨みが出てくるといえます。
さらしな粉だけでなく、雑味も加わってこそ、ホールフード・全体食としての
面目躍如たるものがあると思います。
コシもあり、旨みもあり、香りも立ち、
まさに、そばの王者のようでした。