日本の底力・・・「和算」
月曜日, 12月 8th, 2014
数学と聞けば、悪寒が走るぐらい苦手なのだが、
しかし、妙なぐらい数学に関わりのある人と縁がある。
自然医学の「倭詩」の原稿を担当して下さった方が山司さん。
元々、数学の教科書を出版する編集長であって、
一字一句、少なくても多くてもゆるがせにしない眼力は
理系文系いづれにも共通するものなのだろう。
その山司さんが、編集に携わったという和算の決定版とも言うべき
『算法助術』という江戸時代の公式集を現代語訳した本が出版された。
それを贈ってくださったのだ。
私にとっては、猫に小判なのだが、
先ずは、その帯から
「知の遺産・和算公式集
数学公式集の先駆けともいうべき『算法助術』(1841年)を
現代文と高校程度の数学を用いて証明・解説。
図形の美しい原書の影印も巻末に掲載。
算額作成や土地測量などの参考に活用されていた
『算法助術』の新解説書である。」
『算法助術』を開いて、ます驚かされるのは、図形など、
きわめて正確に仕上げられた木版刷りの美しさ、精巧さである。
と同時に、当時の人々の数学に対する姿勢が、
精妙な気品となって伝わってくる。
現代のような数学記号を使わずに求め続けた
先人の”真理”に対する知的繊細さと強靭な精神力を
感得されるのではなかろうか。(まえがきより)」
明治維新によって、脱亜入欧の旗印に、多くの日本の文化遺産が失われた。
芸術学問を問わず、今にしては取り返す術もない。
その一つが、この和算であろう。
素人としては、数学は後進国で、省みるべくもなかろうと思うところだが、
ところが、その精緻にして深き世界に、現代数学者を驚嘆せしめた古人の境地。
再びと、光が当てられて、日本人の知られざる知の領域が知らされることであろう。
日本再興はこれからである。
『算法助術』土倉保編著 朝倉書店¥5.500