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乾燥に強い大根もこのありさま・・・。

 

予期せぬ旱魃

 7月号で何時から雨が降っていないのか憶えていないほど雨が降らないと書いたのですが、それがまだまだ続き、7月27日の夜からやっと雨が降りました。

何ヶ月降らなかったのでしょうか?  

人参畑
これまでの間、野菜の品質と収量を継続するのも大変で、お天道様に左右されるのは露地野菜の宿命とはいえ過酷な試練でした。  
水やりしても、水やりしても、焼け石に水で、沢水の水量も限られているので、潅水設備のある第2農場以外は完全に旱魃状態でした。



草だらけになった人参畑

旱魃に耐えた人参

ノーマルチ、不耕起、不除草、密植栽培で作った人参は、一畝は、草取りも間引きも早めにすませ、旱魃の中、意外とスクスクと育ってくれました。幼苗時に多量の水分を必要とする人参を、10cm位になるまで草と共生させ、
そこで草取りしました。

あとは密植した人参自身の葉っぱがどんどん育ち、地表面をすきまもなく覆い、水分の拡散を防ぎ、自己防衛していました。

その後、成長のタイミングを見て、密植状態を継続できる程度に間引きをしました。


手入れ出来なかった残りの人参
ところが、草取りと間引きの遅れた(忙しくて)人参は、草だらけになり、どこに人参があるのか分からなくなりました。  
これだけの草をとるのは大変なことで、人参の草取りばかりしていると、他の作業が遅れてしまいます。

そこで、残りの畝はもうあきらめることにしました。
どこからどこまでが人参の畝で、通路はどこかさえ分からなくなっていました。


下のほうはスベリヒユ、上が人参。

しばらくして、収穫が早く終わった日に、やはりあきらめきれなくて、通路の草を刈ってみました。

すると驚いたことに、4畝中3畝は、しっかりと人参が発芽していたのです。しかも、背の高いナズナを抜いてみると(簡単に抜けました)、人参の列がはっきりと見えました。

しかし、根元はしっかりとスベリヒユに網の目のように覆われています。上の2畝は、ほとんどスベリヒユしかありませんでした。





旱魃に強いスベリヒユと幼い大根

スベリヒユは
人参の敵か見方か


スベリヒユは、暑さと乾燥に強い、抜いても抜いても生き返る生長の早い雑草です。

何故そんなに暑さと乾燥に強いかというと、よほど水分のあるところでない限り、けっして無防備に上に向かって伸びることはなく、地表面に沿って横に横に伸びて、自分の体でびっしりと土を覆い、水分の蒸散を防ぐからです。

さらに、葉も茎も肉厚で、サボテンのように水分を貯蔵することができます。
他の草も生えられないほどの旱魃でも、スベリヒユだけはどんどん伸びて行くのです。



人参とスベリヒユが共生?

このスベリヒユに占拠されたら、もう人参も終わりだな!!  
でも、ナズナを取ってもらって、日当たりの良くなった人参は、何か元気そうに育ってきました。
決してスベリヒユに負けている様子はありません。
定植のために掘りあげている白菜の苗。
まるで、ビニールの代わりにスベリヒユでマルチしてもらっている感じです。
スベリヒユがあんまり隙間もなく生えているので、もう他の草も生えることができません。
何故かしら?

この人参畑は、福田君が人参にとって一番都合がいいように0-1テストして肥料のバランスを整えた畑です。
だから人参も草に負けないし、もしかしたら草も人参にとって都合のいい草しか生えてこないのでは?

 ナズナはスベリヒユが生えるまで人参に保湿の役目をして人参を育ててくれ、スベリヒユが生えた頃には背が高くなって人参に日陰をするようになったので、抜いてあげるとちょうど良かったのです。
もしかすると、抜いてあげなくても良かったのかも知れません。
抜ききれなかったところのナズナは、もう実が入っていたので自分で枯れて行ったからです。

さて、肝心の根っこは今後どのように育っていくのでしょうか。
スベリヒユに栄養を取られてゴボウのように細い人参になるのでしょうか?
スベリヒユに乾燥から守られて、人参並みの人参ができるのでしょうか。
楽しみにしています。



濃すぎるぞ人参君!

久しぶりに雨が降ったので、7月29日には、今がチャンスと間引きをしました。
本当はもっと早く間引かなければならなかったのですが、土が固くて抜けなかったのです。
びんぼう草に占拠された人参
(不耕起のせいもあって)間引きしたミニ人参として販売していますが、水不足だったので味が濃縮されて、とても甘くておいしいものでした。

一方、もともと土地がやせていて、堆肥もあまり入っていないところの畝(畑の一番下の畝)は、単子葉(稲のような)のびんぼう草がいっぱい生えて背が高くなり、手がつけられなくなってしまいました。



発芽しなかった黒もちとうきび

去年は1000本以上も売れた黒もちとうきびですが、今年はちょうど種まきの時期に乾燥が続き、とうとう発芽しませんでした。
とうきびを植えているところは潅水設備のないところで、今年は早めに植えたサニーショコラやカクテルも発芽が悪く、多くを期待することはできません。


 
黒もちとうきびについては、去年まほろば農園だけでは足りなかったので、余市の方が作っていることが分かり、店長に仕入れてもらいました。
今年も店長に仕入れてもらえないかと思っています。

たわわに実るインゲン豆

花豆はなんとか収穫できそうです。

豆類について

花豆はどうにかとれそうですが、晩生(おくて)のだだちゃ豆や黒豆は、播いた時期が悪く、2回も播きなおしたけれど発芽が悪く、来年への種を確保したら多くは残らないようです。

苗を作って定植すると、少しくらい雨が降らなくても確実なのですが、定植が大変なので、手抜きしてしまい、失敗しました。


毎年雨が少ないといっても、こんなに少ないことはないので、直播きでもどうにかうまく行っていたのです。

小豆も発芽が悪かったのですが、大量に植えたのでどうにかなりそうです。

スベリヒユの中で生育する小豆。
普通の畑とはちょっと違った様相です。


抜群においしいトマトたち

ハウストマトは、大分上手に作れるようになったのですが(味良くという意味)、露地のトマト類は、水分の調整ができないので、なかなか難しいものがありました。
他の野菜には過酷な旱魃ですが、水気を嫌うトマトにはちょうど良い気候でした。

ところが、旱魃のおかげで身がしまり、0-1テストで栄養バランスもバッチリなので、ハウスと同じような味のトマトになりました。
露地の方が味にパンチがあって、それ以上かもしれません。

ハウスではトマト、露地ではミニトマトとスタピストマトを出荷中です。
このお便りが出る頃にはトマトも出来ていると思います。
ただ甘いだけではない、0-1テストで設計された、酸味も甘味の強く複雑で品のある新鮮な味が魅力です。

でも、この味は何時まで続くでしょうか

風に揺れるニラの花
露地はお盆過ぎて、雨が多くなってくると水っぽくなり、だんだん味が落ちてきます。

今のうちに、おいしいトマトをぜひ味わってくださいね。


にがいきゅうり  

うわっ! 苦い!!! 
今年のきゅうりは時々苦いことがあります。
ちょっと心配していたことが起きました。

めずらしい野菜かと思ったら、雑草でした。
ちょっと心配していたことが起きました。

きゅうりは、特殊なきゅうり(四葉など)以外は、固定種が少なく、自然農法のものでも交配種なのです。
(種とりすると、前と同じものが出来ません)



昔のきゅうりは苦かった

何故、現在のきゅうりがほとんど交配種かというと、在来型のきゅうりは苦味とか、ちょっと舌がしびれるような感じがあったりします。

昔のきゅうりは苦かったのを覚えておられる方もあると思います。

恐らくきゅうりの原種は、もっと苦かったのだろうと思います。
きゅうりのトンネルの中で作業中(福田君)
この苦味自体は、にがうりのように抗酸化作用や胃腸を整える働きなどがあって、生理的には有効で、夏バテにはよいのですが、味覚的にはあまり喜ばれないので、だんだん品種改良されてきたのです。
それでも在来種は生命力が強く、病気に強いので交配するときには、片親は苦味のある在来種を使うことが多いと思います。
福田君の強い希望で植えられた苦瓜(ゴーヤ)。農園初出荷近し!
もちろん、次の代には苦味が優性遺伝しないように考えて交配するのですが、、次の次の代や、それ以後の代には現れてくることがあります。


何時の日か農園オリジナルのきゅうりが登場するかもしれません。
お楽しみに!

先祖帰り

まほろば農園のきゅうりは、自家採種を続けているので、隠し持っていた劣勢の遺伝子が表に出てきたのだと思います。

こういうのを先祖帰りと言うそうです。どの株が苦味があるのか、今、手当たり次第に味見して、苦味のある株を抜き捨てるつもりです。

苦かった方、申し出てくだされば代替品を差し上げたいと思います。  
スクスク育つモロヘイヤ
まほろばが、おいしくて、病気に強い、生命力あふれる、安定した固定酒のきゅうりを作り上げるまで、ご協力戴ければありがたいと思います。

   

   
  2007年8月号


   

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