でも、水やりしなければならないところはいっぱいあるので、ネギはいつも後回しで、毎年赤さび病が出ていました。
ところが、今年はネギにふさわしい場所を0-1テストで選び、肥料設計もバッチリして植えたところ、ネギの周りには、背の高い青ザなどしか生えず、真夏の直射と乾燥からガッチリ守ってくれたのです。
しかも例年より旱魃がひどかったのにです。
本当に奇跡的としかいえないくらい、背の高い草しか生えていないのです。
青ザなどがネギの天然のコンパニオン・プランツかも知れません。
わざわざ、コンパニオン・プランツを植えなくても、ネギにふさわしい環境条件を整えてあげると、自然にコンパニオン・プランツが生えてくるとしたら・・・・・・これは大発見かもしれません。
《コンパニオン・プランツ》一緒に植えておくと病害虫が発生しにくくなる相性のよい植物 |
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普通は意図的に植えます
コンパニオン・プランツの代表格、マリーゴールド。まほろば農園は、看板の下の飾りだけ? |
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でも、普通、コンパニオン・プランツは雑草ではありません。臭いの強いネギ類(玉ネギ、ネギ、らっきょう等)やハーブ類、マリーゴールドやペニチュア等のようなお花のことを言います。
あるいは、野菜同士の相性のいい組み合わせを言います。
(キャベツとトマト、きゅうりとつるなしインゲン、とうもろこしとかぼちゃ、レタスと玉ネギ等々です。)
でも、自然に生える雑草がコンパニオン・プランツなら、こんなに簡単なことはありません。 |
先月号で書いた人参とスベリヒユもコンパニオン・プランツかも知れません。
もともとコンパニオン・プランツのことは知っていたのですが、なんとなく、わざわざ植えるのも面倒だし、ハーブやお花だとちょっと土地の有効利用にも反すると思え、あまり積極的に取り組むつもりになれないでいたのです。
・・・コンパニオン・プランツのみならず、有機や自然農法をされる方たちが良く使われる、天然農薬(木酢やハーブやとうがらし、にんにくを発行させたもの等々)と呼ばれるものも、作ったりするのも面倒で、本当に何にも使っておりません。
まほろば野菜の作り方
もともと基本的な考え方として、コンパニオン・プランツを植えないから害虫が出るとか、自然農薬をかけてあげないから病気が出るわけではありません。
もっと、そうなる根本的な原因を見極めて対処してあげることの方が大切と考えているからです。
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もっとも基本的には、自家採種して、まほろば農園の土地に合った丈夫な種を更新していくことが大切と考えています。
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キャベツの葉っぱについたクモとクモの巣も コンパニオン? |
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次に、作物の個性に合った場所に植えてあげること。あとは、ただ、ひたすらに日当たりや水はけ、土地との相性や肥料バランス、水やりや追肥のタイミングを、0-1テストで実験するだけなのです。
今ではいろんな野菜の性質も大体わかり、作り方も分かってきましたが、農業はお天気しだいということもあり、今年の旱魃は相当応えました。
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余りにも種類が多いので、分かっていても適切な処置を施してあげられないことの方が多くなっています。
(来年はもう少し種類を減らそうかと考えています)
この世で一番肝心なのはステキなタイミング♪
今年はタイミングの大切さをつくづく感じさせられました。
種まきや植え付けのタイミング、施肥や水やりのタイミング、除草のタイミング、追肥のタイミング、きゅうりやトマト等の整枝やテーピングのタイミング、そして最後に収穫のタイミングです。
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どれ一つとしてタイミングを逸すると良い作物は取れないのですが、最後の最後まで上手に作って来ても、収穫のタイミングを逸すると、全ての努力が水の泡と化してしまいます。
年は私が一ヶ月も休んだせいで、人手が足りず、そうなると全てのタイミングがずれてしまって、多くの作物の品質を落としてしまいました。
収穫のタイミングも遅れ気味でした。
ナスも、ピーマンも硬くなるまで置いてしまい、きゅうりやささげ、いんげん類も、とり残して大きな実をつけすぎたり、トマトも過熟気味でとり続けていたので、木も老化してしまいました。
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ナスは今、切り戻し剪定を行い、一休みさせてあげて、実は小さいうちにとって復活をはかっているところです。
トマトやきゅうりも少し早めに収穫しています。 |
ピーマンやナスはタイミングよく収穫すると、甘味とトロ味があって、つやもありおいしいのですが、過熟になると、硬くて苦味が出てくるのです。
収穫時期が異なるだけで、とても同じものとは思えません。
そのうち、だんだん寒くなると花がついてから実が大きくなるまでの間に時間がかかり、ナスはまた硬くなってしまいます。
ロートル軍団の感傷
女性の肌も老化すると、ヒアルロン酸や水分が枯渇して、カサカサになり、つやもなくなりますが、まさにナスの老化と同じです。
パートさんの竹縄さんと私の老人組は、いつも野菜と自分たちを重ね合わせて「身に沁みるね〜」と感傷に浸っています。
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遅植えキャベツ。雑草の中にこんな風に生えています。 |
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今まで、硬くて苦味の強いナスやピーマンを販売してしまって、本当に申し訳なく思っています。
これからは、適期の収穫と品質管理に充分勤めてまいりたいと思います。
トマトだけは、ハウスも露地も去年より味も良く、旱魃の最後の頃のトマトは絶品でした。
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惚れ惚れするようなキャベツ。無農薬の夏キャベツとしては最高の出来!? これも、雑草たちのおかげです。 |
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その後雨が何度か降り、一度味が落ちてしまいましたが、またしばらく雨がなく、トマトは味良くなってきました。
露地のトマトはお天気しだいです。
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もうあと2〜3日で収穫できるキャベツも、惚れ惚れするほどきれいに巻いて、夏キャベツがこんなにきれいにできるなんて感激です。
草のおかげです。
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よろこびの家の人たちとの交流
まほろば本店の近所に「よろこびの家」という授産所があります。
それぞれに何らかの障害をもたれている方たちの社会復帰を支援する施設です。
まほろばでは、少しでもその方たちの社会復帰のお手伝いができればと考え、これまでシール貼りやまほろばだよりの折り込み、袋詰めなどお願いしてきました。
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よろこびの家さんとのパートナーシップがまほろばに新しい風を吹かせてくれています。 |
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5月からは農園野菜の袋詰めなどもお願いするようになりました。
まほろば本店のバックヤードで働いてもらっているので、お客様にお 目にかかる機会は余りありませんが(できた野菜を陳列棚に並べに行く時だけ店先に出るくらいです)、本当にまじめに熱心に黙々と袋詰めする姿には頭が下がります。
3〜4人が交代で、毎日二人ずつ来て、袋詰めしてくれているのですが、慣れないせいもあり、野菜の名前を間違えて表示したり、値段がとんでもなく高くかったり安かったり、農園の方で選別や汚い葉っぱの処理が十分できていないものも、そのまま袋詰めしてしまうこともあったりします。
農園側の管理体制が十分でなかったことも大きく、これは今まで誰がやっても起きて来た事ですが、それが「よろこびの家」の人たちの不慣れと重なって、例年以上に増幅されてしまったという結果を招いてしまいました。
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一番難しいのは値付けでしょうか。
作物は毎日毎日成長して大きくなったり、大根やキャベツやレタス類は、大小さまざまなので、一個いくらと決めると、小さいものが高すぎたり、大きいものが安すぎたりします。
グラム何円と決めると、小さいキャベツは安すぎて、大きいキャベツはびっくりする位高くなります。
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これは、経験を積んだ人が臨機応変に値付けするしかない世界で、なかなか一律に決められないのです。
農園以外のものは、同じ規格で入ってくるので問題ないのですが、農園野菜は個性豊かで、それが皆の頭を悩ませています。
店長でさえ頭を悩ませて、私のところにいくらにしましょうかと電話がかかってくることがあります。
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個性豊かな自家採種
野菜は自家採種して自然に作ると、どうしても個性豊かになる傾向があるのと(自家採種のできないF1種はきれいに揃います)、作り方が下手でバラつきが出る場合があります。
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また、肥料や堆肥の撒き方がきれいに均一に撒けていないと、早く成長するところや、遅く成長するところができたり、葉の色が濃かったり薄かったりすることもあります。
とにかく、いろんな原因が複雑に重なり合った結果として、店頭の野菜があるわけです。
仲良く楽しく |