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まほろば自然農園
 
     

秋野菜に備え肥料まき

 今、ハウスも露地も、トマト類は最高においしくなりました。
今のうちにしっかりお召し上がり下さい。
9月になると、雨の降ることが多くなり、露地トマトは一雨ごとに味が薄くなって行きます。
でも今は、一雨ごとに肥料が効いて、みずみずしく濃い味を楽しめます。


まだ出番待ちのハウスのトマトたち。
 少し、水っぽかったハウスのトマト類も、すっかり実が引き締まりました。

  有機のミネラル資材で、微量ミネラルがバランスよく効いているので、ただ甘いだけでなく、酸味と甘みのバランスも良く、深い味わいがあります。

 

まほろばとは長年のお付き合い、栗山の寺島さん。 まほろばにお米の納品中。
 まほろば創業以来の生産者の寺島さん(今は主としてお米を仕入れています。 ―とっくに品切れです)は、米以外に、ハウスでトマトときゅうりを大量に作られています。

 冬に寺島さんと電話でお話しする機会があり、まほろば農園では、桃太郎ファイト(F1)を自家採種して固定種に改良したことをお話しました。

 すると、桃太郎ファイトはおいしいけれど、病気になりやすいし、収量もあがらないので、別の品種を作られているとのこと。
F1なので、種は毎年買われているそうです。

 F1の桃太郎が固定種にできるわけがないと、興味を示されて、10粒だけ種を分けてみてくれないかと言われました。

 その後、春になると、お互いに忙しく、そのことも忘れていました。




サンドリップ型で最近人気のある品種、「アイコ」

 ところが先日、店長(大橋)のところに電話が入って、差し上げた10粒の種をまいたところ、最初は成長が悪く、大丈夫かなと思ったけれど、段々よくなって、病気に強く、たくさん収穫できて、大変おいしかったとのこと。
余りおいしいので、種とりするのを忘れて全部食べてしまったので、来年はハウス一棟分(800粒)の種を分けてもらえないか、と言われたそうです。
私はそれを聞いて、「ヤッタ―!!」と心の中で叫んでいました。

プロのトマト農家に認められたのです。
こんなに嬉しいことはありません。
まほろば農園のトマト苗を買われた方、上手においしくできましたでしょうか。
 

露地の桃太郎ファイト。プロのトマト農家も認める抜群の味!


 まほろば農園の苗は、最初みすぼらしく、不耕起で植えると初期成育が悪いのですが、後になるほど良くなってきます。

あんなに固い土の所に植えたのに、とてもやわらかくておいしい肉厚のピーマンになりました。


ピーマンは朝夕の寒さに会う再に、甘みが増してどんどんおいしくなり、露が降りるまで収穫できます。

どんどんおいしくなるピーマンたち。
やわらかく肉厚です。


今年はきゅうりもまだまだ元気!盛んに花を咲かせています。

 お盆過ぎると、きゅうりは、うどん粉病で収穫できなくなることが多く、近辺のきゅうりは壊滅状態ですが、まほろば農園のきゅうりは、多少のうどん粉病も出てはいますが、まだまだ木に力があり、健在です。
 しかし、露地のきゅうりは気温の低下と共に成長が鈍くなり、台風の襲来と共に終焉を迎えます。 

  願わくば、台風が余り早く来ませんように―祈るばかりです。

今年は温室の電熱線が途中で切れたりして、きゅうり苗の育苗に失敗し、やっと頑張って生き残った苗も、今度は温度が上がりすぎて、葉焼けしてちりちりにしてしまいました。
それで、とてもお客様に販売できるような苗ではなく、予約のお客様だけに限定販売いたしました。

 その中の一人が、古くからのお客様のDさん。
余りにもひどい苗で、何度も抜いて捨てようかと思ったそうです。
ところが段々よくなり、もう、とれてとれて、近所やお友達に配って歩いているとのこと。
―あー!捨てられなくてよかった〜!!− 

まほろば農園でも同じ苗を植えましたが、しっかりとれて、まだまだ元気です。

  今年は、人参は不耕起のところと半耕起(10cmだけ耕したところ)と両方作りました。

不耕起にもかかわらず、小さめだけれど、形は去年より良くてスッキリした姿になりましたが、雨が降っても土が固くて、スコップやシャベルで掘らないと抜けません。

  全員総出で、一本一本スコップで掘りました。
畑が乾燥しやすい傾斜地なので、形も小さく、反収(一反あたりの収量)もあがりません。
乾燥しきった後に雨が降ると、にんじんが割れてしまい、ジュース用で販売するのと廃棄するのを合わせると、全体の4割にもなります。

 
不耕起の人参は見かけ以上にパワフルです!
 最初、人参の不耕起は傾斜地で発芽を揃えたり乾燥を防ぐための方策でしたが、出来上がった人参は、0−1テストすると最高にパワフルで、みすぼらしい小さい外見の中に、強い生命力を秘めていることが分かりました。

でも、この価値、お客様に分かって頂けるでしょうか?

 こちらは、三方山林に囲まれており、少し傾斜ではありますが、第三農場よりスコップがなくてもたやすく抜けそうです。

こちらも相当量作りましたので、ややしばらく出荷できると思います。


 
カラスも我慢できないほどオイシイ!! カラーピーマン。
 とうもろこしは、キタキツネとカラスに、全体の1〜2割位は食べられてしまいました。

露地トマトも、完熟したところをカラスにつつかれます。
でも、とうもろこしもトマトも、一部だけなので、特別に防除もせず、ほおっておきました。
ところがです。
今年初めて多めに作ったカラーピーマンが、やっと色づいてきたので、明日からは本格的に収穫しようと思って行ってみると、何と無残にも、色づいたものは、ほとんど全てカラスに食べ荒らされていました。

食べていないものも、口ばしでつついて、いたずらをするので、外品にもなりません。

全体が色づくまで待っていると、またカラスに食べられてしまうので、半分くらい色づいたところで、とってしまいました。

 ところが、どうでしょう。
次の日に行ってみると、まだ青いカラーピーマンまでつついています。

いままでは寛大に見てあげたけれど、これはもう許せません。
防鳥ネットを買ってきて、かぶせなくては……。
カラスと人の知恵比べです。
この後、ずっとカラーピーマンが店頭に並んでいなければ、カラスに負けたと思ってください。

―でも、頑張ります!!―



黒もちとうきびの選別作業中です。


第4農場の大根。秋の漬物シーズンに向けてスクスク生育中。
秋野菜(白菜)の移植作業。
この日は雨が振る予定なので、
急いで終えなければ…。


枝豆も順次出荷中です。
 
 新しく借りた第5農場に植えた早生枝豆は、いくらひいき目に見ても、おいしいとは言えぬまま終了しました。
もともと早生は、早くとれると言うだけで、おいしくないのが普通ですが、例年よりという意味です。  

農園スタッフに「お味はどうでしたか?」と聞くと、一瞬沈黙の後、大阪出身の研修生の穂積君が「ぼちぼちですね!!」とあたりさわりのない表現で答えてくれました。
関西弁は、やわらかくて便利ですね…。
というわけで、お客様には申し訳ないことをしてしまいました。

 今とれている「たんくろう(改良黒豆)」は、毎年おいしいのですが、これも第5に作ってしまったので、どうでしょうか?

 
第3農場にも植えているのですが、これも一番高いところの乾きやすいところに植えているので、ちょっと心配です。

キャベツの周りの草取り作業。

厳しい残暑の中、もくもくと作業に追われています。
 毎年じゃがいもを植えている畑は、一番傾斜がきついので、じゃがいもが一番水分を必要とする時期に水不足になって、毎年収量があがりません。

何を植えてもうまく行かないので、じゃがいもを植えているのですが…。
何年も苦労した末に、私に天才的な(?)“ひらめき”がありました。
“深植えにすればよいかも・・・・・”。
 何でそんな簡単なことに気づかなかったんだろう?
コロンブスの卵なんですね―――!!  

予想通り、真夏の暑さにもめげず、例年になくスクスクと育ってくれて、あとは収穫を待つのみでした。

ところが、いざ芋掘り機で掘ってみると、ほとんどキズ芋ばかりです。
お芋の埋まっているところが余りに深くて、お芋が全部機械に引っかかってしまうらしいのです。  

 
大量のじゃがいもを、まさかスコップで掘るわけにもいかず、直後に秋大根を植えなければ間に合わなかったので、傷ついても掘るしかありませんでした。
正品は極わずかで、ほとんど外品と、外々品(従業員用)です。
“ひらめき”も、最後の詰めが甘かったようです。


こちらも秋野菜に向けて肥料まき。
 
 店長(大橋)には、もう、じゃがいもなんか作るのはやめたほうがいいと毎年言われ続けています
。それだけ言われても、一度もやめようと思ったことはなかったのですが、今年だけは本当にやめようと思ってしまいました。

でも、無農薬で15年間も自家採種を続けてきた種を絶やすことはできません。
いつか平らな広い土地で、じゃがいもが作れるときのために、種を更新できる程度には作っていこうと思います。

 まほろば農園の財産は、キカイでもハウスでも、農業資材でもありません。

何年も、何十年も、続いている自家採種の種と、そのために苦労してくれている農園スタッフのみんなです。
種と仲間さえいれば、いつでもどこででも農業は始められるのですから…。

三升漬け用檄辛なんばん予約受付中です。(500g入り500円!特価です。


 思えば、まほろば自然農園は、福岡正信氏の自然農法から始まったと言えます。(主人の報告書に詳述)

しかし、福岡正信氏の自然農法を実践するのは難しく、いつのまにか有機農法の道に歩みを進めていました。

しかし、有機農法にも行き詰まりを感じ、0―1テストで試行錯誤を繰り返す中、ふと気付いた時には、「不耕起、無肥料、無農薬、無除草」の福岡流自然農法の方向にUターンしていました。
っています。  

 しかし、ずい分、ゆるやかな自然農法になっています。
不耕起と言っても、すべて不耕起ではなく、大根や人参がすべて不耕起で作れるような土が出来るまで、できるだけ浅く耕しています。

肥料も無肥料ではなく、0―1テストで設計し、必要に応じて使っています。(年々少なくなってきていますが)
無農薬は完全実施、無除草は、作物毎に違うので、また作物の成長段階や季節によっても違うので、無除草や半除草、完全除草と使い分けています。(これも0―1テストで)

かつて、福岡流が出来なかったのは、現状を無視し、最初から理想を実現しようとしたからだと思います。
この先どこに行き着くのか、0―1テストは次第に簡単で、無為自然を目指していることだけは確かだという実感があります。

しかし、自然は変幻自在なものであり、ドグマに捕らわれない実態に即した自由な心と創意工夫が必要なこと、農業は一瞬一瞬創造であるということを、気づかせてくれています。
なぜなら、自然の完全性は固定的なものではなく、一瞬ごとに留まることのない流動的なものであり、流動的でありながら、一瞬一瞬完全であるからです。


それこそが福岡先生の、老子の無為自然という本当の意味ではないかと、ひそかに考えているのですが、凡夫の寝言かもしれません。

 先生が天国で笑っていらっしゃるかも知れません。

 まほろば自然農園のスタッフ共々、ご冥福をお祈り申し上げます。


今から17年前、福岡先生のお宅にお邪魔して。

     
      2008年9月号
   

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