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まほろば自然農園
 
     



長い長い干ばつと残暑の後、台風と共に恵みの雨が降り、

急に気温も下がって、今年の夏は終わりました。

それと共に果実類、豆類等の勢いは急衰し、

大根や白菜、キャベツ、青菜類等が柔らかい日射しと

適度な水分を得て急に伸び伸びと健やかに育って来ました。


 在まほろば農園で作ったキャベツは柔らかいサワー系で無農薬で作るのは難しい品種ですが、どうしてもおいしいキャベツを作りたくて無理に作って来ました。  
でも、柔らかいキャベツは虫も好きなようで、なかなか大変です。

 ところが、このキャベツ、漬物用には柔らかすぎるようで(浅漬けはマル)、秋に切り漬けにすると、ペタペタになってしまいます。

 もう少ししっかりしたハード系のキャベツも作りたいと思い、今年は冬穫B号と言うのを作ってみました。  

 ところが、煮ても焼いても食べられないというのはこのことで、バラ肉と一緒に煮込んでケチャップ味にしてみたけれど、いくら煮ても、堅くて、堅くて・・・

  でも、その時には、もう、何ヶか販売してしまっていました。
(申し出て下されば現物なくても返金させて頂ます。本当に申し訳ありません)  

 メーカーさんに問い合わせてみると、これは、今年は食べないで雪の下に貯蔵して来年の春に食べるキャベツだとのこと、冬どりB号という名前なので、冬に収穫するキャベツのことかと思ってしまい、しかも思ったより早く出来て、秋どりB号になってしまいました。残暑が長かったせいのようです。

 残っているキャベツは雪の下に貯蔵することにしました。
無知とは恐ろしいものですね!!

 主人が愛媛の福岡先生の所に研修に行って習って来た土団子の作り方は、野菜の種を土団子の中に入れて固め、畑にバラ蒔くと言うやり方でした。

 10年前に小別沢に畑を借りて野菜を作り始めた頃、主人は無農薬・無化学肥料はもちろんのこと、不耕起・不除草・無肥料の区画を作り、そこに土団子をまきました。


 そこから、いろんな野菜が育ちましたが、もともとやせた山の粘土のところで無肥料ですから、どんな野菜もやせてひょろひょろで、とても販売できるようなものではありませんでした。

 ところが0-1テストをしてみてびっくり!! 
耕して肥料をあげた有機野菜より、生命力が強かったのです(胸腺でマイナス反応が強)。

それ以来、そこは、自家採種の場所になりました。  

  今作っている枝豆も、ささげやインゲン等も、一度無肥料で作って、自家採種したものを代々引き継いできました。
無肥料で作ったものは、姿かたちはみすぼらしくて、小さく、収量もあがらないけれど、粗食に耐えて、ハングリーに育った野菜は、どんな環境にも負けないで育つ、生命の多様性を獲得していくようです。

 それらの野菜のひとつに、ごぼうがありました。
8年ほど前に一度種とりして植えてみましたが、掘るのが大変で今まで作ってきませんでした。
しかし、ごぼうは丈夫なもので、毎年毎年、ごぼうの種は自然落下して、植えなくても元気に育っては見事な種をつけてくれました。
やはり、この種を植えないという手はありません。
 
  二列だけ植えてみました。
あとは、実験的に短くて掘りやすい簡単ごぼうというのをメーカーさんから取り寄せて二列植えてみました。
もし、これが掘りやすければ、無肥料区に植えて種とりしようと考えたのです。


 結果は、大いに外れてしまいました。

どちらのごぼうも長くなり、粘土質の岩盤に突き刺さって、大変な力仕事になりました。
多くは途中で切れてしまいましたが、下の方は自然薯のようにボコボコです。

  男性五人で掘りましたが、一列半掘って、約一名がダウン。
もう一名はやせがまんして「……大丈夫です」!! 
全然簡単ごぼうではありません。
あと二列半、どうしようか思案中です。
ごぼう堀り機を買うほどのこともないし、買っても傾斜地なので使えないし…。

 




 ごぼうは、種苗メーカーさんの種でも、自然交配によって品種改良された固定種(F1=一代交配ではない)か、在来種の固定種なのですが、簡単ごぼうは自然交配による固定種です。

 にもかかわらず、短い丈の固定種のはずなのに、長くなってしまうのです。

 まほろば農園の自然環境の中に植えられて、0-1テストで施肥管理されると、復元力が働いて、もとの長いごぼうに戻ろうとするのでしょうか。


 ということは、まほろば農園で自家採種すればするほど長くなって、結局土団子ごぼうと変わらなくなってしまうではありませんか!!
 


 今朝、農園のミーティングで、つるはしを買ってもらえないかと提案がありました。

 スコップより楽そうだとのこと。
つるはしを買うくらいのことはなんでもないけれど、果たして楽に掘れるでしょうか。
 うまく行けば、感謝デーの店頭に並ぶと思います。
でも、岩盤に突き刺さっている部分のごぼうは、姿かたちがボコボコで、芸術的なので、皆様に敬遠されるかもしれません。

 でも、それは、農園スタッフの汗の結晶です。
労力を惜しまず、採算も度外視して、生命力という価値を追い求めている――――どこまで追い求めていいのか――……みんなにこんなに苦労させてもいいのだろうか? 

 私は深い迷いの中に漂っています。  
余談ですが、短いごぼうは放射線照射して短くするといううわさがありますが、いろいろ調べてみましたが、根拠がないようでした。

 今年新しく借りた2町6反(2.6ヘクタール)の第5農場は、20年間も牧草しか生えていなかったので(石灰しか入れてなかった)、残留農薬の心配はないものの、石だらけでトラクターも、テーラーも、種まき機も使えず、かぼちゃや黒もちとうきびや豆類を手作業で植えた他は、草だらけにして終わってしまいました。  

 来年のために、今のうちに石とりをして、少しでも使えるところを作らなければと思い、ニンニクを植える場所がなくなったこともあり、石とりをしてもらうことにしました。

 まず、木のように育った大きな草を、草刈り機で刈り、表面に見えている石を通路に出し、それから四つ目鍬で耕しながら、また石とりをして行くというものです。

 しかし、実際にやってみると、この作業は困難を極め、2つ買ってきた四つ目鍬が曲がってしまいました。

 それでまた考え直して、一回目の石拾いのあと、できるだけ浅く(10cmくらい)低速回転でトラクターをかけて2回目の石拾いをし、またもう少し深くトラクターをかけて3回目の石拾いをし、これを4回繰り返してやっとニンニクを植える所ができました。
 あまりに忙しくてかぼちゃの草取りをしてあげるヒマがなく、草に埋もれて見えなくなってしまいました。

 にもめげず、草をかき分けてみると、たくましく生き残ったかぼちゃが少しはありました。
店長(大橋)に値付けを頼むと、味しだいだと言うので、早速販売できない未熟なかぼちゃを食べてみました。――う〜ん!これは絶品。

 ただ甘くてポクポクしていると言うだけのかぼちゃならいくらもあるけれど、日当たりがよく、人気のない桃源郷のような第5農場の雰囲気がそのままに、細やかな奥深い風味というか、波動となって伝わってきます。  

 このかぼちゃは、私たちが作ったのではなく、本当に第5農場の精気が凝縮したかのようなかぼちゃでした。  
店長の値付けやいかに!!



 本店店長の高校時代の友達が二人訪ねてきて、農園を見学したいというので案内しました。
高校時代、店長はラグビー部のキャ巡らして防御しているのかと思われたらしく、何もしていないので大変に驚かれたようです。

  直売もやっておられ、無農薬で防虫ネットをいっぱいかけて野菜を作ってみたけれど、出来具合はまほろば農園と少しも変わらないので、いったい自分は何をやっているんだろうと、ショックだったそうです。  

  店長が0-1テストの説明をするのを、不思議いっぱいの様子で、熱心に聞いておられました。
消費者のニーズに応えて、安全な野菜作りを模索されている様子が、しっかりと伝わってきました。
これからこういう農家がどんどん増えていって欲しいものです。


 
 かぼちゃ(常念)、ごぼう、大根、人参、こかぶ、キャベツ、白菜、小松菜、ほうれん草、水菜、ルッコラ、ちりめん辛子菜、チンゲン菜、エンダイブ、大根菜、ブロッコリー、春菊、ニンニク、サラダ菜、パセリ、ニラ、花豆、モロッコ等
 


 きゅうり、トマト、ナス、枝豆、ズッキーニ、じゃがいも、大葉、モロヘイヤ。

 





     
      2008年10月号
   

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