3/26日の朝一番に、チーフの福田君から電話がかかってきました。
何かイヤな予感!
「ネズミにやられました!!」
「えっ〜〜〜〜〜〜!! 何やられたの!」
「キュウリと、カボチャと、激辛(ナンバン)と、フルーピー(カラーピーマンのこと)です」
「う〜〜〜ん! 何とも!」
EC(ヨーロッパ)の有機認証(エコサート)を受けたノアと言うキュウリは種を全部使ってしまったので、播き直しがききません。
毎年ヨーロッパ旅行をされるお客様が、わざわざ買ってきて下さったものでした。
毎年やられるので、ネズミ捕りは仕掛けてあったのですが(カボチャを入れて)・・・・・根元から茎を全部ポキポキと折ってしまうので全滅です。
食べるわけでもなく、一ヶ所に集めて置いてあるのです。
農園のスタッフによると、どうもそれはネズミの習性のようです。
居心地の良い自分の棲家でも作ろうとしているのでしょうか?
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その後、少し経ってまた電話、
「皆で追いつめて捕獲しました」 「スゴーイ!!
あのハウスの中を5人で追いつめたの? よくやったねー!」
聞けば、かわいい小ネズミだとのこと。また、去年と同じように、西岡さんが人里離れた遠くに逃がしてくれました。 |
しかしまた逃がすか、殺すかで私は心が揺れてしまいます。
とにかく、今回は人里離れた所に逃がしたけれど、よそ様に迷惑を掛けないとも限りません。
次回は農園スタッフ共々よく話し合って決めたいと思います。
「ネズミさん、まほろば農園にどうか来ないで下さい!!」
ところが、また次の日もきたのです。
ネズミ捕りにかかったのは、またかわいい小ネズミでした。
保健所に電話してみました。
「保健所はネズミに関しては、捕獲したり、殺したりと言う事はしておりません。
しかし、ネズミは蚊や蝿と同じく伝染病を媒介しますから、
自分でネズミ捕り器ごと水に浸けて窒息死させて下さい。」
「でも、かわいそうで出来ないのです」
「作物を食べられたんですよね!! 農園に男の人はいないのですか?」
「屈強な男性が4人もいるのですが・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
それで皆の意見を聞くことにしました。
●「命あるものを殺すことは出来ません。本来は自然の中に居るものが、暖かいハウスが出来て、人間と同じように心地良い誘惑に負けて出て来たのだから、
『もう人間の所に来るんでないよ』と言い聞かせて、山の中に放してあげたほうがいいと思う」と言う人
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●「人間のテリトリーを侵そうとして捕まった、運の悪い生存競争に負けたネズミだから、殺されても仕方がない」と言う人
●「生かしておくと、遠方に放してもまた人里に下りて来て、他所の人に迷惑をかけるかも知れない」と言う意見
●「人間に迷惑をかけても許されるとネズミに思わせると、また何度もやるかも知れないから、見せしめの為に殺した方がいい」と言う意見
●「殺すことには賛成だけれど、生態系の循環の中に組み込んであげたいから、心情的には食べてあげたい気持ち」
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●「土に埋葬してあげれば、微生物や小動物が食べてくれるから、生態系の中にはちゃんと組み込まれるんじゃないの」と言う意見
その他、色々意見はあったけれど、大体集約すると以上のようでした。
最後に≪殺す派≫は3人、
≪殺しても仕方がないかな派≫1人、
≪逃がしてあげる派≫1人でした。
もちろん、誰でも個人的な心情は、<逃がしてあげる派>なのですが・・・ |
最後に私は、命の問題は多数決で決めることではないけれど、経営者として苦渋の決断、 ≪殺して下さい≫という残酷な指示を出しました。
理由は、
* ネズミが伝染病の媒介をする害獣であること
* 遠くに離したとしても、他所に迷惑がかかるかも知れないこと。 * 農園の実害は金額にして、すでに何十万円にも上っていること、農産物には皆の生活がかかっていること。
これ以上荒らされると、皆のお給料が払えなくなること。
などでした。
古来からネズミは人類の天敵でした。
自然界は食うか食われるかの熾烈な戦いの中で生き残ったものだけが現在の生態系を形成して来ました。
人類が生態系の頂点にあると言う事は、自分たちの生存を脅かすものは、どんな種よりも情け容赦なく排斥して来たのです。
それが、自然界の掟なら、摂理なら、人間の作物を荒らし、伝染病を媒介するネズミは放っては置けません。
また、生態系が食物連鎖によって繋がっている限り、自然界にセンチメンタリズムはありません。
自分の命を養うに必要な糧を得る為であれば、必要最低限の動植物を殺しても良いはずです。
しかし、それだけでは人類はここまで歩いて来られませんでした。
人類が、生態系の頂点にまで上りつめてきた理由、人間と動物の違いは何なのでしょうか?
かつて人類がアフリカから始まって、ユーラシア大陸や東南アジア、アメリカ大陸の果てまで、民族の大移動をしていた時代、
農耕技術を持たない人たちは、
大陸の大型動物を食べつくしてしまいました。
この時多くの動物が絶滅してしまいました。
先史時代に人類が住み始めた島々や大陸を研究すると、
どの島々においても、人類の登場に続いて、
動物種が絶滅しているのだそうです。
いまだ、生産手段を持たない人類は、狩猟採集によって、
食べ物がなくなればどんどん移動して行ったからです。
(参考文献『銃・病原菌・鉄 上・下』
ジャレド・ダイアモンド 草思社)
気候の変動にも助けられ、農耕を始めた人たちは、次第に定住し、
動物を家畜化し、繁殖させながら食べたり、利用したりするようになりました。 大型動物の絶滅と、気候の変動と、農耕の始まりは軌を一にしています。
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本来、農業や牧畜は食糧を確保しながら、自然と共存共栄するための人類の知恵でもありました。
この時、人類は、食糧を食べつくしてしまえば、動植物ばかりでなく、自分も絶滅するのだと言うことを学んだはずでした。
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それが人類を人類たらしめている理性であり、自然観であり、世界観であるはずでした。
ところが、今や、その共存共栄の為だった農業や牧畜が、農薬や化学肥料や硝酸態チッソによって生態系を脅かし始めています。
科学技術の発達や利益優先の企業構造が、土や水や大気を汚染し、何一つ人間に害を及ぼしているわけでもなく、むしろ共生しなければいけない微生物や動植物たちを殺したり、絶滅種に追い込んでいるのです。
それこそが、省みられるべきではないでしょうか?
生態系はサバイバルであると同時に共存共栄であり、その微妙なバランスの上に、人類は上手に乗っていかなければなりません。
どちらに傾きすぎても滅びてしまうからです。
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農家はよくネコを飼っています。
ネズミを食べてもらう為ですが、ネコを飼うと言うのは生態系の食物連鎖をうまく利用した良い方法だと思います。
ところが、都会のネコは食べ物が豊富でネズミを捕らなくなりました。
しかし、狩猟の本能は残っているようで、追っかけ廻して遊んでいます。
ネコを過保護にし、生態系を撹乱しているのも人間です。
(ネコを飼われている方ゴメンナサイ!
個人の問題ではありませんから)
でももう2度と出て来ないで下さい。ネズミ君!!!
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種まきトレーで発芽したトマトに本葉が出て、ポット移植が始まりました。
今年は自家採取の桃太郎ファイトや、ミニトマト(チャップリン・小桃)、調理用トマト(サンマルツァーノ)に加えて、お客様がヨーロッパから買ってきて下さった、エコサート(ECの有機認証)のトマトやシュタイナー農法のトマトなど何種類も増えました。
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今年はタキイ種苗さんが新発売のオレンジ色のトマト、桃太郎ゴールドにも興味があり 少し作ってみることにしました。
話題の調理用トマト、シシリアンルージュにも挑戦してみます。
去年作らなかった中玉トマトも復活してカラフルに赤、黄、オレンジの3色で、全部合わせるとついに18種類!
トマトのオンパレードです。
コンピューターの販売管理が大変になるので、
店長と島田さんを悩ませそう・・・。
農園も各種類、間違えないように管理するのは大変です。
でも、お客様は選択の自由があって、カラフルで喜んで戴けるかも・・・そう思うとついつい増えてしまったのです。
育苗用土も、全部0−1テストで自家配合の手づくりですが、これが一番大変です。
原材料は下記の通りです。
@ピートモス
Aモミガラくん炭
Bモミガラ
C陸王(マグネシューム)
D天然硫化
Eバーミキュライト
Fパーライト
G不知火燐酸
Hサンゴ
I農園の土
以上、農園の土と、モミガラ以外は購入したもので、有機JAS対応です。
C、D、E、Fは、鉱石を砕いて加工したものです。
Gは牛骨粉を1300度以上で焼いたものです。
モミガラは、まほろばの有機米生産者の川本さんから戴いたものです。
作物の種類によって、0−1テストで、微妙に配合を変えながら作っていきます。
作出来は、農園スタッフの0−1テストの腕にかかっています。
今年はチーフの福田君に加えて、社員の西岡さん、穂積君も0−1テストが出来るようになったので、心づよい限りです。
新しく研修生になった松本君、上島さんの2人も、早く習得したいと意欲満々です。
福田君を始めとする社員3人はもう紹介ずみなので、新しい研修生を紹介させて戴きます。
去年のシーズン最後の頃、研修生の恵美ちゃんが結婚して岩手県の方に行くことになりました。
それがはっきり決まった所で、新しい研修生の申し込みがありました。
何とタイミングの良いことでしょう。
早速面接したら、いい人なのでスグに決まりました。
ところが、11月の最後の方になって、南君も「自立したい」と言う事で、辞めることになりました。
これは大変なことになりました。
二月から始まる農園の人手が足りません。
「あー困ったな」誰かいい人来てくれないかな」と真剣に思っていると、その2日後に研修生になりたい人が現れました。
面接して農園のスタッフにも会ってもらって、異議なしで、
即決になりました。松本君です。
ところがところがです。
今年2月になって、恵美ちゃんの後に入った人が、家庭の事情で辞めたいと言ってきたのです。
これには本当に困りました。
私は、去年の12月から2ヶ月掛けて、家に閉じこもって常勤メンバー5人の予定で、今年の営農スケジュールや、栽培マニュアル、作付け表などを作り上げたところでした。
それらを元に、明日から学習会を開こうかと言う矢先でした。
1人違えばすべてのスケジュールが狂ってしまいます。
第一回目の学習会の席上で皆に説明し、どうしようかと言うことになりました。
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結局、前々回も、前回も
「困ったな、誰かいい人来てくれないかな」
と思った途端に来てくれたので、
今回は、私一人だけでなく農園メンバー全員で思うことに決まりました。 おかしな会議です。
ところがところがです。
本当に来たのです。
しかも、学習会の次の日にです。上島さと子さんです。
それでは今日は、その2人を紹介させて戴きます。
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松本君は眼差しの深い、いい眼をした緊張感のある顔立ちで、西岡さんが、「眼を見たら分かります」と言ったくらいです。
頑張ってくれそうなので、期待しています。 |
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上島さんは、明るくて、はきはきとしていて気持ちの良いところがあります。
農園の紅一点で、皆からやさしくしてもらっているようです?
偶然、本店社員のゆかりちゃんや、厚別店のたくみ君(ごめんなさい、店長なのに!!)と同じ酪農学園の環境システム学部でした!!
(学科は違うもののゆかりちゃんとは同期でした)
まほろば農園の女性は代々女傑で、初代染ちゃんは、トラクターを乗り回し、男性以上に力仕事をこなしていました(今、伊豆諸島の利島で保母さんをしていて、昨日、明日葉を送ってくれました)。
次代恵美ちゃんは、野幌から片道2時間かけて、毎日自転車で通って来ていました。
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3代目の上島さんは、石山通りからバイクで通ってきています。
雪の日も、アイスバーンの日もバイクで来るので、さすがに心配しています。
1度雪の積もった日にすべって転んでバイクが動かなくなったりしたので、さすがに怖くなったかなと思いきや、次の日もまたバイクがありました。 |
呆れてしまいました。
でももう暖かくなったので大丈夫そうです。
でも皆、女傑と書くにはかわいい娘ばかりです。
(印象が悪くなると困るので)
あと、もう少しして、雪が融けてくると去年と同じく、パートさんの甲賀さん、大島さん、「喜びの家」の奥村さん、時々アルバイトの熊木君等が入ります。
そうそう、ボランティアをしたいと言う女の娘も出てきて、
時々、手伝ってくれています。
今年は、以上のメンバーで頑張りたいと思います。
よろしくお願い致します。
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