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 去る4月25日、農園のある子別沢町内会の恒例“ゴミ拾い行事”がありました。
まほろば農園は、数年前から特別会員になり、ほとんどの行事に参加させて頂くようになりました。
近在農家の方々に暖かく迎えられているのが大変嬉しく、感謝しています。  

 この日も、小別沢の方々との共同作業を、早朝(AM6:00)から楽しくやっていたのですが、沢の方にあまりにも不法投棄が多いので、驚いてしまいました。

去年より多いような気がします。  
テレビあり、オーブンあり、タイヤあり、建材あり、空き缶、ビニール、ガラス……。  

「燃えないゴミには税金を高くかければいいのに。」

一緒にガラスを拾っていた時、研修生のさっちゃんが言いました。
 


本当にそのとおりです。
こんな人工的なゴミが一杯落ちている沢の水を農園に使っているなんて、ちょっと心配になって来ました。
 

 チーフの福田君が嬉しそうに何か持ってきました。
サンショウウオだそうです。

旭川の大自然の中でいっぱい遊んで育った野生児の彼は、私たちが見つけられない生き物を、いつでも不思議と見つけて見せてくれます。

 セキレイの巣、天然なめこ、ヘビ、トカゲ,スズメバチの巣、などなど…。  
去年の晩秋、農園のすぐ上を低空飛行する白鳥の群れを、目ざとく見つけて教えてくれたのには感動でした。  

 
そういう時の彼の顔は、ひときわ輝いていて、少年に戻ります。
 
  彼によると、サンショウウオは、きれいな水の所にしか住まないので、沢の水がきれいな証拠とのこと……ちょっと安心!!



 今度は私が見つけました。
たったの2本ほどですが、間違いなくみずばしょうです。  

みずばしょうも、きれいな水の所にしか生えないそうなので、嬉しくなりました。
不法投棄のゴミで暗くなった心が急に明るくなりました。

 札幌市内に、まだまだサンショウウオが住んだり、ミズバショウが生える場所があるということ。
その水を使って野菜を作る事が出来ると言うこと。
感謝!感謝!です。
 

 サンショウウオは、編集長の島田さんに写真を撮ってもらって、大事に大事に元の場所に返してあげました。
げんきでねーーー。
 
 後で、福田君に私がミズバショウを見つけたことを、得意げに話しました。
 
「えっ! 知らなかったんですか?…皆知っていますよ!!」
知らなかったのは
私だけだったようです!!! 
「教えてよねーー!!」

 次の日、研修生の松本君がこんな提案をして来ました。
どこか他所で鳥居を建てたら不法投棄が減ったと言う話があるとの事。  
「うーん!確かに減るかも知れない。」  

 でも、ここは風致地区だし、小別沢の人たちに相談もなくやることは出来ないし、市の許可も必要かも・・・・・・それにもう農繁期に入ってしまったし、この話は、ちょっと預からせて頂くと言うことになりました。

 

 でも、さっちゃんといい、松本君といい、若い人たちが真剣に環境問題を考え解決策まで考えてくれていることに感激です。

 なんだか自家採取の調理用トマトのサンマルツァーノが元気がありません。  
ちょっと新芽の所が丸まっているような気がします。
私は、すぐにカルシウムが足りないかなと思い、0−1テストで実験してみると、案の定でした。  

 ところが、隣にあるヨーロッパからお客様が買って来て下さった有機認証(エコサート)のサンマルツァーノは元気印です。
カルシウムは要らないと言っています。  

 そこで、培養土はどのようにして作ったのか、詳しく聞いてみると、エコの種に合わせて0−1テストして作ったとの事、自家採取の種は、同じサンマルツァーノだから実験しなかったそうです。  

 それで、すぐにピーンときました。
ヨーロッパの土はカルシウムが多く、水もカルシウムの多い硬水で飲料水にならないほどです。 当然、エコの種もしっかりカルシウムを蓄えていたのでしょう。 ところが、カルシウムの少ない日本の土壌では始めからカルシウムが必要だったのです。  

 すぐにカルシウム源として、自家採取のサンマルにサンゴを追肥してもらい、3〜4日水やりしてもらうと立ち直ってきました。
所変われば、こんなにも変わるものかと今さらながら驚きです。
私も、皆も大変勉強になりました。

 

 おいしい白菜な花と、小松菜な花がいっぱい採れるようになりました。
今日から200グラム190円に値下げです。ハウスの春菊も今日から(5月5日)初出荷です。
私が女性軍に春菊の収穫の仕方を講習している所に、祭日で仕入れのない主人がふらりと来て写真を撮ってくれました。

 ハサミを入れる時、下にある脇芽を切らないようにと言ったばかりなのに、私が切ってしまいました。
捨てるのはもったいないので、生でかじってみました。  
 「うーーん!今年はとりわけおいしい感じ!!」 
皆も食べて感動です。 主人もこんなかわいいお顔!!  

 後、お隣の畑の我満さんのネギも出荷中です。
とても柔らかくて甘くて、酢味噌あえにすると絶品です。


 

 今年は5月15日から苗木を販売する事になりました。

 ほとんどが自家採取の種で作った苗ですが、少し有機認証の種や、自然農法の種、後は野口種苗さん(固定主専門店)や、種の森さん、0−1テストで選んだ一般の種苗会社さんの種で作った苗があります。  

 培養土は、農園の土に有機対応の天然資材のみを使って0-1テストで自家配合しています。
スイカやメロン類、ナス、キュウリなどは少し出荷が遅れるかも知れません。

 培養土を作る作業は、0−1テストのできる男の人の仕事になっています。
大体、社員3人が交代でやっているようなのですが、作っている所を見てびっくり?大量の培養土を作るのにいちいち手で混ぜているのです。  

 主人が福岡正信先生の自然農法を真似て、粘土団子を作る時に買ったミキサーがあるのであれを使えば便利で、スタッフの負担が軽くなるかなと思ったのですが・・・・・・・・去年は機械よりスコップのほうがいいと言うので、任せていました。  

「えっ!!スコップでやらないの!!」  
「はい、これが一番きれいに混ざるのです。」  
「そうねーーーたしかにねーー」

 便利さを求めないスタッフに驚いてしまいました。  
まーー電気代はかからないし、エコだし、
愛情たっぷりだけどねーー  


「疲れないの?大丈夫なの?」  
「はい、大丈夫です。」  「あなたたちがそれでいいんならいいけどねーー。 私がやるわけじゃないからねーー」  

 私は呆れてもう何も言えないで帰ってきました。  

 

 いつも、ネギや、とうもろこしや、白菜などを仕入れさせて戴いている、隣の畑の我満さんは、3〜4年前からよくお孫さんを連れて来られます。  

そのお爺ちゃんがお孫さんとの会話をまとめて小冊子『龍治と爺ちゃん』を出されました。
こんな子育てが出来たらいいなと思うものばかりです。  

その中の「蜘蛛とモンシロチョウ」をご紹介したいと思います。


 龍治、五歳八か月、七月末の土曜日、畑の作業小屋でのこと。

昨日から掘り取り地乾しをしたニンニクを軽四のトラックに
積み込み畑の作小屋で根を切る仕事をしていたときのことである。

小雨あがりの雲の低い日であった。
開いている窓の外には蜘蛛が大きな巣をはっていた。
龍治はなぜか蜘蛛がきらいだった。

「爺ちん、あの蜘蛛の巣とってよ」 ときた。
「だってね、蜘蛛さんはあの巣で虫さんを捕まえて、それがごはんなのだから」
「でも龍治きらいだからとって」
「あの巣を取ると蜘蛛さんは今夜、ごはんが食べられないよ」
「龍治、今日の夕ご飯、食べなくていいの。 『だめ。』でしょう、 だから取るのはやめようね」

 

やがて動かなくなった、死んだのかな、
蜘蛛がでてくるのかな、

そんな話をしながら私はニンニクの根を切りながら、
チョウチョをみはっていた。
チョウチョがトツゼン暴れだした。

「龍治、チョウチョが暴れだしたぞ、
がんばってにげられるかな。
逃げないと蜘蛛さんに食べられるから、
がんばるぞ、きっと」

「爺ちゃん、蜘蛛さんなぜ出てこないの、逃げられるのに。 
蜘蛛さんは小鳥さんにみつかったら、食べられるし、
昼は寝ているので、出てこないよ」

チョウは三分ほどあばれたが、疲れたのかうごかなくなった。

死んだのか。
龍治は蜘蛛とチョウと小鳥の関係が気になりだしていたようだ。

しばらくして、またチョウが暴れた、こんどは逃げられるかな。
二人の期待にたがわず、チョウチョはまた動かなくなった。

「爺ちゃん、もう死んだの、可哀そうだね、がんばってたのにね」
「そうだな、でもまだがんばるかもね」
「でもあの、チョウの卵はアオムシになってキャベツや白菜をたべるぞ。龍治、青虫をつぶせるかい」
「大丈夫、つぶせるよ」
「そうだな、昨年は沢山つぶせたね」
「だって、キャベツや白菜たべられたでしょう」
またしても暴れだしたのに目がとまった。
「あ、チョウチョが離れたぞ」

チョウは少し落ちかけたが、ゆらゆらと飛んでいった。

「龍治、チョウチョが逃げたぞ。がんばったぞ、すごいなあ」
「うん、すごいね、チョウチョは喜こんでるねきっと。
でも蜘蛛さん晩御飯あたるかなあ」
「またなにか、かかるとおもうよ、みんな頑張っているんだから」

蜘蛛とチョウチョ、小鳥などの戦いや、生き物と植物がまた戦っている。
否、共生していることなどがすこしは、解かったであろう。
朝からニンニクを一本ずつ私の手元に手渡しながら、蜘蛛の巣、モンシロチョウ、
私である爺ちゃんが、龍治の脳裏にどのように記憶されるのだろうか。
「龍治と爺ちゃん」
    我満 由明 著

 

 

 

      2009年5月号
   

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