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 心配した台風が大したこともなく過ぎ去って、一安心したすぐ後に、台風よりも強い風と霰が長時間続きました。

それで、可哀想に青菜も豆類(インゲン、モロッコ、絹さやなど)もピーマン、ナンバン系も、傷だらけになりました。  

 ピーマンも豆類も白い斑点があばたのようになって、何となく気持ち悪い感じで、廃棄が多くなってしまいました。
青菜類は、捨てる葉っぱが多く、柔らかいほうれん草などは、収穫量の半分位は廃棄になっているでしょうか?
それでもアラレの当たった所を全部捨てるとなくなってしまうので、少しは残しても良いことにしています。
調理すると分からなくなるので・・・

 11月2日には初雪が降り、雪自体は大したことはなかったものの、最低気温がマイナス4℃まで下がったので、野菜の凍結が3日も続き、特に大根の凍結がなかなか戻らず、もうダメかなと思った位でした。

大根の皮膚は細胞内の水分が凍って膨張できるだけ膨張して、ボコボコになっていました。 白菜もキャベツもカチンカチンでした。そこまでなっても、細胞膜は破れなかったのです。
 
 大地にしっかり根を下ろした秋冬野菜は気温が上がるにつれて、徐々に徐々に融けて行き、完全に元に戻ってくれました。この露地野菜の逞しい復元力が生命力なのですね。  
 南国生まれで、寒がりの私などは本当に脱帽です。
せめて大根食べて強靭な生命力にアヤカリタイ!!

 

 夏野菜は、やはり寒さに弱く、暖かくなっても解凍し過ぎた肉や枝豆のように細胞膜が破れて脱水してしまい、ベトベトになってしまいました。  
毎年、こんなに急激に寒さが来ることはありません。
朝方気温が下がって凍結しても、太陽が出ると午前中には戻り、すぐにその日の内に収穫できました。

 そして何回も小さい短期間の凍結を繰り返しながら、次第に甘味が増しておいしくなり、11月の末頃から12月の始め頃にかけて根雪になり、雪の下に埋もれてしまうのです。  
 
 ところが今回は、まだたくさん残っていたピーマンや赤ピーマンを畑に残したまま、帰らぬ人(?)になってしまいました。  

 その後には10月に戻ったかのようなポカポカ陽気で、一体今年は暖冬なのか?厳冬なのか?

 今年は、さきがけ(自家採取)・新さきがけ(今年初めて植えたF1種)・京ひかり(自家採取)・自生(自然農法の自生種)と4種類も植えてしまったことは、前々号で書きました。  

結論から言うと、一番乾燥に強かったのは、F1の新さきがけで、さきがけと京ひかりが同じくらいで続き、自生が一番被害を受けました。  
新さきがけは、寒さに対しても、雨や湿害に対しても、自家採取と同じくらい強く、相変わらず子沢山で、どんどん成長してくれました。

 大器晩成型のさきがけは、追肥が遅れ、やっと肥料まき出来た時には、長い間日照りが続き、やっと雨が降ったときには(雨が降らないと、肥料が融けて吸収できません)、もう寒さが来て、根っこが肥料を吸収する力を失っている頃でした。  

それでも、病気にもならず、寒さにも強く、たくさん実もつけたのですが、色が薄く、中々大きくなりませんでした。
いかにもエネルギー切れといった感じです。
それでも、一番味が良くて、人気品種でした。

 雨が異常に長く降り続いたり、日照りが長いと、自生は、成長が緩慢になって、実が硬く小さくなってしまい、京ひかりは子沢山で、実が硬く小さくなってしまうのですが、さきがけは、成長が緩慢になっても実が硬くならず新さきがけは、成長も止まらず、実も硬くなりませんでした。  

 結果、自生が全般的に問題が多く、F1種の新さきがけが、味を除いては(肉薄で苦味が強い)一番優秀という意外な結果になりました。
味が悪いと言っても、それは私の主観なので、4種類の中では一番多く売れているし、客観的にはそれほど悪くないのかも知れません。


 在来種と言うのは、栽培の始まった縄文時代の昔から、ずーっと固定種であったわけではありません。

 偶然の交配や、突然変異を繰り返しながら、人類に都合の良いものだけが選抜され、さらに、生殖と交配のメカニズムが分かってからは、目的意識的に、人にとって都合のよい性質が出るように自然交配されてきました(例えば、形が大きいとか、味が良い、成長が早い、柔らかい、可食部が多い、病気になりにくいとか・・・) 在来種と言うのは、ここら辺までを生産現場で生産者がコントロールしながら、その土地その土地に適応してほぼ固定化したものではないかと思います。

 しかし、種苗会社のように厳密に隔離して生産しているわけではないので、時々は予期しない色んな花粉と交雑しながら雑種強勢の原理も働いて、逞しい在来種が出来上がってきたのではないでしょうか?  

  しかし、中には環境条件がよく、純粋培養され、近親交配を続けて進化が途中で止まってしまったような在来種は、かえって弱々しかったり、味が悪かったり、繊維が多すぎて硬かったり、マイナス面も多くあると思います。

 これまで、色んな在来種を植えてみましたが、お客様に支持されないものも多く、売れないものを作るわけにも行かず、店頭から自然に消えていきました。

  しかし、それらの在来種は、まほろば農園の中で、他の在来種や、F1種と自然交配し、まほろばオリジナル白菜や、オリジナル小松菜などとして、遺伝子として進化した形で今も残っています。

 

 さらに交配技術が進むと、化学薬品を使ったり、放射能で突然変異を起こしたり、クローンや遺伝子組み換え技術を使ったり・・・と安全性や生命の尊厳にかかわるような品種も誕生するようになりました。   

 しかし、0−1テストで選んでいくと、種苗会社の種にもまだまだ自然交配された種(F1種)も、優秀な在来種もあります。
そのような種を0―1テストで上手に選び、自家採取したり、交配したりしていくと、種苗会社の種には改良が加えられているので、素晴らしい品種が出来ていきます。

 たとえば、味の悪いF1の新さきがけを自家採取し、それに長年自家採取を続けて来た味の良い在来種のさきがけを自然交配したらどんな風になるでしょうか?  

  さあ!来年は今年それぞれに自家採取した種で、どんなピーマンを育てて行くことになるでしょうか?

 

 毎年、漬物野菜の種まきが遅れて、大根が中々大きくならなかったり、白菜の巻きが甘かったりするので、今年こそは“遅れじ”とばかり頑張って植えました。  

  ところが好天続きで、大根がどんどん育ってしまい、漬物用のサイズがなくなってしまいました。

 その上、お客様の漬物時期がだんだん遅くなり、大根は成長するばかり・・・・・  予約の方には本当にご迷惑をかけてしまいました。
中々プロの農家になるのは難しいものです。来年は、もう少し時間差をつけて3段階くらいに植えてみたいと思います。(今年は2段階でした)


 これがなかなか難しいのです。
蕾がふくらんで取ると、大きくて高く売れるのですが、私はいつもその直前を取るように指示しています。
でも、収穫した後を見回ると、適期のブロッコリーや、その時期を過ぎたものがまだ残っていたり、早すぎるものが収穫されていたり、なかなか難しいようです。

「収穫するのが1日遅いよ」と言うと、担当者から 「スーパーや他所の店のブロッコリーを見ると蕾がふくらんで大きくなったものを売っているのにどうしてですか?」と質問が来ました。  

 それで、色んな成長段階のものを並べて、皆に0−1テストしてもらう事にしました。 やはり、蕾がふくらむ前の「さあー、これからふくらむよ!」と言う時が、一番生命エネルギーが高いようです。また、その時が一番味も良いのです。

 でも、あと一日置けば、1,5倍の重さになり、2日おけば2倍の重さにはなるのに・・・・・  でも、やせ我慢やせ我慢、なにしろまほろばは0−1テストの店ですから・・・・・



 大根・白菜・赤カブ・キャベツ・ほうれん草・小松菜・ミズナ・チンゲンサイ・ルッコラ・チリメン辛子菜・赤リアス辛子菜・ニンニク・カブ・パープルトップアンダーホワイト(カブです)・ブロッコリー・カリフラワー・カボチャ・人参・パセリ  カボチャ・人参・パセリは、そろそろ終わりです。


 0℃以下になって畑が凍結したり、雪が降ったりすると、私はもう畑に行かない(寒くて行けない)のだけれど、男性群は店に出す野菜を収穫してくれるのです。

 白菜、キャベツ、大根などの収穫は体力勝負ですが、体を動かすのでそれほど寒くはありません。一番辛いのは青菜類の収穫です。
あまり体を動かさないので、手足が冷え込むのです。
太陽も無く、風の強い日は最悪です。
ちょっと小高い農園は下よりも1〜2度温度が低いし、風も強いし、私はどちらも苦手なので、近頃は野菜の凍結が融けて、少し暖かくなってから出かけて行くようになりました。
カブの収穫とか、豆類の種とりとか・・・



 この時期、あの凍りつくような寒さの中で、しかも長時間・・・農園の男性群が急に大きく見えてきます。
九州から来た研修生の山下君は大丈夫かなあ・・・  

旭川生まれの福田君は、薄いペラペラのニッカポッカ一枚でズボン下も履いてないのです。
畑から靴下も履かないで、草履を履いて帰って来ました。う〜〜〜ん論外!!

「ねえ、とうとう黒豆の草取りに来なかったよね!!」
「ああ、そうか、そうだったよな、今から草取りにいくかなあ」
「だってもう寒さで草は枯れて来たし、大豆まで枯れてきてもう収穫直前ですよ!!『社長の作ったお正月用黒豆入り黒豆もち』は実現しなかったね」

 『社長の作ったお正月用黒豆入り黒豆もち』を発売すると意気込んで、どうにか種まきはがんばったけれど(7月号に写真と記事掲載)、何かと忙しい主人はついに草取りに来られませんでした。
たまにヒマな時には雨が降ったり・・・・・

 
 栽培の簡単な豆類と言えども、植えっぱなしでは育ちません。
味良く、栄養価も高くしようと思えば、ミネラル類の追肥も必要ですし、太陽がよく当たるように除草も必要になります。
でもご心配なく、農園スタッフが遅ればせながら、施肥も除草もやりました。

「残念だなあ!!せっかく植えたのに・・・」
「ならば、社長の作ったじゃなくて、社長の植えた黒豆入り黒豆もちにしたら? それなら、看板に偽りありにはならないし・・・」

「・・・・・・」





      2009月11月号
   

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