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1月20日、農園のオフを利用して、東京の大鳥居にあるワタミ(株)の本社で開催された(株)ワタミファーム主催の「第14回 全国有機農業生産者会議」に出席して来ました。
一昨年は主人が参加して、去年と今年は、私が一人だけで参加です。
まほろばと取引のある生産者の方たちも多く、「さんぶ野菜ネットワーク」の方たち(4名)や、宮崎の「有機生活・綾」の方たち(4名)、「自然農法販売協同機構」さん(2名)、「あゆみの会」さん(2名)、「(株)生産者連合デコポン」さん(19名)、「(株)ビバさん」(1名―食品で取引があります)
北海道からは、「当麻グリーンライフ」さん(1名)、札幌中央卸売市場「(株)米内青果さん」(1名―有機農産物を専門に扱っている仲買さんです)等で、居酒屋ワタミでの懇親会では、初めての人も含めて、挨拶ばかりしていました。
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私伊藤忠商事の方たち2人と合い席になった私は、ふと、20年ほど前のことを思い出しました。
アメリカから輸入レモンの残留農薬の事がマスコミで騒がれていた時のことです。OPP・TBZと言うポストハーベスト(収穫後にかける農薬―防腐剤として)が発がん性や、催奇形性があるということで問題になっていたのです。
(当時はまだ、国内産のレモンはありませんでした)
当時、市場にはたくさんのレモンが入荷していましたが、何度0−1テストしても良いものがなく、仕入れていませんでした。
しばらくして、生協さんにOPP・TBZを使用していないレモンが入ったというので、買いに行きました。
ところが、実験してみると、少しも良くなっていないのです。OPP・TBZ以外のもっと強力な農薬が残っているのかも知れません。
ほどなくして、ポストハーベストに詳しい小若順一さんの本が出版され、まだ残っていた強力な農薬が、2・4Dだということが分ったのです。
(ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤で、べトちゃんドクチャンを初め、多くの奇形児を生み出した強力な催奇形性のある農薬です)
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その後、主人が市場で0−1テストしていると、確かなレモンを見つけました。調べてみると、アメリカの砂漠の真ん中で、無農薬レモンを作っているダン・リギーさんのものでした。
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さっそく仕入れましたが、その後、2度と入ってきませんでした。
高価であまり売れなかったので、市場では扱わないことになったのです。
それで主人が調べてみると、伊藤忠商事?が輸入しているものでした。
仲買さんに頼んでみると、10ケース(200キロ)単位で取ってくれるなら仕入れてくれるとの事。
10ケースは、今のまほろばでも処理しきれない量ですが、どうしても欲しくて東京から引いてもらい、仲買さんの低温倉庫に入れてもらって、最後の方はずいぶん腐らせながら販売していました。
低温倉庫代や廃棄率を考えたら、採算は取れていなかったのですが、福岡先生など、国内産の安全なレモンが出回るようになるまでずっと続けていました。
伊藤忠商事の方たちにその時の事を話すと(私の記憶は少しあやふやで、伊藤忠だったか、丸紅だったか少し自信がなかったのです)一人の方が、伊藤忠商事が、ダン・リギーさんの無農薬レモンを扱っていたことをご存知で、本当に良かったと思いました。
実を言うと、大企業さんと合い席になってしまい、まほろばにとってあまりご縁のない方がたと何を話そうかと困っていたのです。
レモンがきっかけで、なごやかに話が進んでいきました。
その後、米内さんに誘われて、綾町の人たちと2次会で、いろいろ本音で語り合って、旧交と、友好を深めました。
それと言うのも15年ほど前のことです。市場で0−1テストすると、綾町の野菜はいつもパワフルで安全性が高く、米内さんに頼んで、九州から引いてもらっていました。それで、どんなところで、どんな作り方をしているのか知りたくなって、主人は米内さんを誘って、はるばる訪ねてみたのです。
行ってみてびっくり、そこは、故・郷田町長の先見の明と強力な指導力の下、町を挙げて自然環境の保護と、有機農業に取り組んでいました。
当時、個人的に有機や自然農法に取り組んでいる人さえ、全国的にもまだちらほらで、町ぐるみで取り組んでいる所はありませんでした。
(主人の書いた“有機の町・綾”の小冊子あります)
行ってみると、よくぞ探し当てて下さったと、町をあげての大歓迎で、こころ暖かくもてなされて帰ってきました。
その後、札幌で郷田町長の講演会を開いたり、綾町の有機に熱心な農家の方たちが、まほろばと、札幌中央卸売り市場を見学に来られ、接待したり、郷田町長のお葬式に参加したりと色々と交流がありました。
ところが、郷田町長が選挙に破れ、亡くなられた後は、急に勢いを失い、バラバラになって、それでもなお、志を失わなかった人たちだけ4人で“有機生活・綾”を立ち上げているのです。
“先駆者必ずしも将ならず”とは言え、どれだけ多くの全国の有機農業をめざす市町村に影響を与え、情報や、技術や勇気を提供してきたか計り知れません。
先駆者としての働きを十分に果たして下さったと感謝するばかりです。
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