これまでの有畜複合農業は、蓄糞を自給しているというだけで、それをそのまま使うのではなく、人為的に大変な手間と時間をかけて、堆肥を作ってきました。そして、完熟堆肥でなければ病気が出るよと言われてきました。
しかし、完熟堆肥を作ることが、有機農法の実践者に大きな負担をかけてきました。
それを豚さんが代わりにやってくれるのです。
あの広大な厳寒の標津で、何十年と言う歳月を大自然と対峙しながら、心眼を開いて来られた本田さんに心から敬服しています。
私は、今回札幌とは比べ物にならない標津の厳しい寒さの中に立った時、美しく穏やかな豚さんや牛さんの顔を見た時、本田さんのこれまでの苦労と努力が、想像を絶する物であった事を初めて思い知らされたのでした。
本田さんは、
「家畜をペットのようにかわいがって世話をしてはいけない」「動物が好きで、研修に来た子ほど長続きしない」といいます。ペットのように接すれば、屠殺することが可愛そうになり、罪悪感を生んでしまいます。
だから、ペットに対するような情ではなく、大自然の生態系の一環として、私たちの生命を支えてくれる者への、感謝と畏敬の念に支えられた、厳しく深い情を持って接しなければいけないと言うことなのだと思います。
大自然の中で、厳しく深く、自らと命の本質を見つめ続けてきた本田さん特有のキラッと光る真を突いた言葉の重みが、何時にも増して胸に迫る2日間でした。
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