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まほろば自然農園
 
 
     

   

 

   

 農園のある小別沢に熊が出没するようになって、2週間位も経ったでしょうか?

トウモロコシ畑が次々に荒らされて、細い農道を一つ挟んだだけのまほろばの第4農場の左隣の畑も、右隣の市民農園さんにも毎日熊が来て、丁度食べごろになったとうもろこしから順番に食べて、一本残さず食べ尽くしてしまいました。
(人が食べるには2日ほど早いものを見極めて食べるそうです)
 熊はあちこちのとうもろこしを食べ歩いているので、どこに出るか分かりません。昼となく夜となく出るので、パトカーが来て、朝夕のジョギングの自粛も呼びかけられていますが、農作業は自粛するわけにもいかず、継続しています。

 

   

 第1農場の上側にも熊の糞と足跡があったと言うので、登山禁止の立て札が立てられました。

 

   





 

 

 

 

 

   

 

   
 とうもろこし畑のすぐ上もまほろば農園で、花豆やとら豆など、へうげ(ひょうげ)味噌用の豆類を植えているのですが、豆用のアーチ支柱がグニャリと曲がってしまいました〈2日目のボランティアさんに収穫してもらったところです〉



 とうもろこし畑の人が、熊を見て爆竹を鳴らしたので、熊が慌てて第4農場の上の山に逃げる時、ぶつかって曲がったのではないかと言うのです〈爆竹を鳴らした人の推測です〉。とても人の力では曲げられないからです。

 夜は爆竹が鳴らせないので、とうもろこしが食べられないように、トラクターや車のエンジンを掛けっ放しにして一晩中置くのですが、それでも食べに来るので、もう、諦めてしまったようです。

最後の一本まで熊が食べ尽くしてしまったので、今はトラクターがかけられて跡形も無くなってしまいました。


   

 

   

 お昼の12時ごろにアスファルトの公道を歩いていたのを見た人がいるそうで、熊はよほどお腹が空いているのでしょう。

熊は人に対する恐怖よりも、空腹の飢餓感の方が大きいのでしょう。
専門家によると、夏、雨が少なく、熊のエサになるようなフキとかが早く枯れてしまった事が原因とか…。

 
 また以前は、熊が冬眠から覚める春一番に熊狩りをしていたのに、余りに熊が減りすぎたので、止めてしまった事も原因とか…。

昔、アイヌの人たちが、クマと上手に折り合いをつけ、お互いのテリトリーを守りながら、自然と共生していた頃が最善だったのかも知れません。

テレビで見た知床の熊も痩せて、見る影もなく、熊と言うよりも狼のようでした。何か怖いというよりも憐れです。





 

 

   

 

   
 右隣の市民農園さんにも熊が出没し、とうもろこしを食べるので、警察が檻を仕掛けました。大小2つ仕掛けられましたが、もう一週間くらいになるのに一向に掛かりません。

 ボランティアの榊原さんと武藤さんが農園だより用にと、デジカメで撮影してきてくれました。

熊が掛かると檻が撤去されるので、早く撮影しないと無くなってしまうというので、仕掛けられたその日の内に撮影に行ったとの事。
(農園だよりのことまで心配して下さって!! 本当に驚くべく行き届いたボランティアさん達です。頭が下がります)

小さい方の檻は、アライ熊用ではないかと思います。ヘリコプターでも捜索していますが、一向に捕まりません。


 
   

 

     まほろば農園は今年は人手が少ないので、とうもろこしは作りませんでした。

不幸中の幸いと言うか……でも、第4農場は、左右に熊が出て、上の山に住んでいると言われているし、下のアスファルトの公道を挟んだ下のトウモロコシ畑も荒らされてしまったので、第4農場は熊の通り道になっていることは確かで、収穫もちょっと怖いのです。

 


   

 

     前にも御紹介しましたが、農園チーフの福田君は珍し物好きで、自家菜園に変わったものばかり作っています。

私が知っているだけでも、まさかりカボチャ、ソーメンカボチャ、黒花豆、サツマイモ、ピーナッツ、ゼブラナス、八列とうきび、黒もちとうきび、ツタンカーメンの豆と黒小豆(これは、へうげ味噌用だそうです)等々です。

 八列や黒もちは甘くないので熊は食べに来ないのではと話していましたが、甘いとうもろこしが少なくなった頃、やはり食べられてしまいました。

 とうもろこしに付いていた熊の毛をビニール袋に入れて来て見せてくれました。見たくないのに…。
今日(4日)は、またすぐ近くの我満さんの畑のぶどうが食べられたそうです。



 

   

 

   

 大丈夫ですか?気をつけて下さいね」と、色んな人が心配してくれるけれど、有難いのですが、大丈夫だとも言えないし、大丈夫でないとも言えないし、すべて運任せとしか言えません。

 高校生の頃読んだ本の中で、日本の昔の賢人(調べたら良寛さんのようです)が、
「災難に逢う時節には、災難に逢うがよく候。死ぬ時節には、死ぬがよく候。
是ハこれ災難をのがるる妙法にて候」と言っていたのが、深く心に残っています。
意味がよく分からなかったので、心に残ったのだと思います。でも、熊事件に遭遇して、また記憶が蘇って来ました。
〈自分の身に起きるどんな事も、すべて自分が準備してきた事。選択の余地のない事は、淡々と、粛々と覚悟を決めて素直に受け入れるしかなく、それが最善であり、天命であり、運命である事〉 
そう思えた途端に度胸が据わって恐怖感が薄らいで来ました。

クマは怖いに決まっていますが、それはそれとして、大袈裟ですが、自分の運命と堂々と渡りあう快感のようなものもあるのです。
きっと、
「災難に逢う時節には、災難に逢うがよく候。」というのは、きっとそういう意味なのではなかったかと、勝手に解釈致しました。(どなたか、間違っていたらご教示下さいませ)




 

   

 

     トマト、ミニトマト、きゅうり、ナス、ローザビアンカ、ズッキーニ、カボチャ、じゃがいも、激辛なんばん、モロッコ、大平ささげ、小松菜、水菜、チンゲン菜、かぶ間引き菜、キャベツ、ニラ、ピーマン、赤ピーマン、ピメント、ラデイッシュ、大根、ミニ人参、陸のり、雲南百薬、ニラ、穂紫蘇、バジルなどです。


 

     

 

     まほろば農園で2年間研修していた佐々木さんが、まほろばの第3農場で独立してまほろばに出荷する野菜を作ってくれています。

 今の所、じゃがいもと激辛ナンバン、赤ナンバンは佐々木さん作です。へうげ味噌用の大豆も作ってくれています。もう少しでカボチャも出荷されます。変わったところでは、自然薯も作っています(掘るの大変そう!!)。

 佐々木さんは現役の検査技師で、仕事をしながらなので、大変な努力の人です。その上、まほろばの仕事も手伝ってくれて頭が下がります。農業技術や土壌の生理などもよく勉強されていて、色々独自に工夫して作ってくれています。種も肥料もまほろばのものなので、安心してご利用下さい。




 

 

     

 

   

 やっと朝夕涼しくなり、野菜がおいしくなって来ました。最近美味しかったのは、穂紫蘇の天ぷら(掻き揚げ)、ローザビアンカと豚バラ肉のバター味噌煮(しょうが入り)です。

 ローザビアンカは厚く輪切りにして、塩、こしょうを多めにし(少ないと気が抜けた味に)たっぷりの油でフライパンにフタをして焼きます。
裏返したらフタは取ります。トロリとして絶品です。ズッキーニも同じようにして食べても美味しいです。
農園でキャベツが取れている時は、必ず作るのがお好み焼きと、ケチャップ煮です。

 お好み焼きは強力粉にキャベツをたっぷり入れて、多めにぬるま湯(発酵しやすくするため)を入れ(焼いた時、やっと形が整う位)、一日くらいそのまま寝かせて自然発酵させます。
ゴーヤを薄切りにして入れると苦くなくて、味に奥行きが出ます。

焼く前に、ひき肉と玉子を入れてよく混ぜ、大目の油でゆっくり時間をかけて焼きます。
豪華にしたい時は、ホタテやボイルえびを入れます。仕上げには、たっぷりの花かつおと青のり、お好み焼きソースとマヨネーズをかけます。

 ケチャップ煮はロールキャベツの手間を省いた忙しい私流のインスタント料理です。
ケチャップだけでなく、生のトマトを何個か使うと、味が新鮮で優しくなります。

味付けはロールキャベツと同じです。
キャベツのざく切りに、豚肉とコショウをたっぷり使って作ります。お好み焼きもケチャップ煮も、まほろば農園のキャベツでないとコレという味にならないのです。単純な料理ほど素材の味が生きてきます。
と言うよりも、余計な手間をかけないで、短時間でさっと作った方がパワフルで生き生きとした味を楽しめます。
身びいきかな〜〜〜!!
でも、コレくらいの思い入れがないと、お野菜は作れないのですよ!!!

 

 

     

 

     

 ボランティアの榊原さんが呼びかけて下さった、人参の草とりも無事に終わり、思ったより早く終わったので、2日目には、へうげ味噌用のとら豆、うずら豆、白いんげん、紫花豆、白花豆の他に、新顔として銀手亡、黒(千石)小豆、ツタンカーメン豆(※)などの収穫も出来ました、本当に有難うございました。









 

     

 

     

 

   
 農園ボランティアの榊原と申します。
 
 私がまほろば農園でボランティアを始めた頃、福田チーフや宮下先生は他の作業で忙しく、いつも一人でもくもくと草とりや定植などをしていました。
 宮下先生からは「一人で淋しそう。」と言われていました。はじめから一人だったのでなんとも思っていなかったのですが、人参の収穫をすることになったとき、初めて他の方々と一緒に作業をすることになりました。

 皆でわいわいと人参を掘る。ほる、ほる、
しゃべる、ほる、しゃべる…実に楽しい!!
 後になって、一人で黙々と草とりや定植をしていたときのことを振り返ってみると、やはりちょっと修行(?)モードになっていたことに気がつきました。

 それから数ヵ月後に、人参の草とりを一人もくもくとやる日がありました。人参の草とりは他の草とりに比べて手間がかかり、なかなか進みません。
細い茎が他の植物と絡みあっているので、一本一本抜いてゆきます。

 一時間後、畑をみわたし、草とり出来た所とこれからする所を見た時に、正直気が遠くなりました。
(いや〜、参った、参った)

 他のボランティアさんも皆苦戦されていた様で、このままでは手つかずのままの黄色人参の畑の方はつぶしかない、という話になっていました。

 そんなある日、福田さんとまほろば農園のことや、有機農業のことなど、色々とお話しながら、人参の草とりをする事がありました。
 その日、家に帰ってからふと、あの黄色人参の畑をつぶすという小さな出来事は、ゆくゆくはまほろば農園がつぶれてゆくことに、そしてそれは日本の有機農業の未来に繋がってゆくのでは?! などど、一人で勝手に思い込み、かなり暴走モードで考えたあげく「皆で支える!」というフレーズがうかびました。
昔、日本各地では田植えや稲刈りのシーズンには普段田んぼには来ない人たちも皆でお手伝いをしていたではないか!などと思い、農園体験を呼びかける事にいたしました。

 黄色人参の草とりは、福田さんとこれまでの進み具合を考えて、30人で一時間くらい手伝って頂ければ終わるのでは、と話をしていたのですが、体験の初日に10人で一時間やって黄色人参の草とりすべてが終わる!!! 何故?! 

 一人でちまちまやるのと、大勢でわーっとやるのとでは、草の方もその勢いに圧倒され、観念して抜けやすくなるのでしょうか???
 とにかく、無事黄色人参は皆様のお陰で命びろい致しました。本当にありがとうございました。
 今回人参さんには、人と人が協力すると個人個人の力+αの力が生まれるのだという事を教えていただきました。
 そんな訳で人参さんには人との繋がりの楽しさ、素晴らしさをあらためて気づかせていただきました。
 皆様にも、食卓で人参さんを通じて、人とのつながりを感じていただければ幸いです。


 

 

2012年10月号

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