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 雪虫も飛び交うようになり、手稲山の頂上にも雪が被ったり消えたり、朝夕の冷え込みに、厳しい冬の到来が身近に迫る今日この頃です。

 寒くなったせいか、好物のとうもろこしやブドウをすべて食べ尽くしたせいか、クマ出没情報を聞かなくなりました。
三角山の登山道の入り口も、登山禁止のロープが撤去され、登山者を横目に何かほっとした感じです。
しかし、クマが捕まったわけではなく、来年の事も心配すれば切りがありませんが、取りあえず、小別沢の誰にも人身被害がなくて良かったなと改めて感謝です。

 多くのお客様に心配して戴いて本当に有難うございました。

 

   

 

   
 これまで、第2ハウスと第3ハウスの潅水設備が完全に整備されているわけではなく、第1農場の沢からホースで引いていたので、圧が弱く、潅水チューブでは、不均等にしか水が入りません。


 手潅水だとハウス2棟潅水するのに一人専従で半日かかります。
ところが、第2ハウスから道路一つ隔てた所から、背の高い草や、木が生えている所を、10メートルほど降りていくと、昔使っていた用水路が流れており、その用水路を一時貯水する為の小さな池がありました。

降りて見ると、周りは大小の木や草で囲まれ、下界から隔絶されて、完全に時間が止まったような異次元空間でした。

どんなに長い間、ほとんど誰の目にも触れず、静寂の中に息づいていたのでしょうか?


 今年はそこに、小別沢町内会の許可を得て、モーターを設置し、ホースを引っ張って、第2、第3ハウスに水を引くことにしました。


   

 

   

 設置されたモーターと傍に置かれたガソリン容器が、何か神秘的なその一角に違和感を与えている、と言うよりは、人工物の方が、雰囲気に圧倒されて飲み込まれてしまうような感覚でした。
通路から急激に2メートルくらい下がった所に池があるので、隔絶感が大きいのです。

 クマ騒ぎの時は、そこは私にとって一番怖い所でした。クマの水飲み場ではないかと思ったからです。
でも、ハウスの管理は私がやっていたので、勇気を出して、頻繁にモーターを掛けに通っていました。
それで、覚悟を決めた時に、前便で書かせて戴いた良寛様の「災難に遇う時節には災難に遇うがよく候」の心境になった訳です。

 

 

   

 

   
 数日前、大雨の後、また、モーターを回しに行ってびっくり!!
 何と、一段下がった池の周りの踊り場のようになっている場所(そこにモーターを置いています)に、鮮やかに、さまざまに紅葉したもみじの葉が、ふかふかの絨毯のように、あたり一面に敷き詰められていたのです。



 大雨で、一晩で一気に落ち、濡れて、いっそう鮮やかになったもみじが鮮烈でした。
 モーターやガソリン容器の上にも隠れるほどに降り積もり、しばらくは息も出来ませんでした。犯すべからざる光景でした。まさしく、神の領域とは、こう言う事をいうのでしょうか?


 そして、上を見上げて、池に覆いかぶさるように生えている巨木が楓の木であったことに始めて気づきました。



 足元の悪い場所だったので、いつも草を掻き分けたり、土の上にまでデコボコと伸びている大きな木の根につまづかないように、下ばかり見て歩いていたので、本体が楓の木だと気づかなかったのです。
そこで始めて、時間が止まったかのような異次元空間を演出してくれていたのは、この巨木だったのかと、楓仙人に挨拶をしました。


何か今年一番のごほうびを戴いたようないい気分でした。
話だけでも皆さんにお裾分けしたいと思い、長々と書きました。




 
   

 

   

 果菜類の出荷もハウストマトと、露地ピーマンがいつまで続くか分かりません。
西区で外気の最低気温が4℃位になれば、山裾の農園では氷が張るので、無加温ハウスのトマトは凍ってしまいます。
一度凍るとトマトは融けても、細胞膜が壊れて浸みてしまい2度と再生することはありません。

 一方、ピーマンは丈夫なもので、一度や二度凍っても日が射すとまた生き返ってくれます。
それを何度か繰り返していく内に、寒さも厳しくなり、凍結時間が長くなると、トマトと同じよう戻らなくなってしまいます。



 


   

 

     

大根は、水分が多いので、土から外に出ている部分が何度も何度も凍結と解凍を繰り返すのですが、雪が根雪になりそうな時を狙って、大根を全部抜いて土の上に並べ、コモをかぶせて雪の下に保存しておきます。

キャベツも白菜も残ったものは同じ様にして保存しておきますが、タイミング良くやれば、雪の下では凍ることがなく、必要に応じて掘り出して出荷しています。

白菜は、大変丈夫なもので、収穫後の株は、冬でも雪の下で生き残り、小松菜などと共に、春には菜花になって山菜と同じように、冬の間に滞った私たちの命を覚醒させてくれます。


 

   

 

   

 その年の内に収穫し切れなかった青菜類は、畑にそのままにしておけば、根は翌年しっかり生きていて、新しい芽をどんどん出して菜花になったり、花を咲かせて実を結び種になってくれたりします。

 レタス類も幼苗のまま冬を越すことが出来ますし、ニラ、人参、三つ葉もそのまま冬を過ごすことが出来ます。






 

   

 

   

 今年は、カブがあまり上手に出来ませんでした。
露地に秋かぶの種まきをする頃、気温が高く雨の降らない日が続いていたので、こんな時に種まきしても、きっといいカブは出来ないだろうと思われました。それでも、ダメ元で蒔いたのが、今出荷中の不器量なカブたちです。

第5農場は、今までカブを蒔いたことがなく、どんなものが出来るか分からなかったのですが、水はけが悪い所なので、こんなに雨が降らない年には、意外と良いかも知れないと思って蒔いてみました。
結果は、根こぶ病こそ出ませんが、形がきれいに揃わず、実が少し硬いようです。食べて見ると、味は悪くないので、販売することにしました。
それでも買って下さる方があり、例年通り売れているので、お客様に感謝です。
もう、1〜2回出荷すると、次に植えた形の良い赤カブに変わります。

 

   

 

 

     夏、雨が降らなかったお返しのように、最近では毎日のように雨ばかり降って、収穫出来ないばかりか、水分の多い大根や白菜が軟腐病(溶けるようになって腐る病気)に罹らないか心配です。

大量の大根と白菜がまだまだ畑に残っています。

 

 

     

 

   

 青菜類はまだまだ大量にあるので、根雪になって収穫出来なくなるまで続きそうです。
特に、これから収穫適期を迎える遅蒔きの小松菜が、大量にあります。
 
 例年だと、9月初旬から、中旬くらいに種まきしないと露地では間に合わないのですが、今年は、余りにも残暑が長かったので、9月の下旬にもう一回蒔いてみました。それが大成功で、品質の良い美味しそうな小松菜が一杯出来ています。
 一段と寒くなるこれからが、1年で一番美味しい時です。大根、白菜、キャベツなどと共に、季節の味をお楽しみ下さい。



 

2012年11月号

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