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まほろばだより−健康コラム−

 先の章で見てきましたように、1万年ほど前になると、氷河期が終わり脂肪やたんぱく質の多い大型動物が絶滅したこともあり、ヒト族の食料獲得手段は狩猟採集から農耕牧畜へと移行して行きました(日本では農耕は6000年くらい前に始まりました)

 このような変化は定住生活を可能にし、しだいに穀物への依存を深めていくことになります。

 穀物は貯蔵することや、再生産することも出来るので、人口も急激に増え(日本では大陸からの大量の移住もあった)、1000人以上の集落も形成されるようになりました。  

 それは人類史上最大の食料革命でした。食料の主体が動物性の脂肪やたんぱく質から、植物性の炭水化物に変わったのです。気候のポールシフトは食料のポールシフトでもありました。

 

 19世紀から20世紀前半までは、定住農業への移行は、もっとも重要な人類の進歩の段階として考えられてきました。しかし、1960年代以降、先史時代の人骨が考古学者によって世界中から大量に発掘され、栄養と健康の状態を地域的、時代的に比較分析することができるようになり、また、このことによって人類史は新しい光を与えられることになり、その解明は急速に進んできました。

 


 驚いたことに、このような膨大な資料の分析によって、穀物への依存度がより高まるにつれて、栄養不良や貧血、伝染病、寄生虫、虫歯、関節炎、骨膜炎(骨髄炎)、高血圧、虫垂炎、憩室炎、腸ガン、結核等々、過去にはほとんどなかった疾病が増えて来ることが確認されたのです。


*虫歯の罹患率(狩猟採集民=1,7% 混合=4,4% 農耕民=8,6%)

 多くの考古学者たちは、考古資料における骨の虫歯の割合を先史時代の狩猟採集民と農耕民を区別するための材料として使用しているそうです。

 伝染病はもともと栄養不良に起因するものですが、人口が増え、大集団で長く一ヶ所にに定住することにも原因があるようです。生活によって、大量にたまった汚物やヒトや貯蔵食物は、菌や寄生虫の伝染源にもなっていったのです。家畜が近くにいることもその流行を助長しました。

 現代では、狩猟採集民の食事や栄養は、カロリーは低かったものの、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの欠乏症や虫歯や病気もほとんどなく、体格もよかったこと、その後の定住時代に比べてよりよい状態にあったと考えられるようになりました。 このことが、人類学者をして <狩猟採集から農耕への移行は一般的に質の高い食料から質の低い食料へ移行することによって特徴づけられる> と言わしめているのです。


 例えば、動物性たんぱく質は、必須アミノ酸のバランスがよく、造血作用に重要なビタミンB12は、動物性食品にしか含まれておりません。また、重要なミネラル(鉄、亜鉛、銅、カルシウム等)も多く含まれており、吸収効率もよいのです。さらに、動物性脂肪からは基本的な脂肪酸や脂溶性ビタミン(A,D,K)などの重要なビタミンも摂取されます。そのため、植物性の食料と比較すると、肉は非常に栄養価が高い食料源なのです。


 植物性食品だけで基本的な栄養学的要求を満たすことは、一般的に不可能で、植物性食品は食べても食べても潜在的な飢餓感をなくすることは出来ません。

 

 タンパク質が質・量ともに決定的に少なく、ビタミンやミネラルの吸収や活動を抑えてしまうので、スーパーフードと称賛されるほど栄養価が高いわけではありません。水分を除いた窒素換算係数は、量的観点だけから見ても、あわ、ひえ、そば、はと麦、肉、魚、卵、乳製品、野菜、果物などよりはるかに低く、必須アミノ酸の考えを入れて栄養効率を考えると、さらに低くなり、フィチン酸や繊維(ファイバー)の考えを入れて吸収効率を考えると、もっと低くなるからです(繊維については後日詳しくふれる予定です)このことは、小麦やトウモロコシもおなじです。

 2つの必須アミノ酸、リジンとイソロイシンを欠いています。しかし小麦に依存しているほとんどの人々が、チーズやヨーグルトなどの乳製品をとって、欠如したアミノ酸を補っています(日本を含む東アジアの食事の特色は、カルシウム源でもある乳製品を欠くことです) しかし、小麦を栽培する中東や北アフリカのいくつかの地域では、土壌に亜鉛が欠けているので、子供の発育障害がおきています。さらに、小麦のふすま(外皮)にあるフィチン酸は亜鉛と化学的に結びついて、亜鉛を始めとした重要なミネラルの吸収を阻害しているので、発育障害は深刻です。

 中央アメリカで最初に栽培化され、新大陸全土に広がっていきました。(コロンブス以前)

トウモロコシには、必須アミノ酸のリジンやイソロイシン、トリプトファンが欠けており、二コチン酸(ビタミンB3)を吸収することが出来ません。ニコチン酸欠乏症(ぺラグラ)は、皮膚の荒れや炎症、下痢、精神的な面における病的症状(ウツ)、などがあらわれます。 ぺラグラは、肉類を食べず、トウモロコシと植物性食品ばかり食べているような地域に発生する風土病なのです。

 

 ここで、フィチン酸について少し詳しく述べてみます。フィチン酸は別名‘イノシトール6燐酸とも言われ、植物類のほとんどに含まれる天然成分です。堅果類(ナッツ類)や、未精製の穀類、豆類に多く含まれていますが、玄米に含まれるものが特に有名です。

■強力な抗酸化作用でガンを抑制
 フィチン酸は金属イオンを取り囲み、強力な抗酸化作用の働きで、活性酸素の発生を抑制し、結果としてガンを予防、抑制すると研究されています。

■ミネラルの吸収阻害と体内のミネラルの排泄  
 一方で、フィチン酸は、食品中の鉄分やカルシウム、銅、亜鉛などの必須ミネラル成分やタンパク質と強く結びついて(キレート作用)、その吸収を阻害することも判明しています。  その上、体内に蓄えたミネラルまで吸着して排泄してしまうため、ミネラル欠乏症になってしまうのです。

■濃厚飼料は環境汚染  
 現在、ブタ、ニワトリなどの家畜は、主にダイズ、トウモロコシなどの穀物で肥育されていますが、これらに含まれるフィチン酸は動物に吸収さないで腸管を通過するため、自然界のリン濃度を上昇させ、富栄養化などの環境問題につながる恐れがあります(ウシなどの反芻動物は少量のフィチン酸なら消化できる)

■加工食品に多量に使われているフィチン酸  
 一方、フィチン酸はそのキレート作用を買われ、缶詰、発酵食品、油脂などの食品に広く用いられています、たとえば、マグロ缶のストラバイト防止(?)、カニ缶のブルーミート防止、アサリ水煮缶の黒変防止、発酵食品の発酵時間の短縮、風味増強、練り製品や麺類の保存料、油脂の酸化防止剤、肉、魚介類を中心とした食品の旨味向上などです。  また、金属用塗料、メッキにおける洗浄剤、金属表面防蝕、防さび剤、平版印刷など、工業用としても幅広く利用されています。 その他、体臭、口臭、尿臭などの消臭、防臭にも使われています。

■現代人のミネラル欠乏症に関係がある可能性も
 しかし、現代では、フィチン酸は、食品中のミネラルやタンパク質と強く結びついて、これらの消化吸収を大きく妨げるので、現代人のミネラル欠乏症の一因になっているのではないかと考えられています。

■糖尿病急増の原因になっている可能性も  
 クロムは糖代謝に欠かせないミネラルですが、糖尿病は、この40年間で患者数230倍も急増し、社会問題化しています。  この異常事態の背景には、フィチン酸の大量使用が原因ではないかという指摘もあります。フィチン酸によって食品からクロムやたんぱく質をはじめとする栄養素が、大幅に減少し、栄養失調によるものではないかとの見方もあるからです。

■フィチン酸の働きを弱める日本の知恵―発酵―  
 また、フィチン酸は酵母や酵素の働きでミネラルやたんぱく質を離し、吸収されやすくなることが分かっています。味噌、しょうゆ、納豆のような発酵食品は、ただ単に貯蔵のためだけでなく、フィチン酸の働きを抑え、栄養の吸収をよくするためもあったのです。発芽玄米(発芽の段階で酵素が大量にでます)もフィチン酸を抑制してくれます。  また、フィチン酸はヌカの部分に多いので、精米技術が発達し、取り除いて食べるようになりましたが、同時にフィチン酸に結合したミネラルや、胚芽の部分に含まれるビタミンも取り除くことになり、脚気をはじめとするビタミン欠乏症にも悩まされるようになりました。穀物主体の食生活をする現代人は、砂糖の消費量の増大ともあいまって慢性的な脚気症候群でもあります。  

 

 それでは、発芽玄米を食べることがよいのでしょうか?

 次回はさらに過去の歴史に学びながらヒトのあるべき食を探す旅を続けて行きたいと思います。

 

 
 

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