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最後に、全国の福祉施設を回り、障害をもつお子さんに優しい音を贈り届ける福田さんが、ベートーベンの「月光」ソナタをチェンバロで弾かれて、こう言われた。
「自閉症の子には、とても人気があるのです。しかし、モーツアルトは不人気なんです」
これには、意外な気がした。
誰しも、暗い子には、モーツアルトを聞かせれば、明るく希望を持つだろうに、と単純に思うであろう。
実際、モーツアルト音楽セラピーがあるくらいだ。
「どうしてですか?」の問いに、
「きっとバッハやベートーベンも自閉症だったのでしょう」 一同大笑いで、その会は終えた。
シンパシー、同調、共鳴・・・・・・・か。
その心になるには、その心そのものになる。
仏説に、「同体同悲」の教えがある。
仏は、衆生の体そのものになって、衆生の悲しみを知る。そして衆生は、仏の体そのものになって、仏の慈悲を知る。
これが悟りの世界、救いの境涯だと言われる。
自閉症の子は、やはり塞ぎ込むせつなさや辛さを共有し共感してくれる友を求めている。
そこに、こうしたらいいよ、明るくなるよ、と言ってモーツアルトの明るい曲をかけても案外感応しないのかもしれない。
(・・・素晴らしい短調の曲もあるのだが・・・・・・) そこは、先ず同調すること、相手の波動と合わせ、そしてそれから変調し、誘導する。
共感や共有とは、そういう心から生まれるのであろう。
従業員にその話を聞かせると、お客様や品物や生産者や・・・・もろもろと同調して仕事しようと、皆が自主的に盛り上がって、共感したのだった
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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang
Amadeus Mozart, 1756 - 1791)ハイドン、ベートーヴェンらとともに古典派と呼ばれる。ザルツブルクに生まれ、ウィーンで没した。作品総数はあらゆるジャンルにわたり断片も含め700曲以上に及ぶ。
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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig
van Beethoven、1770 - 1827)は、ドイツの作曲家。ボン生まれ。古典派音楽の集大成として、楽聖と呼ばれた。 |
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