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まほろばだより−まほろば主人から−

 



 ある日、盤渓の我満由明社長が「鹿肉のことで、話をしたいので」と来訪された。

「これは、私の最後の取り組みになる・・・・・」
とおっしゃられる。  
内心、「鹿肉と人生の集大成・・・????」。 

しばらく、その繋がりが了解できなかった。

 
 社長がおっしゃる今日までの氏の軌跡。
三代に亘る札幌盤渓・小別沢開拓の農家魂の第一期。

そして盤渓を一大リゾート地として、スキー場やレストラン、養鶏場、バス会社に幼稚園、市内に居酒屋チェーン店展開の第二期。

「盤渓リサイクルセンター」立ち上げての堆肥造りの第三期。道内各拠点に工場を建て、帆立貝や魚類の残渣、森林からの樹皮、チップ、家庭ごみなどを収集し堆肥化する。
一度、これと思ったら、とことん追求するその姿勢は先祖から受け継がれた凄まじい開拓者魂のなせる業か、これほどまでの大事業をやり抜かれたにも関わらず、その最後があった。

第四の事業、それが「鹿肉」なのだ。
何でまた、鹿肉なのか。 と思われる節も多かろう。
しかし、これは、これまでの事業以上の大難関、ある意味最後の大仕事として遣り甲斐のあることだったのだ。

  
 



 最近、報道で盛んに言われているエゾ鹿による農業被害。

すでに51億円に上り、林業被害は換算出来ないほどに膨れ上がっている。現在の全頭数、64万頭。
年々20%15万頭ずつ増え続けている。

 それに伴って、被害は末広がりで拡大する一方だ。
すでに、まほろば農園でもとうきびや大豆の食害で、来年からの対策で頭を痛めている。
これが道東の大量発生している現場では、死活問題で現在どうしようもない状況に追い詰められ、根本的解決策がないままである。  

 何故こうも被害が拡大するのか、頭数が増大するのかは、食物連鎖とも大いに関わりがある。

つまり、北海道開拓当初、鹿の天敵である狼の駆逐による絶滅が、生態系のバランスを崩すきっかけとなった。
そのことについては、後日論じようと思う。



 とにかく、人為で自然をコントロールしようとすれば、必ず後々そのしっぺ返しが人間に襲い掛かってくる。
それは、世界の至る所で起こっている人災なのだ。

 その大きな問題が鯨である。

牛肉を日本に輸入させるために画策した反捕鯨キャンペーンは、一見自然保護、動物愛護の平和運動のように映ったが、これがとんでもない結末を今生んでいる。

日本の伝統捕鯨の食生活は変貌を余儀なくされて来たが、それよりも漁業者の死活問題が世界中で取り沙汰されているのである。
鯨を保護するあまり、いわゆる漁業の根底を支えている大衆魚の大部分が増え過ぎる鯨に食べられて激減しているのである。さらに鯨の頭数の増大の一途を辿っているという現状だ。
そのため、反捕鯨国の中でも、漁業者がその因果関係に気付き始め、適切な捕鯨をすべきを訴え始めている。
これは、早急に開放しなければ、世界の海の生態系は完全に狂い、これを正常に戻す間、相当の犠牲を強いることになるのだ。

これと同じ論理が、日本国内の野生動物において起こっている。
ことに北海道の自然の中で、凄まじい勢いで、エゾ鹿が繁殖している現状を打開しなければならない。  

 それには、手っ取り早い対策として、食用鹿肉の販路を広げることである。  
鯨と同じように、飼料の経費や人件費、添加物の恐れの無い、天然の糧としての安全性や経済性に大いに目を見開かなければならない。
飼料・輸送に伴う自然への負荷をかけないという環境重視、地産地消という地域活性化にとっても又とない起爆剤ともなるのだ。  

ピンチをチャンスに変える絶好の機会でもある。

 

 ここに、まほろばが「エゾ鹿肉」再販を志した経緯をご紹介した。
まほろばでは、これまで豚肉を積極的に販売して来たが、0−1テストでは、どんな自然飼育でも、天然に勝るものはないと反応を示す。

 それで、随分以前、足寄から鹿肉を取り寄せて販売していたが、味が今一つ思わしくなく、販売量が少なく、売れ残るばかりで止む無く中止したという経緯があった。  

  先日11月19日に、道主催、社団法人「エゾシカ協会」による「エゾシカ」についての講演会と試食会が行われた。




 一般に、鹿肉は臭いとのイメージが強くて敬遠される傾向もあるが、当日食した肉の旨さは格別であった。
低脂肪で鉄分が格段に多い肉は他に無く、ことに女性にとって鉄分補給が自然に出来る鹿肉は朗報でもある。

  昔から毛嫌いされる向きは、個人的に狩猟した鹿の打ち所が、内臓に当たった場合、その臓物臭が全身に回って肉臭となるのだ。
だから、狩猟の仕方、迅速で適切な捌(さば)き方つまり解体法、そして保存と流通、そして末端の消費。

 それが完全にリンクして循環していなければ、この運動は完成されないのだ。
特に今まで、認知されていなかった食肉に対しての市民レベルでの広がりがポイントだ。
だから、多くの店が、鹿肉を扱うことが必要だ。

 そして、それに伴う加工業者の選定も重要。
道内各地に、指定工場も完備されつつある。
そして、狩猟。
年々高齢化に伴うハンターの激少。
その育成も重要課題だ。
ただ、やみくもに殺生すれば良いということではない。

 
 狙(ねら)い所、捌き所という技術向上と人材育成が大切だ。
今、「エゾシカ協会」の井田宏之事務局長が中心になって、この一大事業を展開している。

 その主要メンバーの一人が、我満社長なのである。
この事業に奮闘して軌道に乗るまで後半生を捧げると言われる。
その大志に感激しながら、まほろばもこの事業展開の一員に加わって行きたいと思う所存。

皆様の深いご理解とご賛同、
これからのご支援を戴きたくよろしくお願い申し上げます。


 
 


 








     

    

 

 






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