そんな、地の利を得た中で商売する小尾社長は、我々素人にとって鑑ではなかろうか。その実直なる篤実さは、会社の端の端、社員の一人一人に行き届いており、清潔な気風と温和な空気は、誠実な商品作りを思わせるのだ。女性の責任者に案内された工場は質素で塵一つなく、静かで粛々として作業が進められていた。皆自主的に、意見を持ち合い、よりよい作業効率や効果を目指して、力を結集しているとの事。作業の一つ一つが女性らしく丁寧でかつ迅速な手さばきに感心しながら見て回った。これまでするのに、どれほどのご苦労があったか。
数年前までは、自ら営業部長として全国を回り、不況の波に夜も眠られぬ日が続いたとか。が、今は全国から注目され、矢継ぎ早に注文が舞い込み、何と一社から一品三千から五千ものオーダーがあるという。商品のほとんどがJAS有機栽培のお茶で、その認証取得の裏話・苦労話を聞かされて、自ら省みて学ぶものが多かった。
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