私の若かりし頃、10年以上も菜食主義を実践していたことがあった。
その頃、よく食べていたのが生グルテン。
これを練って伸ばして油で揚げて、いわば肉もどきに作り置きして、野菜と炒めて食べる習慣があった。
小麦粉由来の、この植物蛋白が結構栄養になって、今と違って20kgも痩せていた私の体を支えていた、といっても過言ではなかった。
ところが、「このグルテン、何に使うの?」と問われて、答えられる人が意外に少ない。
逆に、「あの麩は何で出来ているの?」と問われても、「はて、何だろうか?」と戸惑う人も少なくない。
実は麩は、他でもないこのグルテンで出来ている、当たり前のことだが。 この発想は中国伝来のことであろうが、今ではすっかり純日本料理に無くてはならない素材となっている。
大和朝時代に伝来し、奈良時代(710〜794)既に国内で作られていたという。
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ここで、小麦粉を水で練って餅状の塊を造ることから一歩進んで、水で何度も洗い流すことが、澱粉質を取り除き、純粋な蛋白質のグルテンを残す、という一大発見をした。
元より小麦は80種もの蛋白質に富み、85%以上のグルテンがある。
健康相談して0−1テストすると、澱粉質が摂れない方が最初に食べられるのがこのグルテン由来の麩であったりすることも多い。 |
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昔、生麩は保存が出来なかったため、これを焼くという知恵が加わり、貯蔵や輸送の利く「焼麩」が盛んに製造されるようになった。
京都の寺町麩屋町などその発祥の地であろう。
自然食品を扱い始めて、以前東北の山奥で炭火焼きの棒麩にいたく感動したことがあったが、それ以後そのような重厚な麩に出会わなかった。
そこで、今回まほろばで、オリジナルの麩を製造しようとの思い付きが一年位前にあった。
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と言うのは、膨張材に膨らまし粉でなく、モンゴルの天然重曹が使えること。小麦強力粉を有機栽培のカナダ強力粉に代える事。後は少しの「七五三塩」とエリクサー水で以って独特な麩が作れることで大いに意気に燃えた。
そして、これは近間の麩屋さん「小山製麩所」しか思い浮かばなかった。
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創業明治42年の百年企業であり、北海道における麩の老舗としてその伝統と技術と信用は他にない。
以前、まほろばの近所に「北の麩庵」という生湯葉を食べさせてくれる店があり(今は札幌駅内に)、大変重宝して、北に居て京料理を堪能させてくれた。 |
その伝統技術に頼り、新しい発想で、これぞという麩がここに誕生した。
約半年の試行錯誤の末、ようやく製造販売に漕ぎ着ける事が出来たのは幸いである。
名前も「麩・Fu・ふっ」という可笑しみのある軽みの笑いは、軽い麩のような感覚で、何時も軽やかに食べて頂きたいとの想いから・・・・。
どうぞ、大豆蛋白過剰な方にも、植物由来の蛋白質が大いに摂取出来る「麩」の効用を、この機会に大いに宣揚したいところです。
今後とも、まほろばオリジナル麩
「麩・Fu・ふっ」をよろしく、
食卓に添えて下さいませ。
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グルテン(gluten)は、小麦、大麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種。
胚乳内の貯蔵タンパク質であるグリアジンとグルテニンを、水分の介在下で反応させると結びついてグルテンとなる。
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弾性を示すため、グルテン前駆体の2種のタンパク質を含む小麦粉を水でこねるとグルテンが生成され生地に粘りがでる。
パン生地などが発酵した時に気泡が残るのも、生地がグルテンによって粘りをもっているためである。
小麦粉などグルテン前駆体を持つ穀物粉に水を加えてグルテンを生成させ、それを水で洗うと水溶性タンパク質やデンプン粒が流出するので、グルテン塊を分離することができる。
小麦粉はタンパク質の含有量の多寡により強力粉、中力粉、薄力粉に分けられる。製パンなど粘りを必要とする用途ではタンパク質を多く含む強力粉が使われるが、天麩羅などグルテン生成が邪魔になる用途では薄力粉を使い、グルテンが生成されないように水で練らないようにして調理する必要がある。
ふ フ
『麩・Fu・ふっ』のできるまで
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◎生グルテンは菜食主義やマクロビオテックの方々に愛好されている。
次回製造から、要望を聞きながら、1kgの塊タイプ・冷凍の物も販売します。
要予約。
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◎ 強力粉にオーガニック粉を使うと、一般粉との違いが出てくる。
成分が違うので、浮き方が違い見極めに苦労する。
いくらか軽い感じがするという。 同じ自然食品の麩とも、同じg数でも重量感があり、木目細かい。それを汁物など水分に戻すと、その変化の違いが分かる。確りとした弾力が残り、他の麩はベッチャとする潰れ方をする。
◎ 白い水には良質な澱粉質が含有され、これを濾せば糊が出来る。オーガニック糊も 今後、販売する予定です。
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