『立体的有畜複合総合農法』とは「低投入」「内部循環」「自然共生」、この3つの鍵を基本とした寒冷地型畜産を軸とした輪作体系である。
今まで寒冷地は温度が低く作物は作れないと言うのが通説であったが、『立体的有畜複合総合農法』は、逆にこの寒冷地の特性である、有機物が充分に分解されない事を利用して作物を栽培しようとする農業技術であり、単位当たり面積からの収入を高める技術でもあり、人間と家畜が共生できる技術でもある。
基本的には畑は人間の食べものを生産することを目的にしている。
家畜飼料を目的化した畑の利用は間違いである。
牧草地は家畜飼料畑と位置付けるのではなく、畑の利用プロセスにおいての休閑地として位置付け、畑の微生物を紫外線から守るため牧草を播種する。
結果牧草が茂るので草食動物である牛を飼うことになる。
牛を飼うから牧草地ではなく畑利用の一環としての休閑地に草が出来るから牛なのである。
牧草の根は温暖地では毎年更新され、古い根は毎年微生物により分解され、土の栄養に変わるが、寒冷地では低温の為根が完全に分解されず畑に残ってしまう。
これが草の根の分桔を阻害している。
この残った牧草根を豚の特性である鼻で穴を掘る特性を利用し、豚を草地更新畑に放牧し牧草を根ごと土ごと食べさせ、微生物の塊となった糞土を畑に排泄させて、残根に生息する根圏微生物を活性化させる。
糞土に生息する大量の微生物で、残根を一気に分解し土の栄養に転換し、その畑に作物を栽培する。
その際作物の花から蜂を利用し受粉率を高めさせる。
その結果貴重な栄養源である蜜が恵まれる。
牧草を豚が食べることにより豚の自己免疫が高まる。
草のないところに放牧するのでは単なる運動場である。
栽培される作物は、残渣物が家畜飼料として利用できる作目を選択し、家畜と人間の畑での共生を図る。
この一連の流れをシステムとして確立することが当面の課題である。
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