もう朽ち果てて、もう役目を終えようとしたその時を、斉藤さんは充分過ぎるほど読んでいた。
「もういいですよ。斬っても。
ありがとう。こんなに大事に育ててくださって。
とても感謝しています。あなたにも、あなたの奥さんにも。
そして植えてくれたあなたのお父さん、お母さんにも。
本当にあなたに育てられて、私の一生は充実した素晴らしいものでした。
こんなにも、みなさんに美味しいって言って戴いて。
『もうこれ以上は生きなくてもいいから、お休みなさい』
と、神様が言って下さったから、私は帰りますね。
それでは、さようなら。 ・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・。
・・・・・・また、あなたと
天上で会いましょう。」
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